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スタンフォードが教えるコアバリュー作成のキラーフレームワーク

その企業が誕生した瞬間から、本質的にはそこに存在する企業文化において最も日常で手触りを感じるのが「持つべき価値基準」や「実行されるべき行動規範」を内包するCore Value(コアバリュー)だ。

参照:企業文化の逆三角形|なぜ「企業文化」が大切なのか?

そして数名のスタートアップから数百人のITベンチャーまで、多くの企業の初期フェーズにおいてどういう切り口であれこのコアバリューに該当するような日々の振る舞いを明文化する必要に迫られる日がやってくる。

特に比較的規模が小さく経営者もしくは経営陣のトップダウンで決めて組織に落とし込める場合は良いが、組織がある程度の規模感になると何より「納得感の醸成」のためにスタッフレイヤーを含めたボトムアップのアプローチとなる場合が多い。

その過程においては、本来その会社が持っている(持つべき)企業文化、コアバリューをある種網羅的、ある種効率的に発散と収束の往復によって生み出さなければならない。その上でツールとなるのがフレームワークだ。

今回はセコイアキャピタルパートナーであるAlfred Linによってスタンフォード大学で行われた企業文化の講義から、有用なフレームワークを紹介したい。ちなみに彼は元ZapposのCOOで、CEOのTony Hsiehと共に世界的に有名な企業文化を牽引してきた人物だ。

コアバリューをあぶり出す、5つのクリティカルな質問

フレームワークと言ったら大げさかかもしれないが、上にあげた5つの質問によってあらゆる角度からバランスよくその会社の血液型とも言えるコアバリューを診断することができる。日本語にしてみるとこんな感じだ。

1. リーダーとして個人的に最も大事なバリューは何か?
2. 事業の成功において最も大事なバリューは何か?
3. どんなバリューを従業員に体現して欲しいのか?
4. どんなバリューは決して採用すべきではないか?
5. 最後に、バリューは必ず会社のミッションをサポートする内容でなければならない

最後は質問というよりは重要な留意点という形だが、実際にワークさせるとしたら次のような4象限にまとめるのが良さそうだ。

ちなみに特に①と③はあくまでリーダー以上への問いかけとなっているが、スタッフレベルも巻き込んで実施する場合は

①あなたのもっと大事なバリューは何か?
③同僚や経営層にどんなバリューを体現して欲しいか_

などとカスタマイズするのが良いだろう。

また、ワークの実施においては個人ワークとしてこのままシート内に埋める形も良いし、複数名で実施するグループワークの場合(こちらが主だと思うが)であれば

1. ①〜④それぞれに関して付箋に書き出す
2. それぞれ張り出し、グルーピングしてまとめる
3. グルーピングしたものに重要度をつけていく

というステップが妥当だろう。

このフレームワークが他の多くのものよりユニークな点といえば特に2つめの「事業の成功観点」が含まれているかどうか。
どんなに優れた価値観や行動規範を持った組織でも、それでその企業のおかれている環境と事業で生き残れなければ全く意味がない
ゆえに前述のワークにおいても、グルーピングされた重要度に対して
そのコアバリューで本当に事業で勝てるのか?」をリトマス試験紙にしなければならない。

そして、企業文化の逆三角形が示すように、日々の行動や意思決定(コアバリュー)がミッションの遂行と、ビジョンの実現に繋がるものでなければならない。

一人の日々の小さな積み重ねが、組織としては大きな足跡となり、それが時間をかけて長く伸びた道筋になった時こそ、企業文化とその会社自体の真価が問われる。
全ては一里塚なのだ。コアバリューの純度が、会社の命運を左右する。

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