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『ディズニー映画とユングの学説』心理学観点より:集合的無意識


心理学の世界では、「集合的無意識」という概念が長い間議論されてきました。カール・ユングの理論によれば、人類共通の象徴やアーキタイプが私たちの夢やビジョンに影響を与えるとされています。

集合的無意識とは

ユングの理論が今もなお私たちの心に強く響く理由は、彼が見出した「文化を超えた普遍性」に他なりません。この普遍性とは、人類共通の精神的遺産、つまり集合的無意識の存在を指します。

ユングによれば、集合的無意識は、すべての人間が共有する、先天的な記憶の倉庫です。それは個人の経験や記憶を超えた、人間の祖先から受け継がれる普遍的なイメージやテーマを含んでいます。また、集合的無意識は、いつ・どこで・誰に教わり・どう覚えたのかがわからない記憶であると言えます。

アーキタイプ

世界中の神話や物語に登場する「大いなる母」のアーキタイプが有名です。これは、母性の象徴であり、生命の創造と育成を表す普遍的な像です。

このようなアーキタイプは、私たちの心の深いところで響き、人々が自然と共感し、つながる感覚を促します。集団分析において文化間の葛藤や相互理解を深めるための重要な鍵とされています。

また、心理学者たちは「英雄の旅」というアーキタイプを用いて、個人が成長し、困難を乗り越える過程を説明します。英雄が困難に直面し、試練を経て成長し、最終的には改革された状態で帰還するこの物語は、個人の変容の過程を象徴しています。

「ジャックと豆の木」では、ジャックが自らの勇気と機知によって試練を乗り越え、最終的には巨人からの豊かさを手に入れるという物語が、自我の成長と成熟を象徴しています。

象徴やモチーフ

研究によれば、集合的無意識は文化や伝統を超えた共通の象徴やモチーフを生み出しています。例えば、「大いなる母」や「英雄」、「賢者」などのアーキタイプは、世界中の神話や物語、芸術作品で共通して見られます。

例えば、「大いなる母」アーキタイプは、豊穣と生命、創造と破壊の力を象徴する存在として、多くの文化に現れます。これらの図像は、人類の始原における母性のイメージとして、芸術作品や文学において頻繁に描かれ、心理学の文献にもその意義が議論されています。

「賢者」アーキタイプは、知識と知恵の象徴であり、中国の老子やギリシャのソクラテスといった歴史的な人物に反映されています。これらの賢者は、人生の謎を解き明かし、内省と悟りの道を提供する存在として尊ばれ、多くの文化で似たような役割を果たしています。

これらのアーキタイプは、芸術家や作家たちにとって無限のインスピレーションの源となっており、心理学者たちにとっては、人間の深層心理への洞察を提供しています。私たちが古代の神話や現代の映画に引き込まれるのは、その中にアーキタイプが織り込まれているためであり、これらの普遍的なテーマは、時間と空間を超えて私たちの心に共鳴し続けているのです。


「神話や物語」は人類共通の心の言語

神話や物語

私たちが何世紀にもわたって共有してきた神話や物語は、単なる創作物ではなく、ユングが指摘したように、人間の心の中に深く根ざした普遍的な真実を反映しています。

普遍的な象徴やテーマ

「神話や物語」は人間の心理に深く根ざしたアーキタイプ、すなわち普遍的な象徴やテーマを反映しており、人類共通の心の言語と言えます。世界各地の童話は、これらのアーキタイプを子どもたちに伝えるための媒介として古くから使われてきました。

例えば、「シンデレラ」の物語は、世界中で異なる形で語り継がれていますが、その核心にあるのは「変容」と「正義」のアーキタイプです。この物語は、貧しく辛い境遇から王妃にまで昇り詰めるヒロインの姿を通じて、逆境を乗り越える希望と公正な報酬を得ることの喜びを子どもたちに教えています。

さらに、「美女と野獣」では、野獣はユングが指摘する「影」のアーキタイプを具現化しています。野獣は外見は怖ろしいが、内面には愛と優しさを秘めており、ベルとの関係を通じて真の自己を発見していきます。

この過程は、ユングの自己実現のプロセスを反映しており、多くの観客が自身の内面と向き合う契機を与えてくれます。

影は否定的で怖れられる側面を持ちながらも、自己認識のために直面しなければならない部分を象徴しています。この物語では、内面の暗い側面と対峙することで、知恵と強さを得るというプロセスが描かれています。

「ライオン・キング」では、主人公シンバの物語は英雄の旅として描かれています。彼の成長、自己発見、そして父の遺産に対する理解の旅は、ユングのアーキタイプである「英雄」を体現しています。研究によれば、この英雄の物語は観客に内面の成長を促す効果があるとされています

文化の違いと性格の違い

世界は多様な文化に富んでおり、人間の心理を理解しようとする試みは、普遍的な特徴を発見すると同時に、文化的な独自性を高く評価することにつながりました。

文化と性格の関係

たとえば、サモアにおける研究は、青春期の経験が文化によって大きく異なること、そしてこれが社会的な行動や性格の特性に影響を与えることを示しました。サモアの若者たちは、アメリカの同世代と比べて、より自由で、社会的な緊張や反抗の少ない青春期を経験していると彼女は記述しました。

また、文化的規範と性格形成に関する研究は、自己表現や自己昇華が文化によってどのように違って解釈されるかを明らかにしています。

例えば、アメリカ文化が個人の成功と自己実現を奨励する一方で、アジアの多くの文化では社会的調和や集団の利益がより強調される傾向があります。これらの価値観は、社会を構築し、個人の性格特性を形成するための基盤となります。

ビッグファイブという学説


ここに「ビッグファイブ」という、性格は5つの因子によって構成されているという学説があります。

これは、人間の性格を説明する5つの広い因子、すなわち「開放性」、「誠実性」、「外向性」、「協調性」、「神経症傾向」を定義しています。これは、さまざまな形での人間の状態を説明し、海を越えて大陸を横断するフレームワークです。

これらの詳細はまた違う記事にすることにしましょう。

最後に。

ディズニー映画のストーリーテリングの魔法は、ユングが提唱した集合的無意識の深い層に触れることで、観客の心に強く響くのです。これらの映画が世代を超えて愛されるのは、ただ単にそのエンターテイメント性だけでなく、私たちの心理に根ざした普遍的な物語として機能しているからに他なりません。

ディズニーの物語が織り成す心の旅は、ユング理論に照らし合わせると、その深い意味と影響力をより明確に理解することができるかもしれません。


ディズニー映画のストーリーテリングの魔法

おわりに

この記事を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。皆さんに、「ユングの集合的無意識」というテーマについて新たな視点を提供できたことを嬉しく思います。

新たな視点と冒険を恐れず、自分の人生を豊かにしていくために、今後も一緒に学び、成長していきましょう。お読みいただき、応援していただき、ありがとうございます。
皆さんの未来が輝かしいものであることを心より願っております。


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