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ジャマイカ音楽#5

 これまで綴ってきたことを読んだいただければ、ジャマイカの初期のサウンドシステムのかけられていた音楽はReggaeではなかったことはもうおわかりいただけたかと思います。

 ジャマイカの庶民の娯楽であるサウンドシステムで好まれた音楽がなぜ米国のBoogie-woogie、Jump Blues、R&Bだったのでしょうか。これはそれらの音楽がアフロアメリカンによるものだからです。

 これにはジャマイカという国の成り立ちを考えていくと自然なことであるということがわかります。

 ジャマイカという国は中米カリブ海の島国ですが、大航海時代にヨーロッパ人が到来する前は先住民であるアラワク人が住んでいました。そしてスペインの植民地となりアラワク人は強制労働を強いられてしまい。さらにヨーロッパ人の持ち込んだ病気により人口が激減してしましました。現在はカリブ海、西インド諸島ではアラワク人は民族としては存在していません。

 先住民の労働力が激減したことにより、新たに奴隷としてジャマイカに連れてこられたのがアフリカ大陸の人々でした。のちの時代に米国のプランテーションに労働力としてとして連れてこられたのもアフリカ大陸の人々です。

 ジャマイカの国民は90%がアフリカ系です。現在のジャマイカ人も米国のアフロアメリカンもルーツはアフリカ大陸にあります。先住民族の国ではなく移民の国なのです。

 まだ米国でも人種差別が最も強かった時代です。白人層にはまだまだブラックミュージックが忌み嫌われていた頃です。でもジャマイカの人々にとっては海の向こうの同じルーツを持つ人たちが奏でる踊れる最先端の音楽だったのでしょう。

 地理的、地政学的に距離が近い国であることも米国音楽が受け入れやすかったこともあると思いますが、やはり同じルーツを持つ人々の音楽は受け入れやすかったのではないでしょうか。


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