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元メーカー勤務アラフィフ海外営業マンが大型トラックドライバーに転身しました④(#メリデメ)

この春、年収1000万円の「海外営業マン」というポジションを捨て、年収400万円の「大型トラックのドライバー」へと転身した筆者。

独り立ちして1ヶ月少々。
四苦八苦しながらも、与えられた配送を何とかこなしている日々。

360度どこからどう見ても単なる若葉マーク付きトラック野郎、ではあるが、これまでやってきた中で感じている【トラックドライバーの良いところ】並びに【悪いところ】を箇条書きで挙げてみたい。
私同様、トラックドライバーへの転身を考えている無謀な皆様の参考になれば大変幸いだ。

なお最初に念を押しておくと、世の中には本当に沢山の運送会社が存在し、その職場環境・業務はまさにピンキリ。今回の内容はあくまで筆者が属している運送会社、担当している業務ルートにおける『個別のケース』に基づくものであり、これらがそのままどの会社・業務に当てはまるものでは無い、という点はどうかご理解頂きたい。


ドライバー職のこれが良い所だ!

先ずは、トラックドライバーになって良いと思った点を列挙していこう。

①人間関係に悩まなくなった

これは誰しも、真っ先に挙げる点だろう。
運転中はキャビン内に自分一人のみ。他人に気を遣うことがほぼなく、人間関係で悩まない気楽さ。これがこの仕事の最強にして最高のメリット。

"ほぼ"と書いたのは、当然ながら事務所や倉庫の現場、客先など、仕事をする以上多くの人と関わり、人間関係はどうしても付き纏ってくるから。ただ社会人としての「挨拶」「報連相」「事務的(機械的)なコミュニケーション」さえきちんとすれば仕事は回るので過度に気にすることは無い。

補足だが、一人一台のトラックを与えられる良い会社なら、そのキャビンが自分専用プライベートオフィスになる(人によっては寝食の場所にも)
それを自分好みに整え、好きな音楽を聴き鼻歌交じりに仕事をする・・・まさにマイペース人間にとってはこれ以上ない職場環境かと。

②ドライブが楽しめる

客先が地域内にたくさんあり、日々配送ルートが変わるので、言うなれば日替わりドライブが楽しめる。大型トラックはキャビンの位置が高くて見晴らしがよく、快晴の湾岸線なんかを走る時はめちゃくちゃ爽快だ。車の運転好きにとっては最適な時間を送れる。

③アウトプットがシンプル・明確

基本的なミッションとしては、会社から指定された荷量を指定された場所・時間にてトラックへ積み込み、指定された客先に運んで、降ろす。
良く分からない社内調整、中途半端な課題解決、自分の貢献度合いが曖昧なプロジェクト仕事とは違い、アウトプットは実にシンプルで明確。

筆者が対応する客先は、配送時間についてはそれなりに大目に見てくれるので大変ありがたい。早く着いても外で待たされることなく納品に応じてくれるし、遅れそうなら会社を通して事前連絡すれば許される。これが厳格なところだと心身ストレスが半端無いのだけど、人手不足の物流の世界では今後、客先にもっと柔軟さが求められて然るべきと個人的には思う。

④残業という概念が無い

これはメリ・デメ両方当てはまるだろうか。
与えられたミッションを終えさえすれば昼前でもスパッと帰れるし、終えなければ15時間経とうが帰れない。終わりの見えない業務を前に延々と残業したり、周りの雰囲気を気にするあまり退社し辛い、なんてことは皆無。

逆にドライバー職の悪い点は…

一方、この仕事の悪いところとしては以下のようなものがあろう。

①身体を痛めやすい

その長時間運転と肉体作業ゆえ、腰を悪くするドライバーの割合が異様に高い。最悪、椎間板ヘルニアに悩まされる羽目に・・・
筆者の場合、手積み手降ろしになるのでその懸念は更に高くなる。

こういうのは「なる前」に気をつけておかないと、ということで以下のような対策をとってはいるもののやはり不安は拭えない。
①毎日寝る前や仕事に入る前後、ストレッチを欠かさない
②週末に1~2時間のウォーキングをする
③週1~2回、整体に通う
④運転中の姿勢を正しくとる
⑤荷物を持ち上げる時は、必ず腰に意識を向ける

②常に事故と隣り合わせ

言うまでも無く、大型車両を扱う以上、常に普通車以上の交通事故リスクに晒されている。特にメジャーなのが「右左折時の巻き込み(内輪差の大きさ)」「前車両への追突(制動距離の長さ)」
今の世の中、キチガイドライバーやチャリンカーが路上にウヨウヨ溢れている。近寄らないように、と思っていても奴らから突っ込んでくるもんだから始末におけない。だから常にゆっくり慎重に。自衛としてはこれしかない。
どれだけ後ろから軽自動車に煽られようと「てめえの為にゆっくり走ってるんだよこのボ〇が」と、優しくアクセルを踏むのである。

③走る道を選ぶのが怖い

これは大型車両ならではの悩みか。
狭い住宅路や側道に迷い込むと出れなくなって詰む。これが少なからずプレッシャーにはなる。
また、車高が4m近くあるので高架やトンネルをくぐる時はかなり緊張する。しばしばニュースでトラックが高架にぶつけたという報道を耳にするだろう。アレ、本当に他人事ではないんだ・・・

対策として、
①トラック専用ナビアプリを使う
(事前に車輛サイズを入力すればそれに応じたルートを設定してくれる)
②Google Earthで事前に経路確認しておく
(道以外にも、目的地の搬入口への入り方や看板有無等を見る)
・・・などしているが、それでも見知らぬ土地を走る以上、想定外の道に迷い込んでしまうことは避けられない。

④朝が早い

世の中の稼働前に積み込みを済ませ、早い時間から配送して回るスケジュールのため、出社が朝の4~6時。支度・通勤時間を踏まえると起床は2~4時。でもって睡眠に7時間は欲しいので就寝が20~21時頃。結果、幼稚園児並みの生活リズムになる。夜のお楽しみ等一切無し。鬼滅の刃もリアルタイムでは見れません。

⑤拘束時間が長い

メリットの方で「ミッションさえ終えれば直ぐにでも帰れる」と挙げたが、そうそう上手くさせてくれないのがこの業界の闇、らしい。積むべき荷物がなかなか出てこなかったり、納品先での降ろしの順番待ちだったり。数時間車内待機するのはザラ。
これが事務系の世界なら「システム改善で〇時間削減、コストダウン達成」みたいなテーマが出されそうなのだがそういう綺麗事とは無縁なのが物流の現場。あーあ、いっそのことPCやゲーム機でも車内に持ち込むか。

⑥給料が安い

トラック野郎が稼げたのは昭和のお話。
上で挙げた拘束時間の長さや瀕している事故・怪我のリスクと天秤にかけると「もらえる給料が安すぎる」という声が多いみたい。個人的には、前述のメリットを差し引いたらこんなもんじゃないか、とは思うのだけどそれは投資をしている身だから?

⑦酒が飲めない

私は飲まない人なので圏外で。
飲む人にとってはちょっと(相当)辛い仕事かも。平日は最低限の晩酌しか出来ないのでは。

心と身体、どちらを取るか

デメリットとして挙げた③道を選ぶ ④朝早い ⑥給料安い。これらは適応さえすればそれほど苦ではないかもしれない。それ以上に深刻なのが①身体へのダメージ ②事故リスク、である。
それらに対して圧倒的なメリットである、人間関係の気楽さ。

言わば「心」と「身体」を天秤にかけ、自分が受け入れられるかどうか。
これがドライバー職に就く上での、大きな判断基準かなと思う。

これまでの私は会社に向かう際、気が重い日の方がそうでない日より圧倒的に多かった。その要因の大半が人間関係に起因するもの。

「あーあ、今日の社内打ち合わせ、めんどくさい奴が出て来るなぁ」
「昨日部下から相談された件、どうやって説得すればいいやら」

それに比べれば転職後、トラックドライバーの仕事に向かう時の気分はずいぶんと軽くなった。現時点では「心」の秤が「身体」の秤を上回っている状態と言えるだろうか。このまま身体への悪さが出てこないことを祈りつつ、対策をとり続けていきたい。

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