見出し画像

【食文化研究】眠れなくなるほど面白い中国の食文化②

どーも、前回の続きです。中華料理の代表、山東料理、上海料理、四川料理、広東料理という4つの料理が、果たしてなぜ、どのように分かれていったのかということが疑問点でしたよね?

まずは前回最後に説明しました、チンリン=ホワイ川ラインについてご説明いたします。高校地理を習っていない方でこの言葉を知っている人はそうそういないでしょうし、習った人でも「あったような無かったような…」という感じでしょう。安心してください。当方が簡潔に説明いたします。

中国にはチンリン(秦領)と呼ばれる山脈と、ホワイ川(淮河)という川があります。チンリン山脈は2000~3000メートル級の山々が連なった、中国中部を東西に貫く山脈であり、長さはおよそ800キロメートルほどに上ります。ホワイ川というのは、長江、黄河に続く中国で3番目に長い川で、長さは1000キロメートルを超えるほどです。こちらも中国中部あたり、黄河と長江の間を西から東に流れております。

それが一体何なのかというと、この2つの山脈と川、実はどちらも同じライン上にあるんですよね。こんな感じで↓

画像1

この上の画像に描かれている、チンリン山脈とホワイ川を結んだこの赤いラインこそが、チンリン=ホワイ川ラインなのです。


はい、疑問は一つ解消しましたが、まだ訳分かりませんね?このラインは一体何なのか、ということが最も大事なのですから。

結論から申しますと、このチンリン=ホワイ川ラインは、年降水量1000ミリのラインと同じなんです。下の図をご覧ください。

画像2

上の図は2009年における中国の年降水量分布(原文ママ)を表した物です。濃い青で塗られている地域が年降水量1000ミリ以上の地域ですね。

この濃い青の地域と薄い青の地域との境目が、チンリン=ホワイ川ラインに一致することが確認できるでしょうか?最初の図と見比べてみると分かりますが、多少のズレはあるもののほとんど同じ地点にラインが引けると思います。要するに、チンリンホワイ川ラインより南の地域では降水量が1000ミリを超え、北の地域では1000ミリを下回ると言うことです。

この「年降水量1000ミリ」という数字は、実は食文化研究においてとても重要な指標となります。一般に年降水量1000ミリを超える地域で無いと、稲作を行うことが出来ないからです。またも図をご覧ください。

画像3

チンリン=ホワイ川ライン(=年降水量1000ミリライン)の南側では稲作、北側では小麦やトウモロコシの栽培が盛んになってますよね?

稲という作物は栽培するのに大量の水を必要とします。要するに、雨がザーザー降るところで無いと稲作は出来ないわけです。だから稲は、モンスーンの影響を受ける日本やタイやインド、年中高温多雨なインドネシアなどの一部の地域でしか栽培することが出来ないんですよね。

ここまで冗長に説明してしきたのですが、果して何が言いたいのかと言いますと、中国という国はこのチンリン=ホワイ川ラインによって、米を食べる文化圏と、小麦を食べる文化圏に分けることが出来るってことなんです。この論説的にいくと、チンリン=ホワイ川ラインより南では米を使った料理または米を主食とした料理が、北では麺や饅頭系の料理が食べられているということになるんですよ。

それって本当なの?とお思いの方、次回のブログでそれを証明し、なおかつ料理文化圏が4つに分かれた理由もご説明いたします。安心してください。


それでは。

この記事が参加している募集

スキしてみて