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【食文化研究】眠れなくなるほど面白い中国の食文化③(最終)

こんちは。

今回でラストですね。ここまで読んでいただいてありがとうございます。

さて、前回までの範囲をおさらいします。中華料理には山東料理、上海料理、四川料理、広東料理という4つの料理がありましたね?それぞれの特徴をもう一度書いておきます。

山東料理
山東料理と聞いてもピンとこない人も、北京料理と聞けばなんとなく分かるかもしれません。山東料理には肉や小麦を用いた料理が多く、北京ダックや饅頭、餃子などが代表的なメニューとなっております。

上海料理
読んで字の通り海産物を用いた料理が良く見受けられます。上海ガニなんて有名ですよね。五目炒飯や小籠包なんかもここ発祥です。

四川料理
中華料理の中で、食ってて「辛っ」てなるやつは大抵こいつです。麻婆豆腐や担々麺、酸辣湯など、書いてるだけで舌がピリピリしてくるようなやつが代表的な料理です。

広東料理
それ以外全てです。マジで。というかこいつがもう中華料理そのものと言ってもいいです。古くからの中国食文化が残ってる場所だし、この地方の人間は「足が二本ある物は両親以外、足が四本ある物は椅子と机以外食べる」と言われているくらい何でも食べるんですよ。

そして、中国の食文化には重要な指標が存在することも書きました。チンリン=ホワイ川ラインです。チンリン山脈とホワイ川をつないだラインによって、稲作文化圏と小麦文化圏に分かれるということもご説明しました。


さて、ではまず、四大料理圏の範囲を地図で示していきたいと思います。下の図でご覧ください。

中国料理-系統区分地図_LI

北方系=山東料理、東方系=上海料理、西方系=四川料理、南方系=広東料理、と考えてください。

上の図に引かれた赤い線が、チンリン=ホワイ川ラインです。これを見てみれば分かりますが、チンリン=ホワイ川ラインによって山東料理とそれ以外が分かれていることが分かります。山東料理には、前述したとおり小麦を用いた料理が多いですよね?(餃子、饅頭など)山東料理に北京ダックなどの肉料理が多い理由は、中国北部が回族やモンゴル人の影響を強く受けているからだと思われます。回族は13世紀に西アジアから来たイスラム教徒の集団であり、モンゴル人は言わずと知れた遊牧騎馬民族です。乾燥帯に住む彼らは農耕が出来ない分、家畜を多く飼育していたんですね。

では、チンリン=ホワイ川ラインより南の、上海、四川、広東料理はどうでしょうか。上海周辺は海や湖が多く、料理に魚介類が良く用いられることは前述しました。ここでは米飯が中心となっています。東シナ海に面したこの地域では、モンスーンの影響で夏に大量の雨が降るために稲作が盛んなのです。もちろん小籠包など小麦を使う料理もありますが、そのほとんどは山東料理の文化が流れてきたものだと考えられます。

次に四川料理です。四川(スーチョワン)盆地では頻繁にが発生します。基本的に盆地は地面からの放射冷却などによって霧が出やすいのです。また、内陸ではあるものの緯度自体は低いので気温も暑くなります。このような気候条件のもと、心配されるのは風土病の蔓延です。四川料理で香辛料をやたらめったら使うのは、この風土病を予防するためだと言われています。医食同源、薬食帰一の考えが表れていますよね。四川では小麦がメインに食べられている地域もありますが、これは四川省などの一部内陸地域において降水量が少ないために稲作が出来ないからだと考えられます。

最後に広東料理です。広東周辺ではほとんどの地域で稲作が行われており、米飯が中心であるのはもちろん、麺を作るにも米粉を使うことがあります。その麺も太さによって名称が分かれているほどです(細いものを米粉、太い物を瀬粉、ひもかわ状の平打のものを河粉と呼ぶ)。古くから「食は広州にあり」と言われているほど、広東料理は中華料理の中でも代表的な立ち位置を示しています。元々は北方から異民族に追われた漢族の宮廷料理の名残であるとも言われているので、ある意味中国の中でも最も歴史のある料理であるとも言えます。ここから世界へと渡っていった華僑たちによって、広東料理もとい中華料理は世に広まっていったのです。


いかがだったでしょうか?中華料理の文化的分類には、気候や思想、民族など幅広いものが影響しているのです。もちろん、中国だけではありません。地球上どんな地域においても「食」というものはその土地のありとあらゆる文化を反映していくのです。これからも様々な地域の食文化について調べていきますので、この記事を読んで食文化についてもっと知りたいと思った方は、是非「スキ」とフォローの方をよろしくお願いします!


それでは。


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