アムリタ
つば広の帽子を被り、日陰で一人、座っている彼女を遠くに見た。
彼女のまだ小さな末の息子は、私の背の上であどけなく話している。
あれから、のことを。
これは夢で、だって、この子はもう中学生になっているはずだ。夢に現れるこの子も、彼女もやはり、当時のまま、歳をとらない。
彼女と親しく話すこともなく、この末息子を通して、今の暮らしを知る。彼女の様子も。
元気そうだ。
薄ピンクのTシャツに、日差しをまぶしそうにいる彼女は、人の輪の中に入らず、ポツンと離れ座る。あのころと同じ。
コロコロと子犬のような他の息子たちは、友達に囲まれ、にぎやかにじゃれ合っていた。
やがて、夫が現れて、皆で帰っていく。
「バイバイ、またね」
足元は水の中で、
ちいさなメダカが泳いでいた。
𓆜𓆝𓆟
いつまでたっても歳をとらない彼女たち
いつまで夢をみるのだろう
いつまでも夢のまま
いつまでも
囚われのまま
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?