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非正規雇用にみる「多様な働き方」の可能性(インプット備忘録9-2)

こんにちは。とあるベンチャー企業でひとり人事をしている朱夏です。

前回の続き!
多様な働き方の中でも、「正社員以外」の働き方についてまとめていきたいと思います。

前編はこちら↓

【前回のまとめ】
 「多様な働き方」とは、働く時間/場所/拘束度に選択肢を持たせることである。労働人口が減っていくことが予想される日本では、なるべく多くの人が労働に参画できるようにするためにも、多様な働き方を実現していく必要がある。
 正社員における多様な働き方には、短時間勤務やテレワーク、コース別一般職/休業などの中断期間を挟んだキャリアなどが挙げられる。


◾️高齢者雇用

定年後再雇用も含め、65歳以上の人を雇用することを指します。
従来は定年後の収入源や社会的繋がりの提供によって高齢者を支援するという「福祉的雇用」の色が強く、他の正社員と比較して働きぶりが評価されない、賃金に反映されないといったことが課題になっています。

今後は専門性やネットワークを活かした活用と技能継承による「戦力化」が求められます。そのためにも、高齢者雇用においても次のような課題があります。

✔︎柔軟な働き方選択:定年制の廃止、短時間/短日数勤務
✔︎高齢者のワークライフバランス:介護休暇の有効活用

高齢者雇用の先進的な事例として、お仏壇のやまきさんの取り組みは参考になります。こちらでは、顧客層と年代が近く仏事知識も豊富なシニア社員に働き続けてもらうために、年間3ヶ月だけ働くという制度を設けています。


◾️契約社員

契約社員とは、「雇用契約に期間の定めがある」社員を指します。
1日あたりの労働時間は契約によって異なりますが、実際は契約社員の90%以上がフルタイムで働いています。

なぜ契約社員としての働き方/雇用を希望するか。
正社員とパート社員の中間的な活用、試験的雇用などいろんな理由がありますが、労働者側/企業側ともに最も多い理由は「専門的資格・技能でもって即戦力として活躍(活用)するため」です(厚生労働省「雇用の構造に関する実態調査」より)。

一方で、企業側にはもう一つ「賃金の節約のため」という理由もあります。
ところが、専門性と即戦力になる技能による活躍となると、もはや正社員と同等に扱わなければならなくなる、すなわち契約社員の基幹労働力化が進むことになります。そうすると、評価基準や賃金の決め方その他の制度において正社員との均衡処遇が次の課題になります。

「契約社員だから」というのは、正社員よりも評価基準が適当でいいとか、賃金水準が低くて良いという理由にはならないのです。
「時間あたり」ではなく「スキル」や「成果」に対してきちんと値段をつけることが求められます。

◾️パートタイマー

非正規雇用の約半分はパートタイマーで構成されていますが、実は最も定義が多様で捉え所が難しいです。(2017年総務省統計局「就業構造基本調査」)

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一般的には、労働時間が週35時間未満の社員をパートタイマーと呼びます。
が、各職場では単に正社員より労働時間が短かったり責任範囲が狭ければパートと呼ぶ場合もあります。

週の労働時間で定義する場合は雇用期間の有期/無期は関係ないため、「有期で労働時間が短い=パート」と考えるとズレるので注意が必要です。
(大企業に勤めるパートタイマーの90%以上は有期ですが、全体で見ると有期/無期は半々であると言われています)

パートタイマーの活用における問題点と課題は、契約社員の場合と少し似ています。

✔︎パートタイマーの基幹的役割の増大
 →高いスキルを持っていたり、正社員と同等の責任や権限を持って働いているパートタイマーの依存しっぱなしの状態が続くと、中長期的にはサービスの低下や人材育成に支障をきたす恐れがあります。
また、パートタイマーにとっては「正社員と同じだけの仕事しているのに!」と賃金格差への不満が発生する可能性があります。

✔︎家族の役割の多様化
 
→正社員=生計をメインで担う、パート=家計補助、の図式が崩れてきており、パートタイマーの収入で家計を支えている世帯も珍しくないです。こういった現状に加えて、先に述べた賃金格差への不満という状況が続けば、働く人たちがどんどん追い詰められてしまうのは想像に難くないです。

✔︎正社員の多様な働き方を後押しする役割?
 
→正社員だけが仕事一辺倒な生き方を背負うのではなく、ワークライフバランスを追求していくべきであることは前編でも書きましたが、その推進には基幹労働力として活躍するパートタイマーの存在がキーになると考えられます。
責任と仕事を正社員とうまく配分し、それによってパートタイマーとの均衡処遇が実現できれば、両者にとってwin-winな状態が築けるかもしれません。

結論、パートタイマーの基幹労働力化を前提に人事管理制度を整備することが求められています。これは、正社員と水準を揃えるということはなく、職能資格や研修に正社員と同じようなバリエーションを持たせましょうということです。


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前後編にわたって、「多様な働き方」について書いていきましたが、これらの働き方を、一人ひとりが自分の意思で選べるようになることが何よりも重要です。

例えば、パートタイマーの多くが主婦層であったり、20代〜30代男性でパートタイマーをしている人たちの3割はその状況を「不本意」だと思っているのが現状です(2014年厚生労働省「就業形態多様化に関する総合実態調査」)。

柔軟な労働がかえって男女格差やキャリア格差を助長してしまっては本末転倒。
全部を一気に変えることは難しいですが、こういった点にも気をつけながら少しずつ活路を見出していきたいですね。


この1週間で講座2回分、記事にして4本分書きましたが…
こういうのは一気にやるもんではないですね(=_=;)
日頃からちまちまやっとくべきだった…

続きはまた年明けに書いていきたいと思います。
それでは今日はこの辺で( ˘ω˘)

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