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老人ホーム選びのポイント

老人ホームを選ぶ際に意識すると良いポイントを時系列に並べてみました。

①キーパーソンを決める

 キーパーソンとはその名の通り、老人ホーム選びの際、意思決定の舵取りを行う人のことです。入居する本人がまだお若く意思決定をご自身でされる方であれば、キーパーソンは本人になります。それ以外の場合は、息子様や娘様がキーパーソンとなるケースが多いです。中には、ケアマネジャーや後見人というケースもあります。はじめの段階で、このキーパーソンをハッキリと定めておかないと、なかなか意思決定ができなかったり、揉めてしまうケースがあります。そのため、まず初めに設定することをお勧めします。

②優先順位を決める

 キーパーソンを決めた後は、優先順位の設計です。よくある優先度トップ3は以下です。

1.料金
2.立地
3.スタッフの質

その他にも、例を挙げておきます。
レクリエーション内容、食事内容、看護師配置、人員配置数、入居者の平均介護度、入居者の平均年齢、スタッフの男女比、スタッフの年齢層、施設長の人柄、運営法人の信頼度、個室の充実度(水回りの品質、広さ、日当たり、備え付き家具の有無など)、入浴設備の品質、築年数、共用部の広さ

③老人ホームの種類を知る

老人ホームは種類が多く、尚且つ複雑です。初めて介護の世界に触れる方にとっては、簡単に理解できるものではありません。代表的な分類は以下です。

【介護保険3施設】
その方の収入状況によって、利用料金に変動がある施設です。一般的に料金は安いと言われています。設置は、社会福祉法人、医療法人、地方公共団体の3つにのみ許されています。3つそれぞれ機能に違いがあります。

1. 特別養護老人ホーム
 要介護3以上の方が入居対象になります。都市部を中心に待機者が多数います。60名〜100名の大規模な施設が多いです。

2. 介護老人保健施設
 要介護1以上の方が入居対象となります。在宅復帰のためのリハビリ施設という位置付けです。施設によりますが、3ヶ月〜6ヶ月ごとに退所の更新があるため、終身で利用できる施設ではありません。

3. 介護療養型医療施設※廃止予定(介護医療院へ)
 その名の通り、療養を目的とした施設です。医療療養型病院という医療保険の枠組みの施設とは、医療依存度での棲み分けとなっております。今後は廃止され、介護医療院となります。

【有料老人ホーム】
1.介護付き有料老人ホーム
 介護度に応じた固定の介護保険費を支払えば、施設で必要な介護を提供して頂けます。下記の3つより料金相場が高いのが特徴です。

2.住宅型有料老人ホーム
 介護付き有料老人ホームとの一番の違いは、介護保険費が一定金額ではなく、利用した分だけというところです。したがって、介護保険の利用方法については、在宅介護サービスと変わりありません。とはいえ、老人ホームには違いがないので、介護保険の隙間で必要な介護の補充はそれぞれの施設で特徴は違えど、行われています。住宅型有料老人ホームはここが運営法人によって大きく差が出るポイントになります。

3.サービス付き高齢者向け住宅
 上記の住宅型有料老人ホームと大差ないです。強いて言うなら、管轄の違いです。住宅型有料老人ホームを含む全ての介護施設は厚生労働省の管轄です。しかし、サービス付き高齢者向け住宅は厚生労働省と国土交通省の2つの管轄です。なぜかと言うと、サービス付き高齢者向け住宅は、あくまでマンションの延長線上にあるものと捉えられているからです。特別養護老人ホームの待機者の増加が顕著になってきた2010年代初頭から、国の補助金も合間ってたくさん建てられてきました。当初は自立向けとして運営されていましたが、重介護度の方をターゲットにしている運営法人もあり、こちらも住宅型有料老人ホーム同様、法人によって特徴は多様です。

4.グループホーム
 認知症の診断が出ており、要支援2以上の方が入居対象となります。他の有料老人ホームと同様、民間の営利法人も運営が認められていますが、運営面での規制が多い施設で、料金はどの施設でもほとんど横並びです。建物の造りも決まっており、1ユニット9名のフロアを最大3ユニットまでとなっております。ざっくりとしたイメージとしては、まだお身体はお元気な認知症高齢者のシェアハウスみたいな感じです。スタッフと一緒に家事を行ったりします。

【その他(分類がややこしいもの)】
1.シニア向け分譲マンション
→高齢者でも賃貸契約が比較的容易に結ぶことができるバリアフリー&コンシェルジュ付き&緊急時にも安心の分譲マンションです。

2.高齢者専用賃貸住宅
→明確な分類がされていない、ひと昔前の施設の名残です。現在は、住宅型有料老人ホーム、もしくはサービス付き高齢者向け住宅の認可を受けて運営しているところがほとんどです。

3.軽費老人ホーム
→地方公共団体、社会福祉法人にのみ設置が許されています。軽費老人ホームの中でも分類わけがされており、本来は自立向けですが、要介護状態になっても生活できるところもあります。料金は介護保険3施設同様、比較的低料金のところが多いです。しかし、数は限りなく少ないです。お住いの近くにあれば一度検討してみても良いでしょう。

4.健康型有料老人ホーム
→日本全国をみてもほとんどないです。分類名をあまり気にしなくて良いです。介護付き有料老人ホームと大差ありません。

5.医療療養型病院
→介護保険3施設の1つである介護療養型施設と近いのですが、こちらは医療保険を使ういわゆる病院です。医療依存度の高い方が対象となります。

④地域性を知る

 老人ホームを探す場合は、ご自身が住んでいる地域の特性を知ると納得度が高まるかと思います。具体的には2つです。

1. 施設の種類と数
2.料金相場

 まず1つ目ですが、基本的に人口が多い都市部の方が、施設の数は多いです。ただし、介護保険3施設に関しては、公共サービスという位置付けのため、全国各地隈なく設置されています。病院や学校と同じイメージです。一方で、有料老人ホームは都市部にしかありません。当たり前ですが、営利法人が運営主体となっているため、利益をあげるため、人口の多い場所に建てて、稼働率をあげているのです。過疎地域で老人ホーム探しをする場合は、役所に相談して介護保険3施設を検討すると良いでしょう。人口が少ないため、空室もあるかと思います。問題は都市部で探す場合です。選択肢が多く、複雑きわまりないです。②で立てた、優先順位が道しるべとなります。相談先は、まだ介護保険サービスを利用したことがない方であれば、地域包括支援センターへお尋ねください。介護保険サービスを既に利用されている方は、担当のケアマネージャーにお尋ねください。病院へ入院中の方は、担当の退院支援ソーシャルワーカーにお尋ねください。これら専門職へご相談していただければ、社会資源の紹介を受けることができます。その社会資源の1つとして、老人ホーム紹介会社があります。ネットで老人ホームを掲載しているだけの紹介会社より、専門職とつながりを構築している紹介会社の方を私は、おすすめします。

 次に2つ目ですが、料金相場は大原則、家賃相場と重なります。ただし、家賃と違う点として、老人ホームは働き手の確保と、稼働率の確保がとても大切なため、過疎地域にはそもそも有料老人ホームがほとんどありません。例外として、グループホームは意外とあります。
 大都市の好立地に位置する老人ホームや、高級住宅街と言われる場所に位置する老人ホームは、富裕層をターゲットにしたものになります。一方で都市圏でも、入居者の集まりやすさと働き手の集まりやすさから、老人ホーム同士の価格競争が激しく起こり、料金が大都市圏外より低いエリアがあります。例えば関西圏の場合、淀川以南の大阪市内。関東圏の場合はJR高崎沿線の埼玉エリアなどです。このあたりは、地域に密着した老人ホーム紹介会社が詳しいです。

⑤料金の内訳を知る

 施設の利用料金に上乗せしてかかる費用があります。これは、施設によって変わります。介護保険3施設は、利用料金に介護保険費も含まれますが、有料老人ホームでは含まれません。一般的な概算は下記をご参考ください。

1. 施設の利用料金
2. 介護保険自己負担金額(1割,2割,3割)
3. 医療保険自己負担金額(1割,3割)
4. 介護用品費(オムツなど)
5. 日用品費(トイレットペーパー、歯ブラシなど)

⑥見学をする

 最後に、実際にご見学されることをオススメします。ご本人のご見学が難しい場合は、キーパーソンのみの見学でも受け付けてくださります。施設の雰囲気を知るには見学が一番です。老人ホーム紹介会社に相談すると見学調整も代行してくれます。


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