見出し画像

空港ピアノ、そして音楽のこと

受験期に入ってずっと休み続けているピアノ教室の先生から連絡があって
ねっちは空港でピアノを弾くイベントに出るように言われる。

弾く曲も先生が指定してこられたし、教室全体で「団体戦」かと思いきや、冷たく「ネットで個人で申し込んで・・・」と素気なく、なんのこと?と訳が分からない。

「強制じゃなかったら別に行かなくてもいいんじゃあ」と言ったのだが
「出るって言っちゃったから」と自分でさくさくと申し込みをして
でも練習するわけでもなく
当日も一度もピアノに触らず、空港に。

ボーダーの丈の短いニットにライトブルーのデニム、
で、
「靴だけはちゃんとして」と言われているので
発表会ではいている黒い革靴というスタイルで、
まずはマスクしたまま1曲。
グランドピアノ。めちゃいい音。
で、本番。
撮影されている。
テンポも音量も気持ちいい。
いい感じだ。
このイベントは後日、YouTubeでも見れるとのこと。

ねっちは何とも思ってなくて、淡々と弾き切るが、
母も兄も、そして祖父母までその時間に空港に駆けつけるというけっこうなイベントになったし、
何より、空港で、こんな公共の場で通りがかりの全然知らない人達にも聴いてもらえるという状況。
これは、すごいいいよねっ、って思う。

ストリートで演奏してみたい っていう憧れがあった頃を思い出す。

それを15才で軽~くできちゃう娘。羨ましい。

そして、自分が演奏することに対してなんら執着のない彼女は
高校生になって全然違うことをしたがって
ピアノ教室にもう戻らないかもしれない。

どんな形であれ音楽を続けてくれたらっていう思いはあるんだけど。

私はピアノを弾く娘が小さな頃から大好きで、ファンでもある。
自分の娘とか関係なく
ピアノを弾く彼女はいつも美しい。


坂本龍一さんが亡くなった。

そのことに関して周りに話せる人がいなかったので、
ただただ一人でたくさん音楽を聴いた。

幼い頃から聴いていたし、楽譜を買ってその曲を弾かせてもらったりもした。
この映画にこれ以上の曲はない どうしたらこんな曲を作れるのか
こんなに”ぴったり”の旋律をどうやったら出せるのか、、おののいていた。


世界中には有名なピアニストがたくさんいて、きっとめちゃめちゃ上手いのだろうけど
でも、自分が”好きななピアノの”音質”があって、
それは例えば、上原ひろみだったり中村佳穂だったり藤井風であったり。
で、原体験が、、坂本龍一だったのではと思う。

坂本龍一の音楽がかっこよくて、弾きたいって思って
下手なりに楽譜を見て弾いていた頃を思い出す。

で、娘のストリートピアノを今回目の当たりにする。

音楽が好きだな。ずっと。

悲しいことに
そんな音楽が好きじゃない人よりも私は音楽の能力がなかった。

演奏したい
歌いたい
踊りたい
音楽がしたい

これ何千何万とやっても変わらないだろうと思っても
毎日車の中では歌うし
家でも会社でも隙間の時間に踊る。
あ、、でも全然楽器は触ってなかったわ。


じわじわと小指から第一関節が固まってきている。
弾けるうちに。
1曲でも。
空港でもどこでも、外で弾けたら気持ちいいだろうな。

友人が80才を過ぎた母がピアノ教室に行き始めた
で、自分もまた弾こうと思ったという話を書き送ってくれた。

めちゃめちゃいいな。

今からでもまだ全然始められるって、、、そう言われている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?