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100年の孤独/放哉に想う〈Vol.8〉  酒に溺れてゆく先は

冷酒の酔のまはるをぢつと待つて居る

尾崎放哉全句集より

アルコールやギャンブル、薬物などにはまり込むのは、少し前まで”〇〇中毒”と言われ、意志が弱くてだらしない人間、というのが一般的な見方でした。しかし、いまは脳の病気のひとつとされ、依存症と呼ばれています。
放哉は依存症だったのでしょう。21歳で酒を覚え、病魔に侵され41歳で亡くなる少し前まで飲み続けていたようです。しかも酒癖が悪く、失策を繰り返していたといいますから。社会的評価が落ちることは自明の理。そんなことは百も承知で酒に溺れたのは、おそらく精神の平衡をそこに求めていたに違いないと思います。
東大卒後、一流会社勤めから一転、無一物の身となり、流浪の生活を送る放哉。その軌道とはうらはらに放哉俳句は輝きを放ちます。




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