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自分だけの幸せを

私は他人に認められたくて今まで勉強も読書もしてきた。他人というのは親や友達、教師とか、もう会わなくなった友達に。
1クラスしかない過疎な小学校で、塾に行ってたからちょっと周りより勉強が出来るだけで天才だって言われて、親にも期待されて私立の中高に行って、京大目指すって言って教師にも期待されて、でも私本人が一番はじめに、そんなこと無理だって気づいたから学校にさえ行けなくなった。

受験を失敗したこと自体が辛いんじゃなく、ひとの期待を裏切ったのが、もう会わせる顔が無くなるのが一番辛かった。私以外みんな頭の良いクラスで、私だけが数週遅れてんのに一緒にトラック走ってる感じで、異物で、本当に“会わせる顔がない”って表現のままだった。ベッドから出られないのは、人に顔を見せたくなかったからだよ。

私は本当の意味での志望校なんてなくて、宇宙が面白いから理学部行きたいってだけの理由で適当に理系に進んで受験勉強してた。
でも、正直言って今でも自分が理系なのか文系なのか分からない。文学や芸術全般が好きだから文系に行きたい気持ちもあるし、宇宙物理学や生物学を研究する世界にいたいとも思う。大学に行きたい気持ちはあるのにずっと受験勉強に意味が見出せなかった。本当は、意味なんて見つけなくてもただ行動するのが一番良かったんだけど私にはそれができなくて、ずっと悩んで、本から知識を得ようとしたけど、結局一年半の間なにも勉強する理由を見つけられなかった。

自分探しなんて途方もないからやめな、とか、自分を哲学者かなにかだと思ってるんか、とか、遠回しに言われたことがあって、実際金言とされているものの中には、考えずに行動しろっていうのが何度も出てくる。
気分が乗ってる時だけは私もそれに同意してきたけど、やっぱり、ちゃんと考えてからじゃないと行動できない時の方が多い。本当に、なんで大学に行くためにあんな受験勉強をしなければいけないのか分からなくて、答えが出なくて、硬直していた。

私が理系科目に興味を持ったのは、憧れた人が理系で賢かったから。それで私は一番上のクラスに行くために勉強をして、高3の時にやっと上のクラスに行くことができた。その時点で私の勉強に対する熱は溶けていて、受験勉強の意味を見失っていた。私はただ頭の良いクラスの人たちの仲間入りをしたかっただけだったから。もうそこからは何もしなくなった。
結果論だけど、あの時、高3のクラス替えで、私があのまま上のクラスに行けてなければ、まだ受験勉強のモチベーションは保てたはずだ。私が、1年前の高2の時のクラス替えで、努力したのに一番上のクラスに行けなかった時の日記には力強く恨みが書かれていて、反骨精神があったから、実際本当にクラス替え一つで人生変わってたのかもしれない。

最近、というと確か一昨日の話になるけれど、本屋に行くためにイオンのエスカレータを登っていたらふと、私の人生って私のものだよな……と思った。
言葉にしたらありきたりだし普通のことだけど、今までそんな自覚がなかった。君の人生は君のものだよ、みたいなフレーズはよく聞くけど、俺の人生は俺のモンだぜって自覚できて、その通りに強く生きている人ってあんまりいないんじゃないかなあ。
結局、私も他人の評価のために大学を決めているところがあるし、親のために学校に通っていたし、あるいは、出席日数で留年しそうになった時は、このまま周りから認識されているキャラクターのために留年しちゃってもいいかなと思っていた。

自分の意思を持って生きよ、とは言うものの、どこまでが自分の意思のラインなのかはっきりしないじゃん。他人の評価を気にして生きるのは自分の意思がないように見えるけど、よく考えればそれによる行動も自分の意思の範疇なんじゃないか。あるいは逆に、自分の意思による行動だと思っていたことも実は周りの人やメディアに唆された結果なんじゃないか、とか。
この間、お前は本ばかり読んで頭でっかちで知識はあるけど結局自分の意見は無いよね、著者の言い分の転用だよね、と言われたことがあった。
自分の意見ってなんだ、と思った。本で得た知識が血肉になって自分の言葉に変換できても、結局それも元となった本の意見で、その本の意見も歴史的に見ればある原点から引かれた線の上にあって、じゃあ、紀元前の学者くらいしか自分の意見ってないんじゃないかって思うくらい、何が何だか分からなくなった。

ちょっと前までは成功者になりたい一心で、思い描く妄想も支配者チックなものが多かったけど、最近は、自分だけの幸せを感じれたらそれでいいかと思うようにもなってきた。いや、もっと言うと本当はその上で他人に自分の感じるきらめきを伝えられたら素敵だと思うんだけどね。
私はなにか感動するものに出会った時「宇宙の接続」と自分が勝手に呼んでいるものが見えるんだけど、色んな本を読んでこれに似た話は見つけられてもまだ自分の納得のいく説明は出来ないから、これを伝えられるくらいになりたいとは思う。

何を書こうと、そもそも私は何も成してない人間だから、全部ただの言い訳になってるのが、窮屈で、どうにかしたいのにどうすればいいのか分からないしんどさがある。
あるのかも分からない、というより、諦めるまで少しも光が漏れてこない洞窟で出口を求めて歩いてて、諦めたら良いのに、でも、こう書いてても、自分でも本当に「諦めたら良い」のか分からない。諦めなくても活路はあるんじゃないかって思ってしまう。
本当に、切実に、自分がなにがしたいのか分からんな。という話。


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