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読書感想【イスラーム国の衝撃】

イスラーム教のことを学ぶために購入した.

この本の出版された年は2015年で,本の内容はイスラーム国 中心である.しかしイスラーム教のことを学ぶのに問題はないと思う.


本を読んで一番驚いたことは,人質にオレンジ色の服を着せていた理由がきちんとあったことだ.

イスラーム国にとらわれてオレンジ色の服を着た人質の映像は当時よく報道されていた.私もテレビで見ていた.

このオレンジ色は,キューバのグアンタナモ米軍基地内の収容所とイラクのアブー=グレイブ刑務所で着せられている囚人服の色からきている.収容所における不当な扱いを憤るイスラーム教徒たちに対して,人質(欧米人)の処刑は「正当」であることを示す思惑があるようだ.計算された行為でなるほどと思った.


イスラーム教の考え方も随所に書かれている.

「『アッラーの道のための』という目的にかなった戦闘をジハードと捉え,それへの参加がイスラーム教徒一般に課された義務」というのはイスラーム法学上 定説である.これだけ見ると恐ろしい人たちに見える.

一方で常に全員がそれらの戦闘に参加する必要はなかったり,イスラーム教の根本教義である終末論が訪れることを信じるなら あえて行動しないという考えも成り立ったりと解釈の幅が意外と広い.それなりに柔軟性はありそうだ(義務を果たしている人は崇高であるとしているので手放しには喜べないが).


イスラーム主義穏健派が台頭してくれれば地域の安定にとって都合は良いものの,過去に穏健派が台頭し失墜している歴史があるため難しいだろう.

外部から中央政府を支えるにしても,我々は従属的な立場に立たされている,つまり自分の国が異教徒に支配されている という認識をされれば戦闘が発生するはずだ.

宗教と政治が密接に関わっていると面倒なものだ.



以上.

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