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Paul Simon

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Paul Simon の記事は、アルバムごとに思いのたけを綴っていく予定だ。おそらく多くの記事が、軽く5000文字超、しかもそれでも語り足りない、そんな個人的な記事ばかりになるは… もっと読む
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ポール・サイモン「七つの詩篇」:Paul Simon "Seven Psalms"

ついに、5/19にポール・サイモンの 7年ぶりのアルバム "Seven Psalms" がリリースされた。静かなアコースティックな音作りと楽曲で静かな感動に震える。美しいジャケ写もいい。風景画家トーマス・モラン(1837 - 1926)の『二羽のフクロウ』の一部を拡大したものだということである。 リリースは先月に予告され、本人のインタビューも聞けるトレーラーが YouTube に上がっていた。少しづつ少しづつ音楽を創りこんでいる様子が垣間見える。妥協を許さない姿勢が迫力だ。

Paul Simon: Simon &Garfunkel "Bridge Over Troubled Water"

"Bridge Over Troubled Water" 「明日に架ける橋」は、あまりに有名なタイトル曲と "El Condor Pasa (If I Could)" 「コンドルは飛んで行く」、 "The Boxer" 、コミカルな "Cecilia" などのヒット曲の他、佳曲が揃っており、全曲が丁寧に作りこまれ、S&G の様々なスタイルを網羅しつつ、アルバム全体の統一感もある素晴らしい出来のアルバムになっている。 このアルバムは、S&Gのいいところを総合して余すところなく

Paul Simon: Simon &Garfunkel 1968 "Bookends"

S&Gのアルバムは、サウンドトラックの "The Graduate", ベスト盤の "Greatest Hits" を除くと 5枚しかない。 "Wednesday Morning, 3AM" (1964年) "Sounds of Silence" (1966年) "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme," (1966年) "Bookends" (1968年) "Bridge Over Troubled Water" (1970年) 前回、この

Paul Simon: Simon &Garfunkel 1964 - 1966 ”The Sound of Silence"

S&Gのアルバムは、サウンドトラックの"The Graduate", ベスト盤の "Greatest Hits" を除くと 5枚しかない。 "Wednesday Morning, 3AM" (1964年) "Sounds of Silence" (1966年) "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme," (1966年) "Bookends" (1968年) "Bridge Over Troubled Water" (1970年) 今回は、こ

Paul Simon "The Paul Simon Song Book"

1981年のサイモン&ガーファンクルの再結成コンサートについては、前回、アルバム"Hearts and Bones" を取り上げたときに書いた。 S&Gの名曲といえば、まずあがるのが "The Sound of Silence"だろう。「映画「卒業」で使われた」というのが枕詞のように使われるし、多くのミュージシャンがカバーしているし、親しみやすいメロディと印象的なギターのイントロのフレーズで、多くの人が知っている名曲だろう。もちろん、ポール・サイモンの作詞作曲で、1964年

Paul Simon "Hearts and Bones"

前に書いたが、アルバム One-Trick Pony のあと1980年代の前半、ポール・サイモンはかなり迷い苦しんでいたのではないだろうか。1983年のアルバム "Hearts and Bones" にはそれが現れていると思う。 1曲目の Allergies はアル・ディ・メオラがリードギタリストとして迎えられ、独特のパーカッシブな超高速ソロを聴かせる。ドラムスはスティーヴ・ガッドにスティーブ・フェローンも加えてツイン・ドラム、ベースがアンソニー・ジャクソンだ。重厚なリズム

Paul Simon "One Trick Pony"

たぶん中学3年か高校1年のとき、43年くらい前だったと思う。父がアメリカに出張に行くということだったので、ポール・サイモンのレコードをお土産に買ってきて欲しいと頼んだ。ずいぶんと無茶なお願いに父は答えてくれた。買ってきたレコードが、この "One Trick Pony"だった。 1975年の名盤でグラミー2部門で受賞の "Still Crazy After All These Years"のあと、1977年に "Greatest Hits, etc" をリリースした後に、C

Paul Simon "Live Rhymin'"

今年の5月に、Paul Simon が新しいアルバム "Seven Psalms" 「七つの詩篇」をリリースした。今年の一番の感動だったかもしれない。 ポール・サイモンのことをいろいろ書いてみたいと思った。まず、最初は、私が生まれて初めて買ったレコード、"Live Rhymin'"。 中学校にあがったばかりのころだったと思う。貯めてたお小遣いを握りしめて、駅前の商店街にあったレコードショップに入って、この一枚を買ったのだった。家にあった家具調のステレオセットにセットして、

アート・ガーファンクル:Art Garfunkel "Scissors Cut"

ポール・サイモンのことを書こうと思うと先に、アート・ガーファンクルのことを書いておかないと落ち着かない。サイモンとガーファンクル (S&G) のアート・ガーファンクルのことだ。 先週からいくらかソロ・アルバムを聴いていた。特に、1981年の "Scissor's Cut" (シザース・カット)を30年ちょいぶりだろうか、何度か聴いてみた。ジャケットはモノクロの写真で、聖歌隊の少年のような生真面目そうな顔でまっすくにこちらを見つめる目が印象的だ。 改めて、いいアルバムだと思