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なるほど!あなたならどう使う?好感度を高める心理学的アプローチ

(写真は玉造温泉の川縁に咲く桜並木:2021年3月撮影)

好印象を持ってもらいたい。

第一印象を良くしたい。

新年度に新しい職場や学校に入る人はもちろんのこと、だれでも面接や営業など好印象をもってもらいたいと願う場面はよいあるでしょう。

ひとむかし前に「人は見た目が9割」という本がベストセラーになったほどですから、第一印象を良くしよう、好印象を持ってもらいたいと誰もが思うのでしょう。

好印象を持ってもらうということが、良い関係を築くためだけではなく、マーケティングやブランディングなどビジネスにおいても、成果に繋がるからです。

また、何とか獲得した人材が離職しないように好印象を持ってもらおうと考えるリーダーもいるでしょう。

自己満足のためにだけ好印象を持ってもらうわけではありません。好印象を持ってもらうことを成果に結びつけるわけですから、取り組まない手はないでしょう。

今回は好感度を高める心理学的アプローチについて取り扱います。

単純接触効果(ザイオンス効果、ザイアンス効果)

聞いたことがあるしょう。

たとえ閾下いきか、つまり自分で知覚していることを認識していない「サブリミナル」の状態であっても、くり返し接すると好印象や好感度が増す効果のことです。

ポーランド生まれのアメリカ社会心理学者ロバート・ザイアンス(Robert Zajonc 1923-2008)が1968年に発表したため、彼の名前をとってザイオンス効果と呼ばれています。

ポーランドの姓「Zajonc」なので綴りを見ただけでは英語を母語とする人は、発音ができないこともあるのでしょう。

英語では「mere exposure effect(単純接触効果)」と表現します。

広告は全て「単純接触効果」を考慮していますよね。

SNS広告でも、テレビでも同じ広告を見ることによってその商品に対する好感度が増すからです。

モノに対してもヒトに対しても同じような効果があることが分かっています。

人柄が良いであるとか、親切な人であるとか、味方になってくれる人であるとか、高度の認知を必要としません。

単純に接触回数が多い方がより好感を持ってもらえるという効果なのです。

ですから、映画やドラマなどを使ってアパレルメーカーなども商品を提供して単純接触効果を狙うわけです。

noteでも同じ時間に投稿をするのは、単純接触効果があるからです。

同じ時間に投稿することによって、ランダムに投稿するよりも接触回数が増える可能性が高いわけです。

広告だけではなく、対面の営業でも同じです。足繁く見込み客のところへ出かけることで、好感を持ってもらおうとします。

現場に足繁く訪問する社長に対しても同じような効果が働きます。

「じゃ、また会いましょう」の効果

単純接触効果では何もせずにただ目に触れてもらうだけで、好感度が高まるという効果を実証したのがロバート・ザイアンスです。

その後、様々な研究が行われています。

Journal of Experimental Social Psychology(試験的社会心理学ジャーナル)に掲載されている調査結果では、意外な効果が実証されています。

最初の接触の際に、「将来的に再び会いたい」と伝えるだけで、実際に接触するのを待つことなく、その時点で好感度が高まることを実証したのです。

あなたが「また会いましょう」と相手に言うことによって、相手が自分に対して、あなたが好意を持っていると考えるからだとしています。

つまり、自分に対して好意を持っていると思われる人に対して、好感度が増すということなのです。

どのような意味があるのか?

相手に好かれていると思えば、その相手のことを悪くは思わない、そんなの当り前。

一体何に使えるの?

色々な適用があるでしょう。

ひとつご紹介いたします。

ある経営者の方からご相談を受けました。新しい組織に移動となり、最初に全スタッフに対してあいさつをするが、あいさつで前任者との違いをはっきりさせたいとのことでした。

組織のビジョンは同じなのですが、ビジョンを達成する際の理念に違いがあり、その違いを明確にしたいとのことでした。

自分の考え方を良く思っていない人間が必ずいるはずなので、最初から違いを打ち出したいのだとその理由を話して下さいました。

しかし、私からは最初のあいさつで違いを明確にすることにより、不必要な対抗意識を煽る可能性があることお伝えしました。

そして違いを明確にする事よりも、自分の期待とスタッフ全員とビジョンを達成することへの肯定的な期待から始めることの有用性をお話ししました。

自分に対して好意を持っていると思われる人に対して好感度が高まるという効果を考えると、スタッフ全員に対して好意を持っていると伝えることで、この経営者の方への好感度が高まるだろうと考えたからです。

この経営者の方は、メッセージを熟考なさってビジョン達成に対する自らのコミットメントをお話しになったことを後日報告頂きました。

そして、異なる考え方を持っていると思っていたスタッフが非常に積極的に取り組んでくれているとのお話しを聞かせて頂きました。

最後にもう一つ。

「トイレを綺麗に使って頂いてありがとうございます。」というサインはこの同じ効果を利用していると言えます。

最初から相手を疑ってかかることで不必要に好感度を下げるのではなく、こちらから好意を持って接することにより、相手が自分に対して好意を持つ手助けをしているのだと考えてみてはいかがでしょうか。


最後までお付き合い下さりありがとうございます。





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