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ギャップ萌え

――ギャップ萌え。

私が今まで経験したギャップ萌えは、高校2年、3年で同じクラスだった演劇部のAさん。このAさんのギャップを超える人に、今のところ出会っていない。

Aさんとは、2年のクラス替えで一緒になった。
高校生ともなれば、みんなそれぞれ大なり小なりグループをつくり、またグループに所属しているもので、Aさんは割と目立たないグループに所属している、言ってみれば目立たない生徒だった。ただ、私はなぜか話す機会が多く、割と印象に残っている。

ギャップというのは、その年の11月の文化祭の時。
ちなみに私は吹奏楽部で、文化祭はかなり大きな舞台だったので、クラスの出し物は全く手伝わず、部活を最優先するという最低野郎だった。
(ウチの高校は吹奏楽部の強豪校であり、しかも顧問の先生が校内でかなりの権力を持っていたので、暗黙でそれが許されていた)

さて、文化祭では吹奏楽部の演奏の後に演劇部の発表があり、楽器を持ってステージ袖に引っ込んだ時だった。

控室(みたいなところ)にいたAさんと目が合った。
男物のスーツ(黒)をビシッと着て、肩まである髪を後ろでまとめている。
何と言うか、もう「え???」という感じ。
一言二言、言葉を交わしたような気がするが、何を話したかは覚えていない。

そして私はこの時、Aさんが演劇部の部員だということを初めて知った。

演劇部の発表は凄かった。

内容としては、「学校に不満がある生徒数人が学校や教師に宣戦布告する」、言ってみれば「ぼくらの七日間戦争」の縮小版みたいな感じ。
(年代的に、演劇部は意識していたと思う)

Aさんは生徒側と教師側の仲介役みたいな存在で、時事ネタを含めた難しい単語や長台詞が多く、とにかくいつも見ているAさんは別人だった。

声も喋り方も、全然違う。

日頃から「文化部は吹奏楽部以外に要らない」という偏りまくった考えを持っていた私は、ただただ「すげぇ」と感心し、圧倒された。

もちろん、「すげぇ」と感心したのは私だけではない。

文化祭の日から、クラス内でAさんを見る目がガラッと変わる。

「カッコよかった!」
「あんな長いセリフ、どうやって覚えるの?」
「役者さん目指せば?」

ドラマとか漫画だったら、「Aさんはクラスの人気者に…」となっただろうが、どうやら本人がそれを望まなかったようだ。

Aさんは、いつものAさんに戻った。

3年になり、私は吹奏楽部の部長、Aさんは演劇部の部長になり、話す機会が多くなったが、別に何も起こらなかった。

俳優の松本穂香に似ている美人さんでした。

一体どこで何をしているのかな…なんて、ちょっと思う。


ギャップ萌えなんて、今さら感がありますが…。
先日の記事「義理って時代遅れ?」で思い出したので、書いてみました。


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