見出し画像

《詩》何度目かのはじめまして

 
いいよ、僕のことをきらいでも
ほら夕空が美しいから
いいよ、僕のことをいやになっても
今夜もベリルがきらめいているから
 
前世のきみが手を振っている
後ろには風に波打つ草原と星
今回もさいごまで生きてみるよ
きみの波うち際に腰をおろして
みなもがひろがる 思うがままに
 
手を振り返してみる
笑った瞳の、
あざやかな色に似ている鉱石を探して
途方もないくらい
何度でもするよ
だって今夜も見えない場所から
そっとささやかに
話しかけてくれるから
何度でもこの命をしてみるよ
だからきみもまたつづけてね
たまには森に散歩にでかけたり
好きな音楽をかけたりして
命をしていけたら やっていけたら
いっしょでもいい 各々でもいい
いつか
何度目かのはじめましてが
できるように

古屋朋