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PANAMAMANのお蔵出し~新宿・渋谷編

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都内の食べ歩きや買い物などについて、徒然なるままに書き留めています。
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記事一覧

他人の芝は、青い「餃子荘ムロ」高田馬場

高田馬場駅戸山口出口から数分、大通りへ出る坂道の途中に餃子荘ムロはある。こちらの店は、池波正太郎のエッセイにも登場しており、ご存じの方も多いだろう。昔風の、薄皮餃子を出す老舗である。 古めかしい木戸はなぜか赤色のペンキで塗られており、ムロのレトロな看板とあわせていい雰囲気を醸し出している。 餃子は注文してから作り出すので、ある程度時間がかかる。そのため、注文するときに気持ち多めに頼んでおく。その時に難儀することが、なんの種類の餃子を頼むか、である。 ふつう、にんにく、チ

マイファーストタピオカ「Grand Oasis」高田馬場

高田馬場駅から早稲田通りを西へ。地元民に人気のオオゼキというスーパーマーケットのはす向かい辺りに、とてもとてもあやしいタピオカスタンドがある。 Grand Oasis。タピオカドリンクとバインミーサンドイッチの激戦区、高田馬場でひときわ異彩を放っている不思議な店だ。今では若者のカルチャー文化の一部のようになったタピオカドリンクだが、この店をなんと形容したらよいのか。 コミュ障 三角地に立つ、古い、小さなプレハブ店舗。そのプレハブの早稲田通り側に、小さな、とても小さな小窓

しゃきしゃき青菜炒めの誘い「ジーテン」代々木上原

代々木上原の超有名店、「ジーテン」。オーナーの名前を中国読みしたということだが、さりげないお店にさりげなくおしゃれでアンテナの高い人々が集う(代々木上原だけに)。ゆえに、めったなことでは予約が取れない、という事態に相成る。予約電話の段階で見えないハードルを感じる店だ。 そんなこともあってか、ジーテンにお邪魔するときにはなんだか緊張する。人気店と知られているが、店内があまり広くなく、おしゃれな人々に気後れする面もある。そんな思いまでして何故代々木上原まで出かけるのか…うまい中

ベジおせちの到達点 みどりえ「無添加・オーガニック自然派おせち」

おせちをひと揃え、全部作る人は少なくなったのではないでしょうか。 その昔、年末になると書店にはおせち料理のレシピ本がこれでもかと平置きで売られていた。おせちといえば、作る側にとっての一丁目一番地が黒豆。しわのない、柔らかな黒豆を炊くためにわざわざ圧力鍋を購入したご家庭もあるのでは?最近では、某人気料理研究家の土井先生が、平鍋で数日間かけて黒豆を炊き上げる一子相伝(?)のレシピを公開されるなど、原点回帰の動きも認められる。スウジツカンカケテクロマメ… 働いていなくても無理

おとなの渋谷探索「麗郷」 台湾料理

台湾料理に目がない。 にんにくと塩味のきりりと利いた味付けが好きだ。そして、麗郷は渋谷駅から出て、道玄坂小路という細い坂道の途中にある、老舗台湾料理店だ。どうやら渋谷の凄まじい再開発も、ここまでは及ばなかったらしい。雑多な、猥雑なむかしの渋谷の雰囲気が今も残っている。 カウンター付近には腸詰が吊り下げられており、注文すると、腸詰をスライスしたものに白髪ねぎを添えてささっと出してくれる。ビールに合う。 店の看板メニューといえば、やっぱりしじみの炒め物。しじみを炒めて食べる

ビュッフェ慕情「響」新宿NOWAビル店

響というと、何店舗も展開されている、サントリー系列のダイニングレストランだ。主要駅の最寄りに、ラグジュアリーな店舗を確保しているようだ。なるほど、冷え冷えのプレミアムモルツも、大ジョッキというよりはおしゃれなビールグラスでいただく感じだ。 新宿NOWAビルというと、一棟丸々が有名な飲食店がぎゅっと詰まった、界隈でも名の知れた飲食ビル。その最上階をワンフロアすべて響きが占めている。お店の気合の入り具合も相当なものかと考えられる。 新宿の響、夜はなかなか訪れにくいのですよ、お

氷河期より愛をこめて「浅草今半」新宿京王精肉店

失われた20年とも、30年ともいうが、バブル崩壊後の1990年代初頭から2010年代の不況は本当にひどいものだった。私のような庶民は、「いや、そのうちもうちょっとくらいは景気も良くなるかも…」なんて安易に考えていたものであるから、余計に始末が悪い。青春期から青年期にかけての貴重な時間にあなたも就職氷河期の憂き目にあったくちですか?お互いタイヘンな時代でしたね。 しかし、タイヘンな時代だったからこそ、とりあえず、生きて、クウ・ネルができていればもうけもの、と腹を括った方が得と

覆水盆に返らず「アサヒスーパードライ」 新宿店

ビールというのは、どこで飲んでもそんなに変わるものでない。アサヒスーパードライをアサヒスーパードライの店で飲んだからと言って、特別に美味いというわけでない。異論はあるだろうが、こちらだって、一体どれだけ麦酒をあおってきたと思っているんだと言いたい。ドライの店とほかの店で同じ商品の味に差があったらその方が問題だ。 ところで、アサヒスーパードライの店は、一応チェーン店だと思うのだが、あちこちで料理の味付けがかなり違うように感じている。これは、ライバルであるはずのキリンシティとは

さかなでパフェをつくりませう「魚力」渋谷東急百貨店東横店

東急百貨店の東横店、駅に近いためによく訪れてきたが、地階に入ると、どこに出るのかさっぱり見当がつかない。地階にあるすし店は、持ち帰りのすしを大量に売っているが、イートインスペースも併設されている。かなり人気があるのではなかろうか。もう十年以上おじゃましている気がするのだが。 東京で人気のすし店ではあたりまえだが、まず間違いなくマグロの握りが美味い。そして、買い物ついでにふらりと立ち寄って、すしをつまんで帰るなんて、ずいぶん素敵な話である。ぜいたく。 ふと、その昔、こちらの

何かに誘われてお出汁にさらわれて「追分だんご本舗」 新宿三丁目

新宿三丁目というと、まず思い浮かぶのが伊勢丹だ。しかし、最近では百貨店で買い物することはめったになく、近隣にあるマルイのほうが便利でついつい通ってしまう。マルイでぶらぶらした後に、画材道具などの専門店「世界堂」にもお邪魔する。石膏像をじーっと見ながら、いつか、こんなものを飾ることのできる家に住んでみたいと夢想する。…ブロンズ像と混同しているようだが、気にしない。 ところで新宿三丁目辺り、皆さんお食事はどうしていますか?特にランチ。この近辺、伊勢丹のレストランでご飯を食べるの

中二階で噛みしめたい「墨繪パン」新宿

バゲットサンドってほんとうに美味いでしょうか、時折考えることがある。 まだまだ「フランスパン」との呼び方しか知らず、今ほど店頭で販売されていなかったころ、「フランスパン」ていうのは、硬くてゴリゴリするものが多かったと思う。 おしゃれなバゲットサンドなどは、見た目はいいが、いざ口に入れようとするとごり、ごりごりごりとバゲットの周りをかみ砕いて飲み込む必要があることも。もう、美味しいかどうかは関係ない。咀嚼しやすいように何とか臼歯でグルテンの壁をすり潰すことが至上命題であった

やっぱりビールが好き「ベルク」新宿

ベルクについては書籍も販売されておりご存知の方も多いはずだ。新宿駅東口の地下街、改札からすぐそばの少し奥まった部分に店がある。 こちらではビールを飲むために多くの人がレジに並ぶ。先にお金を払ってビールや食べ物を受け取るスタイルだ。ビール以外を頼む人もいるがおそらく少数派。ナマとおつまみにホットドック(日本ではホットドックはおつまみです)、また、レバーパテやハムなどがセットになったベルクセットなどを注文する。 店員の多くが役者志望やクリエイター志望のように見受けられる。店内

じっと手をみる「森本」渋谷

渋谷駅のマークシティの辺りはあまり治安が良くないなんて言われている。歓楽街も鬱蒼としていて、一人歩きには向かない雰囲気が漂う。 しかしながらこの近隣には名店と呼ばれる飲食店が沢山ある。森本もその一つだ。焼き鳥とうなぎの串焼きが有名な昔ながらの東京の居酒屋だ。 まあ、うなぎがこれほど手に入らなくなるとは誰も考え付きやしなかったわけです。うなぎの高騰にも関わらず、こちらでは焼き鳥の串にうねうね曲がったうなぎがこんがり焼かれて提供される。老舗の心意気です。でも数年したらこんなも