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NIGIRIZUSI 握り寿司の今後

握り寿司が好きだ。

おとなになってよかったこと、それは寿司屋に独りで入っても普通に許されるように(?)なったことだ。もちろん、握り寿司を食べる、そのために入店するだけなのだが。

ランチ時。街の寿司屋に入ってメニューを眺める。

刹那、「ばらちらし」の誘惑に戸惑う。

ばらちらし。

そう。握りずしと中身は同じだ。腹の中に納まってしまえば、握りずしとバラチラシに差などない。同じだ。

大将がちょちょちょ、と生魚の「おにぎり」をつくるか、酢飯の上に乗っけるかの違いにすぎない。

…そして、そして、それでも握りずしが好きなのです、私は。

近時の感染症の流行で、外食産業の世界に暗雲が立ち込めている。しかし、それ以上に気になることがあるので、三点、あえて申し上げたい。

① 垂れ下がったビニールシート

寿司屋のカウンターに、多くの場合、天井付近からビニールシートが垂れ下がっている、それはこの三月以降普通の景色になった。

本来、透明のビニールシート、しかし、いま、11月後半になって、各店舗のビニールシートは白濁しつつある。

なにそれ、油跳ね?

しかし、寿司屋ではそれほど天ぷらは出さないはずだ。おいしいシャリ、生のおさかなのサク。良質の酢飯…熱々のご飯に「しゃーっ」とすし酢を降り注ぐ…しかし、ビニルを白濁させるまでの凶悪な蒸気は何から噴出するのだろう。

にごったビニールシート、なんの濁りなのだろうか。未だに謎である。

② ランチビールが雑

以前は(昨年12月ごろか…)ランチの握りには「ランチビール」なるものが存在していた。ランチビールは、普段なら麦茶などを注ぐお茶用のグラスに金色の麦酒をちょいと注いで出してくれる、外食産業の最後の良心のかけらみたいなものだ。

だった。

現在、ランチ握りに「ラガー」とか、「モルツ」とか、「ドライ」とかを頼むと、750ミリリットルの瓶ビールが出てくる。(ところがある)

なんだそれ、独り身の最後の聖地だった街の寿司屋は、アル中製造機械に身を落としたのか。残念無念である。長年の友人に裏切られた好々爺の気分だ。

さすがに、昼から大瓶ビールはきつい。なんとかしてくれないか。

③感染者数の増加による(?)ネタの集中化

先日、いわゆる「まちの評判店」におじゃまして、ランチ握りを頂いた。ありがちの握り8貫からのお吸い物と茶碗蒸し。ありがちとはいえ、通常はうれしいラインナップだ。お吸い物も、茶碗蒸しも、素人が作ろうと思えばどれほど手間暇がかかるか…。大人になるとよくわかる、小さくて大きい「ちがい」だ。

しかし、今回は、「評判店」の寿司桶の中身に瞠目した。

ハマチハマチハマチ・!

8貫中、3貫はハマチだった。…そんなばかな。

はまちは、ハマチ。えいや、とたまさかに入った寿司屋で、何故ハマチのおにぎりをみつも食べなくちゃならんのだ。

マグロ、鯛、はまち、たまご、ひかりもの、巻物二種、…にいくらか、エビか、なにやかや。

そんな、お店と客の信頼構築の不文律を乱す「何か」がコロナとともに発生したらしい。

お店が大変なことはわかっている。わかっているだけに、悔しいじゃありませんか。

あーあ、なんて世の中だ。何の気なしに寿司をつまんでおいしいビールをちょっとだけ煽りたい。

そ・れ・だ・け・な・の・に。

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