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人の話を聞く上で、知っておきたい大切なこと【仏教で答える悩み相談35】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。
皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。
 
今月のお悩み
Q いつも家族をはじめ、周囲の人から「あなたは人の話を聞いていない」と言われます。お坊さんは人の悩みを聞く機会が多いと思いますが、聞く力を高める方法はありますか? (30代・男性)

 
A1 「聞く」ではなく「聴く」


 「きく」という言葉については、「聞く」と「聴く」があります。仏さまのお話を聞かせていただく際にはこの「きく」の言葉を二つつなげて「聴聞(ちょうもん)する」と言います。それぞれ、「聞く」は音・声を耳に受けるという意味があるようで、「聴く」は注意して耳を傾ける、という意味があるようです。私自身、家族からもよく「話、聞いてた?」と言われます。

「聞いて」はいるのですが、「聴いて」はいないんですね。聞く力とは、こちらの「聴く」ということ、注意して耳を傾けることが大事なのだと思います。

注意して耳を傾けるためにはどうすればいいか。それは相手のお顔を見て話を聴くことだと私自身は思っています。話をされるお相手のことを見て話を聴くことで、自然と聴く力も養われるのではないかと思います。
(築地本願寺職員・戸見嶋淳昭)

A2 大切なのは、気持ちに寄り添うこと

 
私がかつて電話相談を受けていいた時に、留意したことはただ聴くことと、辛さや悩みに共感する事でした。相談をしてくださる方が、悩みや辛さを話してくださっていく中で、気持ちが楽になっていくのを電話越しに感じました。

悩みについての客観的なアドバイスは出来ますが、そのことによって相談者の気持ちが楽になるとは思えません。相談者は客観的正解を求めていないこともあります。

ご家族が辛い思いをされている時はただ黙ってそばにいて、気持ちに寄り添ってあげることが大切だと思います。ご家族の話に対してすぐに自分の意見を言うことは、信頼関係を損なってしまう可能性もあります。口をはさまずに相手の話を存分に聞く中で、聞く力も育つのではないでしょうか。
(編集委員・酒井淳昭)


A3 周囲に信号を発してみて

 このようなご相談を寄せてくれる程度には人の話を聞いている。そして聞こうとしてもいる。それでもまるで聞いていないかのように言われてしまう……。こんなモヤモヤを抱えた人は、実は多いのではないでしょうか。

生まれつき集中力が続かない人もいるでしょうし、人の話に共感しにくいのもそういう性格なのかも知れません。生まれ持ってのものであるとするならば、ある意味どうしようもないとも言えます。また、聞く力を高める努力や工夫が有効だとするならば、これは周囲とのコミュニケーションの問題のようにも見えます。

まずは聞いているよ! と周囲に信号を発してみることがあなたの助けになるのでは。
(本願寺新報記者・星 顕雄)
 
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同コーナー上でお坊さんに聞いてみたい相談がある方は、年代、性別を併記の上、築地本願寺新報社「ちょっと、聞いてよ」係(〒104–8435東京都中央区築地3–15–1)まで、お悩みをお送りください。

※本記事は『築地本願寺新報』掲載の記事を転載したものです。本誌やバックナンバーをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

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