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『さいごの大役』

卒園式まで一ヶ月を切った。
今日からは一人ずつがワンフレーズを繋いでいく「別れの言葉」の練習も始まったという。

「僕は何の言葉を言うでしょうか?」
帰宅後、シンは父と母にクイズを出した。
父親が思い付きを即答する。
「リレーのこととか?」
「それはリョウマ。『みんなでがんばってひきわけになった紅白リレー』」

リョウマ君はアンカーで競い合った親友。
各々に相応しい言葉が割り振られたのだろうか。
二人は過去を振り返った。
最近では悪役に成りきったクリスマス劇も印象が強い。
ママが回答する。
「ソーラン節」
「ぶー。違うよ」

「ヒントはね、先生が一番大事って」
……なんだろう?
痺れを切らしたシンが「正解言うよ」と急かし、二人は降参と手を挙げた。

「一番最初。『はる あこがれのねんちょうさんになりました』」

二人は「それは分からない」と笑うも、興奮でキラキラしたシンの笑顔を見て、「大役だね。すごいね」と声をそろえた。


おわかれのことばリレーの風光る

(おわかれのことばりれーのかぜひかる)

季語(三春): 風光る



※日記を小説 風に表現しています__🖋
最近は、保育園生活を振り返ってはすぐしんみりとしている我が家です――いけないいけないっ



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