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春愁や奥付にある子の手形

息子が保育園から私物を持ち帰ってきた。
今の教室を次の年長組に引き渡すため、ロッカーを整理したんだとか。

中に一年間の創作物を綴じた「おもいで画集」もあって、家族で見入る。
夏の納涼会や秋の運動会、クリスマス会の場面がしっかりと描かれている。
「上手になったね」と妻が呟く横で、私は目頭を熱くした。

「パパ、泣いてるの?」
「だって……お前は寂しくないのか?」
「寂しいけど、今、保育園が楽しい」
その言葉に唸らされた。
「今日はね、リトミックの先生が最後だから皆でサプライズをしたんだよ」
息子はお別れの意味を知った上で、最後の園生活を満喫していた。

深呼吸して、もう一度画集を見る。
絵の一つ一つは息子が楽しんできた証。
順番に見ると、描き込む友達の数が増えているのに気が付いた。
嬉しい発見ににっこり。

最後のページには手形と足型のスタンプも。
あらためてその成長ぶりに瞠目する。
妻に見せようとすると息子が
「パパまた泣いてる」


(しゅんしゅうやおくづけにあるこのてがた)

季語(三春): 春愁、春愁ひ



※訳もなく涙が出るのが「春」らしいですよ。
花粉症ばかりが原因ではない。



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