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地方移住を決める前に読んでください

コロナ禍で地方移住が注目されています。
近年、じわじわと人気を集めていましたが、一気に加速した、という感じです。インターネット環境さえあれば、どこでも仕事ができる時代ですから、無理して都会に住み続ける必要はありません。地方は食べ物も空気もおいしいし、人もやさしいし、物価も安いし。いいことだらけです。
しかし、です。そんなうまい話ありますか?
そこで、秋田に計32年住み、今年になって東京に移住した私が、きれいごとを一切排除した地方移住の現状をお伝えします。
ライティングのネタにされても、今後の人生の参考にされても結構です。

現状維持が大好き

私は10年の新聞記者生活の中で、100人近い移住者を見てきました。移住行政の取材にも多く関わり、発信する側と選ぶ側のギャップも目の当たりにしてきました。それらを踏まえた上で、地方のリアルをご紹介したいと思います。地方と言っても、都市から通える範囲だったり、よく「何もない」と言われる田舎だったり、たくさん種類がありますが、あくまでも私が住んでいた秋田(どちらかと言うと後者)の例ですので、ご了承ください。

元地方在住者が明かす地方のリアル①
・店でお酒を飲んだ。運転代行を呼んだ。1時間半待たされて料金は5000円。飲み代より高いし。

・雪で玄関が開かない冬もある。当然遅刻。みんな自分の家の雪かきで忙しく、意外と助けてくれない。

・道を歩いていると、ドライバーに見られてる感がハンパない。

・20~40歳ぐらいまでの人。新しいリアルの友達を探すのが困難。絶対数が少なすぎる。結婚どころか付き合うことすら難しい。

・おいしいものはたくさんあるのに、おいしい料理を作ろうとする料理人が1割もいない。なぜなら、客がそれを求めていないから。食は文化と教育されていない。

・30年前と経営方針(理念ではない)が変わらない企業がほとんど。現状維持大好き。地方に移住しようというフレキシブルな考えを持った人は、間違って就職してしまうと精神を病む可能性が高い。

などなど。こっちの方が良いと思う人もいるかもしれませんので、あえてデメリットという表現は使いませんでした。
今はネットショップが豊富で地方で買えないものはほとんどありませんし、オンライン通話で会いたい人との距離を縮められます。生活の質はこれからもっと向上していくと思います。しかし、地方に住む人の考え方はなかなか変わりません。それを理解し、うまく共存できるかが鍵となりそうです。外国人だと思うぐらいがちょうどいいかもしれません(思っても口に出してはいけませんよ)。

生活環境より大事なもの

否定ばかりしていてはいけませんね。
地方在住者が感じる地方のメリットについて、これも「リアル」に置き換えて紹介します。

元地方在住者が明かす地方のリアル②
・景色が毎日のように変わる。凄腕インスタグラマーが地方に住んだら、毎日バズるんじゃね?レベル。

・ご飯(お米)がおいしすぎる。都会のご飯は「まずい」と感じるほどにおいしい。

・バーベキューが自宅でできる。雨が降れば車庫とか小屋でできるし、運が良ければ今朝つぶしたばかりの鶏肉の差し入れがあるかも。

・静か。あまりにも静かだと、本当に「シーン」と音がする。

・人との距離が近い。お節介な人が多い。家族であっても他人であっても。これが嫌で地方を出た人も、これを求めて地方に来る人もいる。

少々強引ですが、結論を出します。
地方移住を考える上で、最も大切なことは、後にも先にも「人付き合い」です。
住めば都の言葉通り、生活環境は慣れることができますが、人間関係の好き嫌いは理屈ではありません。今後、発信する側はどんな人が住んでいて、どんな人と関わることができるか、というのを詳細に伝えていかなければなりません。そして、選ぶ側も自分はどんな人付き合いをしたいのか、というのを常に念頭に置きましょう。そうすれば、移住後のギャップを解消していけると思います。
人の紹介を積極的に行っている自治体などがあったら、ネタになりそうですね。

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