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〈オッペンハイマー〉見にいったよ

皆さん、こんにちは。津島結武です。
今回は、映画〈オッペンハイマー〉を見てきたので、その感想を語りたいと思います。

※ネタバレを含みます。


あらすじ

物語は2つの時間軸を並行して語られます。
一つは、1954年、J・ロバート・オッペンハイマーの公職追放を決めるための、安全保障に関する聴聞会(FISSION: カラーパート)。
もう一つは、1959年、オッペンハイマーをアメリカ原子力委員会の顧問として迎え入れた政治家であるルイス・ストローズが、商務長官に任命されるための指名公聴会(FUSION: モノクロパート)です。

FISSION

FISSIONはオッペンハイマー視点で語られ、FUSIONはストローズの視点で語られます。

FISSIONでは、オッペンハイマーはソ連へ機密情報を流していたという嫌疑で聴聞会に召喚されていました。
彼は過去に共産党の集会に出席したり、友人の多くに共産党とのつながりがあることなどから、スパイ容疑がかけられたのです。

そのなかでオッペンハイマーの原子爆弾の研究・開発の伝記も語られます。

FUSION

FUSIONは、ストローズが商務長官(日本でいう経済産業大臣)になるための公聴会が開かれるパートです。

時系列的には作中の終盤に当たるパートであり、オッペンハイマーを敵視したストローズの夢が破れる物語です。

感想

オッペンハイマーの人柄

オッペンハイマーは「原爆の父」と呼ばれていますが、そのように聞くと、彼は人の命を軽視している冷血な人間なのではないかと想像してしまうかもしれません。
しかし、実際の彼はそのようなことはなく、むしろ、元妻が亡くなったときや、日本の広島に原爆が落とされたあとには、良心の呵責にさいなまれるという最も人間的な人間でした。
確かに、研究のために原爆を開発するという側面を見せることには、「学問狂」ともいえそうに感じますが、そのなかでも必要な倫理観はもち合わせており、原爆を開発することと実際に用いることは明確に切り離して考えています。
そのような人柄もあり、彼が不利な立場に置かれたときには、彼の仲間たちは彼を擁護しました。

原爆は未来永劫の抑止力でいられ続けるか?

しかし、原爆を開発することは本当に良いことだったのでしょうか。
原爆は現在抑止力としてはたらいていますが、それが未来永劫も続くのでしょうか。
本編では最後に、世界が火の海に飲まれるオッペンハイマーの空想で終わります。
原爆は、戦争を終わらせるためのものでした。
しかし、科学競争は続き、今でこそ大戦はありませんが、その火種はなくなっていないのではないでしょうか。
抑止力としてはたらいている原爆ないし水爆は、その「爆発」を抑えているだけで、もし爆発が起きたときには、それこそ世界は火の海に飲まれるかもしれません。


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