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なんだか今年は

昨年末から働いていたパン屋を11ヶ月で辞めた。
パン屋を中心にいろんなことが動いた1年で、ここ1ヶ月はせっかく痩せてたのに5キロリバウンド→おちついて3キロ減という年末。

書き出したらキリがない。
そんなことを書いてるうちに、年末のおせち作りも佳境に入り、足りないものを買い出しに出かけた夕方の帰り道に真横に人が落ちてきた。
飛び降りだ。
たぶん、というか、もう即死だ。

夫が生死を確認するため声掛けをして、その隣にブワっと水蒸気みたいな煙が人形でニョキっと動いた。今、倒れている人の形と同じだ。

私が警察に通報してる中、「あっ!」と驚いて、隣に立つ夫とその人影の前に立った。煙の人は気づいておらず、じっと本人を見たあと、落ちてきたであろう上を見上げた。

何かあるだろうとは思ったが、その行動が気になってうっかり上を見てしまった。
今、私の足元で横たわっている人が上から覗いている。それで、もう一度「よっこらせ」と言わんばかりに飛び降りたが途中で消えて、2秒ほどで足元でドシャっとした音がした。

通報してる最中も震えが止まらない。声も震えるのでわざと大きな声を上げた。自分を落ち着かせようと必死だった。

警察と消防のレスキューと救急車が到着して、第一発見者で通報した私と夫にどういう状況だったのかと同じ質問が何度も何度もくる。
警察の人も、消防の救急隊の人も、とても丁寧に気遣ってくれるし私たちの慌て具合も気遣ってくれた。
「こんな年末の時期に大変なた思いさせてしまい申し訳ない」「奥さん、大丈夫ですか?」
本当、ありがたい。

ありがたいけど、ずっと隣で検分してる横で何度もズシャっという音が繰り返されていた。
でも、そんなこと言えないじゃない。
頭おかしいって思うよね。

結局、帰ったのは通報してから1時間半後で、まだ早い方だと思った。幸い、というか、我が家の車はドラレコがあったので、落ちる瞬間も全部記録されていて、それも証拠になった。
その確認をしてる最中もドシャっという音は続く。

警察の人はスマホを使ってサクサクとデジタルな記録を収めて行く。早い。むっちゃ早い。これまでのアナログだったらもっと時間かかってただろうし、本当スムーズ。

帰ってから、すぐに風呂を沸かして家族みんなで入って、暖かいお鍋にして3人かたまって寝た。

「年末は多いよね」
夫と2人、娘を間に川の字で寝て娘が寝たのを確認して夫がポツリと言った。
「そうよね。ただ、同情はできないし心を寄り添うことはできないけど、こういうのは、なくなってほしいよね」と返した。
私にはそれ以上言えない。

翌日、昼前に夫の携帯に警察から事件が解決したと連絡してくれた。
ドラレコの映像や建物の監視カメラの状況など、諸々の証拠で事件解決が早かったようだ。
「ご協力ありがとうございます。奥様とお子さんにも怖がらせて申し訳ない」という言葉。
警察の人は悪くないだろうに。

年末は事件事故が多い。
それが年が明けた途端、一度ピタッと止む。
「まるで、ゲームのリセットボタン押して『これでゼロから始めてね』って言われてるみたいな奇妙さだよな」と夫がつぶやいた。
あの飛び降りた人も、何度もリセットボタンを押してるんだろうか?嫌だな。
できれば幽霊でもリセットボタン押したなら、次のスタートは違うものになってほしい。

今は世の中がコロナや戦争や政治の不安でほんのりと不穏だ。
少しでも自殺や事故や災害や戦争で命を落とす人が減ってくれればいいと願う。

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