見出し画像

日本企業、売上増えず、設備投資をしてこなかった。。。

 前回、日本の一人当たりGDP(2022年、IMF)が、33822ドルで31位。イタリアに抜かれ、G7で最下位。台湾、韓国と同水準になっていると伝えました。ちなみに購買力平価ではランクを下げて、チェコと同じになっています。

(22年で、欧米は5~6割成長、日本は1割)
 2000年の段階では、一人当たりGDPは、日本は39169ドルで、ルクセンブルクに次いで、世界で第二位でした。G7でもトップだったわけです。この数字は米ドル計算ですから、通貨が安くなると、金額は減り、ランクを落とします。
 では自国通貨計算での成長をみてみましょう。一人当たりGDPですが、日本は、2000年は402.5万円、2022年は444.7万円でした。22年で10.48%の成長です。米国などG7の5国をみてみましょう。左の数字が2000年、右が2022年です。
○米国:36312ドル、76348ドル、47.56%成長
○英国:18699ポンド、36614ポンド、51.07%成長
○フランス:25121ユーロ、 40240ユーロ、62.42%成長
○ドイツ:25892ユーロ、46149ユーロ、56.10%成長
○イタリア:21810ユーロ、34113ユーロ、、63.93%成長

 日本人は働いていなかったのでしょうか。。

(売上高が増えていない日本企業、でも利益は最高に)
 1人当たりGDPが、22年間で、あまり増えていないことから、容易に冊子がつきますが、企業の売上高を確認してみましょう。下は、日経ビジネスの記事ですが、日本企業全体の売上高のグラフです。https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00241/?SS=imgview&FD=-1041774028

 1990年の2018年まで、1400兆円と1500兆円の間にあります。売上高は、ほぼ横ばい状態にあります。一方、赤い線、純利益ですが、リーマンショックが生じた2008年を除き、一貫して上昇しています。


日経ビジネス記事より

 企業の利益について、企業規模別にみていきましょう。下は2007年から2022年までの4半期ごとの大企業と中小企業の経常利益の推移です。大企業では、2013年から増加のトレンドにあります。利益の累積額は積み上がっています。中小企業は若干の右肩上がり基調ですが、大企業との差は2007年当時の半分から、4割弱と拡大しています。

中小企業白書より

 上は、企業規模別の設備投資額の推移ですが、大企業が2007年時に比べて、2022年末で、3割は落としている。利益は増大トレンドにありながら、です。中小企業は、横ばいで推移しています。
 大企業、中小企業ともに、利益は増やしながら、設備投資は減らしていることがわかります。特に大企業はその減少分が大きい。
 企業が売上が増えていないのに、利益が出ているのは、設備投資を減らしているためということがわかります(また、給与も減らしている)。

 設備投資を増やさなければ、成長はなく、設備投資を増やし続けている外国との間で、生産性に差が生じてしまうのは自明の理と言えるでしょう。
製造業の場合、工場の国外移転を進めた、という側面もあります。が、この点は、欧米も同様の状況にあったと考えられます。

(日本の設備投資の伸び率は、諸外国より低い)
 一人当たりGDPが伸びるためには、去年と同じことをしていていはダメです。企業は設備投資をして、生産高を上げ続けなければなりません。
 下の図は、設備投資の推移ですが、

日本の企業は設備投資をあまりしてこなかったことがわかります。


(企業が設備投資をしてこなかった理由)
 企業が設備投資をしてこなかった理由は何でしょうか。
 これについては、経営者の現状維持思考が挙げられます。成長を目指すなら設備投資をしていくはずです。日本はずっと低金利でありました。バブル崩壊時の債務軽減で苦労しており、リスクをとらなくなった、ということは理解できます。企業の現状維持思考を変えるには、①株主、②社員、③政府、の働きが必要ですが、
①については、株の企業間持ち合いでなれ合い構造であり、成長を目指すという経営への監督機能が働かない。
②については、労働者が弱く、賃上げを要求しない。賃上げするなら、成長が必要になるが、賃上げしないなら、成長は不要
③については、国がプライマリーバランス目標を掲げ、緊縮財政を続けたため、企業も成長への消極的なマインドが続いた

という点が指摘されます。

 今さらですが、我々は、企業が設備投資を増やす上(せめて諸外国並みに)で、何が必要だったのでしょうか。また、何が必要なのでしょうか(つづく)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?