数学・確率・統計がどのように使われているか

ある有名作家が「二次方程式を解かなくても生きてこられた」「二次方程式などは社会へ出て何の役にも立たないので、このようなものは追放すべきだ」と主張。実際、中学課程で二次方程式の解の公式を学ばなくなりました。また2015年にも「高校教育で女の子にサイン・コサイン・タンジェントを教えて何になるのか」、2020年には「微分積分・因数分解とかやらされますけども、大人になって因数分解を使った人だって居ないですよ」という発言をした政治家がいます。どのように利用されているかを知らないから、このような発言ができるのだと思います。

こんなことを言った人は、今、コロナ禍で指数関数、対数、2次式、確率などの応用範囲がわからないので、現状を理解できているとは思えません。上の政治家の一人はまだ現役なので、役人に説明を求めて理解したつもりになっているのでしょう。この構図の中で、他にも「陽性率が高い方が無駄な検査をしていない、効率的に陽性者を見つけ出している」と胸を張ることができてしまう政治家が出て来るのですね。(本来なら恥ずかしく思うはずなのに。。。昔聞いた話で裏は取れませんが、円高になった時に「何時になったら1ドル500円になるんだ」と言った政治家がいたとの話を思い出してしまいました。)

それはさておき、何かを決めるためにはこの先どうなるかを予測することが不可欠です。数学の素養がないと、とんでもない判断に気が付きさえもしないでしょう。


コロナ禍。この状況になって、とても多くのデータ、数字、グラフなどを見る機会が増えました。例えば7月8月のような急激な感染者数の増加(指数関数的増加)はなぜ恐ろしいのか。少し収束が遅れていたらどうなっていただろうか。実効再生産数で何がわかるのか。陽性率の増加はどんな状態を意味しているのか。偽陰性の人がいたら、何が起きえるのか。

そしてワクチンの有効性。ワクチンの有効性を調べるためには、RCTと呼ばれるランダム化比較実験が必要です。これを理解するには、標本調査という統計手法を知る必要があります。ワクチンに有効性ありと科学的に判断するには仮説検定。

相関関係と因果関係の違いも重要です。何かの関係性が認められても、それが因果関係かどうかはわからないのだ、と理解できているかどうか。この理解がなければ、たとえ何かを実施したとしても、その結果の評価ができません。


と言う風に、数学・確率・統計の概念は、実はとても広く使われているもの。今回はここまでにして、今後、下記の項目を少しづつ書いてみようと思います。


この関連で、今後議論しようと考えている項目:
全数調査できないから一部を調査/幅のある推定を知ろう/「有効性あり」と科学的に主張するには仮説検定/因果関係と相関関係は別物/直接の因果関係が不明でも統計ならできることがある/人は無意識に数学を使っている