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いつもと違う青空と、旅の幸せ。

旅をしていて、1番幸せを感じるのはどんなときだろう、と考えてみる。

知らない町を歩いてるとき? 美味しいものを食べてるとき? 優しい人と出会えたとき?

ちょっと迷うけれど、いまの僕が1番幸せを感じるのは、こんなときだ。

……朝、ホテルのベッドで目を覚ます。

まだ少し眠い目で、ふと部屋の窓を見上げると、その向こうに、いつもと違う青空が広がっている。

それに気づいたとき、「旅の幸せ」に包まれていく。

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この冬、札幌のホテルで目を覚ましたのは、朝9時だった。

9時というのは、旅先の起床時間としては、ちょっと遅すぎるかもしれない。

けれど、最近の僕は、たっぷりと睡眠を取って、ゆっくりと朝起きる旅を好んでいる。

布団にくるまりながら、ふと見上げた窓の向こうに、冬の札幌の青空が広がっていた。

今季の札幌は雪が多いと聞くけれど、今日は晴天に恵まれたらしい。

雪国の空らしく、どこまでも美しく澄み切った、優しい青空だった。

僕はしばらく、ベッドから起き上がることができずに、ぼんやりと札幌の青空を眺めた。

そして、まだ少し寝惚けながら、幸せだな……と思った。

すすきのの外れにある、格安ホテルだった。部屋も狭いし、窓から美しい夜景が見えるわけでもない。

それでも、こうして綺麗な青空を見上げていると、これだけで十分かもしれないと思えてくる。

朝の窓の向こうに、いつもと違う青空が広がっているだけで、すごく幸せな気持ちになれるからだ。

もちろん、夏の眩しい沖縄の青空でも、ちょっと汚れた香港の青空でも、その幸せは変わらない。

いま自分は、旅先の青空の下にいる。

それを感じられるだけで、心は幸せに包まれていく……。

ふと、自分の旅も変わったな、と思う。

たぶん、10年前の僕が見たら、なんてもったいない旅をしてるんだろう、と思うことだろう。

ベッドから空なんか見てないで、さっさと起きて、外へ出て行けばいいのに、と。

実際、20代の頃の僕は、朝から活発に行動するタイプの旅人だった。

7時くらいには目を覚まし、朝食もとらずにホテルをチェックアウトする。

そして朝早くから、気になるスポットを巡ったり、次の町へと鉄道に乗って移動したりしていた。

その頃の僕にとって、朝から行動することが「旅の幸せ」だったのだ。

それが30代になって、朝はのんびりホテルで過ごすことが「旅の幸せ」になっている。

ゆったりと起床したり、美味しい朝食を食べたり。そしてなにより、ベッドに寝転がりながら、いつもと違う青空を見上げたり。

きっと、年齢とともに、旅は少しずつ変わっていくのだ。

だけど、と思う。

ほんとの意味では、旅は何も変わっていないのではないか、と。

どんなときも、「旅の幸せ」を素直に求めていくこと。それが僕の旅のスタイルであることは、何も変わっていないからだ。

「旅の幸せ」を追いかけていったら、朝から活発に行動する自分から、ホテルでのんびり朝を過ごす自分へと、「旅の幸せ」が変わっていった。

ただ、それだけのことなのだ。

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あるいは、また数年が経つ頃には、僕にとっての「旅の幸せ」も変わっているのかもしれない。

けれど、「旅の幸せ」を素直に求めていくスタイルは、ずっと変わらない気がする。

いくつもの旅をしてきて、ひとつ気づけたからだ。

自分の気持ちに素直に旅をすること。それこそが、良い旅が生まれる秘訣なんだと。

変わらないものは大切に、でも変わることは恐れずに、これからも素直に旅をしたい。

もっとも、気持ちに素直になりすぎて、いつまでも青空をぼんやり眺めてしまい、朝食が終わる時間ぎりぎりになってしまったのには困ったけれど。

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旅の素晴らしさを、これからも伝えていきたいと思っています。記事のシェアや、フォローもお待ちしております。スキを頂けるだけでも嬉しいです!