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「映画を観て本を読む」サイクルが人生を豊かにするかも。

本を読んでいると「映画は観たほうが良い」という言葉とたまに出会う。主にビジネス書。時代を映しているとかなんとか。

そうは聞いても、その実感は無く、その言葉が出てくる度に「映画かぁ。観たいけどなぁ。」と、2時間ほどある映画に費やす時間が無いんだ、と自然にできない理由を並べることが多かった。

本もそうだけど、すぐに成果を得られないものは、なんとなくコスパが悪そうと敬遠してしまう。悪いくせだ。

ただ、その考えを一変させる本と出会った。2冊。

1冊目は、幡野広志さんの『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』。

写真を上手くなりたいと思っていた私にとっては、衝撃的なタイトル。そしてキャッチーな表紙。

いままで「写真とは?」とちゃんと考えていなかった私にとっては、頭を殴られたような衝撃を受けた。

この本を読むことで、写真に対する考えが180度変わったと言っても過言ではない。

そして、この本に、このような一文が登場する。

写真を写真から学ぶよりも映画や漫画から学んだほうがいいです。

幡野広志『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』ポプラ社 2023年 p.83

そして、

写真に大切なのは写真以外の知識と経験です。

幡野広志『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』ポプラ社 2023年 p.83

なるほど。

この文を読んだときに、なんとなく時間が無いからと後回しにしていた「映画を観る」という行為が、自分の中の「やってみよう」の枠組みへと移動した気がした。

ただ、何を観たらいいのか、全く見当がつかない。

ハリウッド?日本映画?アニメ?

こういう時は、本に聞こうと思い探してみると、以前、本屋で見たことがあったこの本が見つかった。

これが2冊目。

伊藤弘了さんの『仕事と人生に効く教養としての映画』。この本では映画初心者の為に、映画研究者である著者が、映画の見方を教えてくれる。

その中で紹介されていた小津安二郎監督の「東京物語」。1953年公開。

詳しい感想は、別のnoteで書こうと思うが、この「東京物語」、内容はもちろんだが、いちいち憎いほどに画が良い。

カメラが動いたり、カットが多く切り替わったりする映画ではないのだが、どのシーンを見てもその画に魅力を感じる。

ただ部屋で話しているシーンでも、その内容に関わらず、その画だけで心が動くのを感じる。部屋の真ん中で団扇を仰いでいるだけで、心が動くなんて想像すらしていなかった。

何が良いのかとか、どの技術が素晴らしいのかなどはわからないが、ずっとこのシーンを観ていたいと思ってしまう。

そして、白黒映画にも関わらず、時折カラーに、色が付いているようにも見えてくる。不思議なことに。

今から70年も前にこのような素晴らしい映画を作っていたことに驚く。と同時に、今まで観なかった後悔と、今知ることができて良かったという喜びを感じた。

この2冊の本と出会ったことで、映画に対するイメージが大きく変わった。

今までは、ただの娯楽だと短絡的に捉えていたが、映画には人生が詰まっているのだと感じるようになった。

この2冊の本を読んでから4か月ほどで、映画館で12本、自宅で8本の映画を観た。平日、仕事を終えてからも映画館に足を運ぶほどだ。

映画を観ることで興味を持つものが増え、そこから本を読み、また映画を観て本を読むという、無限に広がるサイクルが生まれてしまった。

映画を観る習慣を数か月間続けたことで、現在、このサイクルが自分の人生をとても豊かにしていると感じている。

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