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【薬局のよもやま話】将来の夢との向き合い方~進路と医療の2025年問題~

こんにちは。はなたあさかです。
薬局で薬剤師をやっています。

高校生、大学生にとってご自身の進路は関心の深いテーマの一つですよね。数ある進路の中で、医療系というのはいつの時代も根強い人気を誇っているようで。

高校生なら資格が取れる大学or学部を目指したり、大学生で医療に一見関係のない学部にいる方も製薬or医療機器メーカー等を目指す人も多いです。

そんな人気な業界の一つである医療業界について、現場の観点から「社会」の話をしてみたいと思います。

医療を志すイチ学生の考え

私は十数年前、とある大学の薬学部に入学しました。

入学前の希望進路は医学部に行って医者になることでしたが、希望が叶わなかったとはいえ、めでたく医療系に進むことにはなりました。

当時の私は心が澄み渡ってたので(?)、自分の力で人助けがしたい、そして「Dr.コトー診療所」のコトー先生(※離島医療を描く漫画)のように、人を癒す「癒者いしゃ」になりたいと願ってやみませんでした。

大学生になって、当初は希望が叶わなかったことに落ち込みもしましたが、勉強するうちに薬学の学問としての面白さに気づきます。

医療は科学です。科学的根拠に基づき、各専門家が様々な見地から治療に向き合います。

それが、患者さん一人一人の使用という不確定な要素に紐づくのが臨床です。同じ疾患、同じ薬でも使う患者さんの特性が全く異なり、使い方が変わることもある。

そんな、学問的知見が活きるのが面白いと思って臨床現場に興味を持った大学生の頃。

今、薬剤師として現場で働いていて、思っていたことと違うことも多いものの、振り返ってみれば概ね描いていた自分は実現している気がします。

ただ思うのは、学生の頃はやはり見識が足りなかったな、ということ。

2025年問題と医療従事者

私が学生の頃、医療業界でテーマになっていたのが「2025年問題」です。

2025年問題とは:
団塊の世代の方々が75歳の後期高齢者となり医療費が枯渇するという問題のことです。団塊の世代は戦後の第一次ベビーブームに生まれた世代のことで、要するにこの世代は人がたくさんいるんですね。それが後期高齢者となれば社会保障費(つまり医療費)が莫大にかかるようになるよ、と。

そのために医療費をどうにかせねばならないという話とともに、医療従事者が不足する問題も重なっています。

医療に限らず、かねてより進行していた少子化の影響を受けて働き手は減る一方ですが、上記の通り患者が爆増するので、医療業界においては働き手の問題は影響をモロに受けるのですね。

学校では、こうした状況をちゃんと習います。そして言われます。

だからこそ、薬剤師に期待される役割が大きくなっている!
対物から対人へ!薬剤師も患者にどんどん関わっていく必要がある!!
医師が足りなくなる中、薬剤師ができる仕事は医師から代替していくのだ!

他の医療従事者も、多分同じようなことを学校で習うのではないでしょうか。

2025年問題より先の話

ただ、これはすでに現在直面している話ですからその先の話が今の学生諸君にとっては重要です。

2025年問題の次なる問題として、2040年問題というのが挙げられています。おそらく今の医療系の学生はこの話を聞かされているのではないでしょうか。

2025年問題は、日本の人口の最も大きなウェイトを占める団塊の世代が後期高齢者になるという話でしたが、そこから高齢者は増え続け高齢者数がピークとなるのが2040年頃と言われています。

団塊ジュニアに当たる第二次ベビーブーム世代が大体65歳の高齢者になるということで、それが大体今から15年後ということですね。

日本の人口は、この二つの世代のあとにはベビーブームは来ていないので、この世代が今度はいなくなっていくと、人口は減っていくわけです。


さて、日本の現代の平均寿命は概ね、男女とも85歳前後と考えてよいです。

従って、2025年問題に直面している現在からおよそ10年後、団塊の世代は平均寿命の年齢帯に差し掛かるということになります。

いいかえれば、あとものの10~20年後、団塊の世代はほとんどいなくなります。

つまり2040年問題は、概ね団塊ジュニア世代にフォーカスした問題と言えます。

20年後の斜陽業界を支えるのは誰か

というわけで、2025年問題、2040年問題を乗り越えた先には人口の減少が待っています。

その頃、今の学生たちはおいくつくらいでしょうか。
就活でも、5年後10年後を想定してみるように言われますよね。

6年生の大学なら、早くて卒業は24歳です。大体、今卒業見込みの6年生は、アラフォーで2040年問題に直面するんですね。

40歳前後ということは、バリバリ現役世代ですね。仕事ではそこそこ偉い地位について、下の者たちを引っ張る役割です。

締め付けにあって、単価は多分今以上に搾られていることでしょう。

患者の減少、あるいはスタッフの減少に伴って医療機関自体が減っていく状況もあるかもしれません。

単価が減って、販売数も上がらなければ売り上げは下がります。
さて、アラフォーの方なら売り上げを上げることが使命になるでしょう。
・・・どうしたもんかね。

医療従事者にしかなれない人になってはいけない

医療は絶対に必要な業界なので、お金だけでは考えられません。

ですが、個々人の観点でいえば生活やお金の側面もやはり大事です。

ですから今回は、医療に興味がある人たちに現実的な話として少しでも伝わることがあればと思って記事にしてみました。
(私の読者にそういう層がいるとは思えませんが)

暗い話をすると、医療従事者なんかならない方がいいよ、といっているように聞こえるかもしれませんが、実のところはそうではなく。

一番言いたいのは、「医療従事者にしかなれない人間にはなるな」ということなんです。

医療従事者は大変知見が狭いことが多いのです。

大学からして、単科大学だったり、総合大学でもキャンパスが隔離されていたり、部活動も医療系だけの部活動をしていたり。

そのまま臨床に進む人が多いのでバックグラウンドが固定されがちなんです。そして気づけばそれ以外の仕事ができないようになっている。

今の政府のお偉方も、講義をしてくれる教授陣も、くだんの問題が起きる頃には逃げ切り成功するわけです。誰も責任は取ってくれません。

だからこそ、長い目線で自分のやりたいことを考えて、自分で選択できるようにスキルを身に着けて。

そういった努力を若いうちからしといたほうが良いと思います。

医療従事者は安定職種じゃありません。

おわり



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