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番外編〜ちょっと不思議?だった体験〜父親との別れ 後編

「なんだろうな…」

そんな軽い気持ちで実家に電話をする

「もしもし、何?」

次に耳に入った言葉に緊張がはしった…

「お父さん、死んじゃったから帰ってきて…」

一瞬何を言っているのか分からなかった

「とにかく明日帰ってきて…」

それ以上話せるような感じではなかったので、そこで電話は終了した

とりあえず帰る準備をしないと…
気持ちの整理も出来ないまま、スキーの片付けと実家に帰る準備を並行して急いで済まし、明日に備え就寝した

翌朝、始発の新幹線で実家に向かった
まだ自分の中では信じられない部分があった

そんな気持ちのまま、実家に着いた
田舎ならではなのか、親戚が既に大勢いた

「ただいま」

「おーおかえり…こっちだよ…」

呼ばれた方に行くと、そこには棺に入った…もう動かない自分の父親がいた

否が応でも突きつけられる現実…しかし以外に冷静で何故か涙は出なかった
隣の部屋では親戚が集まって葬儀の話をしている
慣れているのか、ほぼ全てのことが決まっていた

今後の予定の説明を聞き、一旦気持ちを落ち着かせる
気付くと母親がいない…
2階に上がると、母親が延々と泣いていた…
声をかけれず、その場を離れた…

1階に下りると、ことの経緯を聞き衝撃を受ける

自分の父親は、いわゆる婿養子である
ただでさえ肩身が狭いうえに家の実権は母親の父、いわゆる自分の祖父が完全に握っていた
自分がまだ実家にいた頃も、仲は良くなかったし、話もそんなにしない日常だった
祖父母は少し性格がキツく、そんな祖父母と父を母がかろうじて繋げている…側から見てもそんな感じだった…
まだ自分がいた頃は間に入れたが、家を出てからはちょっとそこが心配でもあったのだが…

自分は知らなかったのだか、この少し前、母が網膜剥離になり家から車で高速で1時間くらいの病院にしばらく入院することになった
そうすると、家には祖父母と父しかいないわけで、後から聞くと、このときしょっちゅう喧嘩みたいなことや言い争いをしていたらしい

だから、父は毎週休みは高速バスで母のところに行っていたそうだ…それも泊まりで…
そこで色々と愚痴やら文句やら母に言っていた

ある日、いつものように父は母の病院に行き、そして病院を後にして家に帰っていったそうだ

それから3日後、母に祖父母から電話がある

「お父さん、まだそっちにいるの?」

「え?3日前に帰ったけど…」

これで一気に大混乱になった
当時携帯なんて無く、捜索願を出すか話していた

そんなとき、TVにあるニュースが流れてきた…
母の入院している病院の近くで身元不明の遺体が発見されたと…
背格好や所持品が父と似ていた…
すぐに警察に連絡をし、身元確認に向かった

残念な結果だった…やはりその遺体は父だった

警察の話によると、病院の近くの公園の噴水の池に浮いていたらしい…近くにはきちんと畳んだ服が置かれて…
近くのガソリンスタンドの人が父と話をしたらしく、夜遅くに歩いている父が気になり声をかけたところ、
「今から子ども風呂に入れなきゃならないんだ」
と言われたらしい

多分、母が入院して、ただでさえ肩身の狭い生活だったのが更に嫌になって鬱状態になって記憶が昔に戻って、池を風呂と間違えたのではないかということだった…まだまだ夜が冷える公園の池に入れば…である

母は自分が家に電話をしていれば…とずっと言って泣いている…
衝撃的過ぎて、気持ちの整理なんて到底出来ないまま葬儀を迎えることになった

しばらくは、毅然としていたが
いざ出棺になり、最後に父の顔を見たとき一気に感情が溢れてきて涙が止まらなくなった
延々と泣いた…もう声も出ないのに…今まででこんなに泣いたことないくらい泣いた…

そのとき色んなことを思い出した…
一緒にやったキャッチボール、バイクの後ろに乗って走って転倒したこと、内緒で小遣いを貰ったこと、2人で上京の引越しをしたこと…
思えば、色々してくれたんだな…今更ながら思う

泣くだけ泣いたら気持ちの整理もついたと思う
つかないと進めないからね…

話を戻すが、何故不思議なのか…
実は実家があるのは、新潟なのである

そう、あのとき不意に新潟に行こうと思ったのは
もしかしたら、父に呼ばれたんじゃないか…
「父ちゃん死んじゃったから帰って来い」って新潟方面に呼ばれたんじゃないかって…
自分の中で勝手にそう思っている、思うのは自由だからね…結局、新潟にとんぼ返りになっちゃいましたけど…

もう25年以上前のこと…自分がその父の年齢に近づいてきて、何となく思うところがあるなぁ…


※最後まで読んで頂きありがとうございます
 なんとなく、記憶として忘れないように書いて     
 おこうと思いました
 世の中色んなことがありますね…
 



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