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Intellectual Giftedness

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Intellectual Giftedness – 才能についての科学
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Intellectual Giftedness - 才能についての科学 #7

過度激動 - 嵐のような内的宇宙 天賦のギフトが高度になればなるほど、その人生は試練に満ちたものになると言えるかもしれない。普通の人にとっては気にも留めないような小さな刺激に対して、ギフテッドは時に大げさなくらいの大きな反応を示す。このような、高知能の子供たちがしばしば示す、刺激に対する並々ならぬ鋭敏な反応を「過度激動 (Overexcitabilities: OE)」と名付けたのが、ドンブロフス

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Intellectual Giftedness - 才能についての科学 #6

醜いアヒルの子 - ギフテッドの一風変わった振る舞い ― その子は、極度の知りたがり屋であった。学校では「1+1=2」を鵜呑みにすることができず、先生の手を焼かせた。ガチョウの卵を自分で孵化させようとして何時間もガチョウ小屋で座り込んだり、「なぜ物が燃えるのか」の探求に熱中し過ぎたあまり、自宅の納屋を全焼させたりした。仕舞いには、担任の先生から「君の頭は腐っている」と吐き捨てられる始末であった。

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Intellectual Giftedness - 才能についての科学 #5

ギフテッドと優等生- 学習に対する根本的な違い ― フィリップが小学生だったころ、アマンダは息子の学力を伸ばすためにどうしたらいいのか、悩んでいたことがあった。そんな折、プリンストンの教育ママのひとりから、「クモン」という塾に行かせたらどうかとすすめられた。(中略) 何列にも並んだ子供たちが小冊子のようなものになにかを書き入れていた。問題を正確に解いた子供たちには、褒美としてキャンディーが与えられ

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Intellectual Giftedness - 才能についての科学 #4

恐るべき子供たち - ギフテッドの特徴 ジュディ・ダットンによる『理系の子 - 高校生科学オリンピックの青春』は、一心不乱に科学に打ち込む青年たちの物語だ。変わり者の天才少年少女は、彼らの歩んできた人生から研究テーマを見出し、それに青春をささげる。理解者である家族や先生は、世間からの「そこまでやらなくても」という視線や、オタクやギーク、引きこもりといったレッテルから彼らを守る壁となる。

 著者は

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Intellectual Giftedness - 才能についての科学 #3

ギフテッドはどこにいるのか? - ギフテッドの定義 ターマンが定義していたように、20世紀初めの古典的な研究では、ギフテッドは高いIQと同義であると考えられていた。今でもそう考えている人も多いかもしれない。しかしながら、スティーブン・J・グールドが「人間の測りまちがい-差別の科学史」で痛烈に批判したように、IQ神話はしばしば人種差別や階級支配に利用されるような、政治の道具といった一面も持ち合わせて

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Intellectual Giftedness - 才能についての科学 #2

1500人の神童たちのその後 ― 神童と呼ばれて育つ人がいる。2歳でひらがなを覚え、3歳になる頃には字が書け、5歳で創作した話を書いた。両親の持ってきた算数の教科書と問題集を読んでみると、何を言っているのか大体理解できた。小学生のうちに微分積分を終えた。

 あなたにとっても、小学校で席を並べたそんな存在が思い当たるかもしれない。では、幼少期に卓越した能力を示したそんな「神童」たちの、その後はどう

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Intellectual Giftedness - 才能についての科学 #1

はじめに きっとあなたのクラスにも、一人はいたかもしれない。

 あるいは、あなたがその一人だったのかもしれない。

 Intellectual Giftedness – 私たちの中にはいつも、誰よりも早く学び、優雅に問題を解き、時に画期的なアイディアを出す個人がいる。学校で言えば、その人はクラスの人気者で、いつも皆の輪の中心にいるかもしれない。逆に、眼鏡を掛けて、部屋の片隅で大人びた本を読んでい

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