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吉野家で知らない人と1対1の相席になってしまった心のポエム

朝から吉野家の牛丼が食べたい気分だったから
名古屋駅西口にある吉野家へ。

ここの吉野家は店が小さめ、座席数も少なめ。
ピーク時なんて、ほとんど満席状態。

僕が入店した時には1対1の対面テーブル席しか空いてなかった。
そこには先に1人お兄さんが座っていた。

店員さんから「相席になりますが…」と案内され、僕は対面席へ。

手を伸ばせば相手の顔に届くくらいの距離。
マクドナルドやスターバックスで見かける
カップルがよく座っている小さめの席くらいの距離。

とても対面で向かい合えない程の気まずさ。
お互いの身体は通路側を向いていた。

僕は牛丼を美味しくいただくはずだったのに…
こんな気まずい状況では、美味しいはずの牛丼を味わえない。

カウンター席が空くのを待てば良かった。
だけど時間が無かったから我慢した。

先にお兄さんが注文した定食が運ばれて来た。
この時、箸箱が自分側にある事に気付いてしまった。

お兄さんが手を伸ばせば箸箱に届くけど、
こっちから渡してあげた方が良さそうな絶妙な距離。

人見知りな僕は、机の中心に見えないセンターラインを引いて
境界線をつくってしまい、箸を渡すか渡さないか躊躇した。

勇気を振り絞り、箸箱を開け、箸を手に取り、お兄さんに渡した。

「すみません。ありがとうございます!」と言われ、
気まずかった雰囲気が少し緩和した様な気がした。

そのあと、僕が注文した牛丼がやってきた。
自分が使う箸を取り出した瞬間、お兄さんは僕に聞いてきた。

「紅ショウガいります?」

お兄さんの陣地に紅ショウガがあった。
僕は普段から紅ショウガを食べないから、
紅ショウガの入れ物自体の存在に意識が向いてなかった。

本当は「いらないです。」って言えたはずなのに、
せっかく緩和した気まずい雰囲気をブチ壊すのは嫌だったし、
お兄さんの親切を無駄にできなかった。


僕は丼を手に取り、紅ショウガを入れてもらった。

それからはお互いに会話も無く、黙々と食べ続けた。


(僕、紅ショウガ食べないのに…)


(僕、本当は紅ショウガ食べないのに…)


この日に食べた牛丼は、いつもと違う味がした。

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