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野球界の丸坊主に思うこと③

人間という動物は大事な部分に毛が生えます。人間は脳が一番大切です。
しかし、人の頭部にほとんど筋肉や脂肪がないため、外部からの衝撃を頭蓋骨が大切な脳を守っています。そして、筋肉や脂肪がない分、脳を守るという役割を髪の毛も担っています。

実は、髪の毛の内側には空気が入っていて、ひとつひとつの力は弱くても、ある程度の量になると脳への衝撃を和らげてくれます。今では打者のヘルメットだけでなく、打撃練習で投げる投手にも義務づけられています。重要な事です。

しかし、髪の毛も頭を守っていることも理解しなければなりません。五厘頭の状態で打球等が当たった場合より、ある程度普通に髪の毛があれば、それは小さな差かもしれませんが、脳への衝撃は減ります。人の命が助かるとは、そういう小さな要因の積み重ねではないでしょうか?頭を、脳を守るために毛は生えるのです。


次に、人間は恒温動物です。
対義語である変温動物は外気温の変化に応じて体温を変化させて生命を維持します。一方で恒温動物は体温を一定にすることで、生命を維持するのです。

暑ければ体表に体内の水分を集め、体内の熱を取り込み、体外に放出(気化熱)し体温を下げます。寒い時は、自分の意思とは関係なしに、身体をブルブル震わす、つまり筋肉を小刻みに収縮させて熱を作ろうとします。

また体内を冷やす要因となり得る体内の水分は、汗ではなく、今度は尿として体外に放出されます。これが寒くなるとトイレが近くなる要因です。頭の毛には、保護だけでなく保温という役割も担っているのです。寒い日は髪の毛が脳の血行不良から保温し守ります。脳の血行不良が良くないのは当然です。

つまり、真冬に五厘頭はそれだけで危険なのです!

それだけではありません。人間の身体は一定の体温(36度くらい)を保つための機能が備わっていると言いましたが体温の上がり過ぎに一番弱い部分がこれまた脳なのです。なので、人間の後頭部や首には一番汗腺が多いのです。

夏になると、外で子供達が遊んでいる時、帽子をかぶるだけでなく、帽子の下にタオルを入れて被っているのをよく見かけます。あれは帽子からはみ出したタオルの半分くらいの長さの部分が後頭部、首に被さるようにして、直射日光が当たらないようにしているのです。このように最近では、熱中症もより深刻になっていて、様々な対策が取られています。

しかし、言うまでもなく、五厘頭では、直射日光がまともにあたります。校則範囲の毛髪量があるだけでだいぶ日光は防げるというのに。

また一番汗腺がある後頭部や首に気化熱を起こすことが大切になりますが、気化熱は起こそうとするその場所の近くに水分があれば、より熱を放出してくれます。池や湖など水の近くにいれば涼しいのと同じでしょう。

実は髪の毛は、体外に放出された汗という水分を毛先に留め(毛先に留まった汗は冷たくなっています)、脳近くの熱を下げてくれるのです。これも五厘頭では難しくなってしまいます。


先日、とある高校の試合を見に行きました。甲子園も充分狙えて、進学率も高く、またプロ野球や社会人野球にも選手を輩出している名門校です。この高校の野球部は、校則に沿った髪型が許されている野球部です。

ここで言う、校則に沿った髪型のイメージは、就活している大学生といった感じです。球場に着くとその丸坊主ではない選手達が、爽やかに元気よく挨拶をしてくれ、試合が始まるとグランドでは、丸坊主ではない選手達が必死にボールを追いかけ、スタンドでは丸坊主ではない選手達が必死に仲間に声援を送っています。

試合が終われば丸坊主ではない応援のリーダーが「来た時より、きれいにして帰ろう」とゴミ拾いをしている。何の違和感もありません。見ていて気持ちの良い、まさしく理想の球児たちです。

それでも、やはり理想の球児は丸坊主だよ、という人はいるでしょう。先程就活の髪型と言いましたが、就職活動とは学生が一般社会に入るための初めての重要な勝負です。そんな就活の面接に丸坊主で挑む人がいたとしたら、かなり違和感を抱くのではないでしょうか?それでも理想は丸坊主と言い張る人はいるのでしょうか?

そして、後頭部周辺だけでなく背中も大量に汗をかきます。私も経験がありますが、高校野球の感動の一部にベンチ入りメンバー発表のシーンがあります。四角い布に貼り付けられた背番号をもらい、メンバー入りできた者、できなかった者。多くの球児の青春の一ページでしょう。

しかし、元々分厚く、刺繍も多く使っている高校野球のユニホーム。その上に更に背番号の付いた布を縫い付けると当然ながら、背中の熱はこもりっぱなしなります。今はウエアもかなり進化しています。オールプリント、素材も軽く 通気性も良い物がたくさんあります。

私が言いたいのは、ユニホームの上に更に背番号の付いた布を貼り付ける制度をなくしましょう!ということです。初めから背番号をプリントされたユニホームにしましょうということです。そんなに難しい事とは私は思いません。

世の中、ダメダメと言ってばかりでは、スピーディに進みません。ここまでも様々な努力はされていますが、今後もポジティブに改革を進めてもらいたいと思います。ですので、是非とも「丸坊主を強制はしてはいけません」というより、「校則にのっとった髪型を推奨します!」と声高らかに宣言してみてはいいのではないでしょうか?

今回、スパイクの色の改革は素晴らしかったと思います。ですが私は改革をこれで終わりにしてほしくないのです。ここまで読んで頂いた野球関係者がいらしたら、ぜひ熟考をお願いしたいです。

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