緑のフィーカの会(第5回2024/03/03)〜イノベーションの起こし方〜

なんだかんだ第5回までやってまいりました。緑のフィーカの会です。これまでムラの閉じ方や里山について等「緑」のフィーカらしくローカルやグリーンによった話を中心に進めてきましたが、今回は少し毛色の違う「イノベーション」をテーマに田中律羽さんをお呼びしてフィーカをしました。

田中さんはEKKYO.HUBを運営しています。EKKYO.HUBはトビタテ!留学JAPANで世界各国に留学した日本人の学生たちで起こしたプロジェクトで、日本の尖ったYOUTH(若者)・コミュニティ・企業が共創する場の創出を目指しています。

田中さんがどんな想いでこのような場を創ったのか背景も聞きながら進めてきました。

イノベーションのイメージ、関わり

みなさんはイノベーションと聞いてどんなイメージを持つでしょうか。我々もこの問いかけからスタートしました。

・気候変動技術の技術革新でイメージがある、クライメートテックなどの研究で絡んでいる
・誤用されそうな言葉、言葉として考えなおさないといけない。

・イノベーションは自分のフィールドではないが、研究者としてどういう現象があって、何が起きるのか等、イノベーションが起きる素材を提供できればと思っている。

・国としては、上流の基礎研究や実証などの支援から下流の製品の普及段階のものへの導入支援、最後は一定の基準を設けるなどの規制などがある。そういう規制支援一体型の補助金に取り組んでいる。

・投資の対象となる自然、そうでない自然がある。大事な原風景にイノベーションを起こすことができるのか話してみたい。


役に立たない研究とマーケット

いろんな基礎研究がされており、時にはそれが実用化されることもある。そうやってタネは転がっているが、そのタネをどうやって現在のマーケットに差し出すことができるのでしょうか

ハブっていいですよね
個々で繋がるには、何十、何百の人と会う必要があるがハブはそのきっかけになる。

役に立たない研究が役にたつことが大いにある。
実用からスタートするのは民間
不要からスタートするのはアカデミア

企業出身の研究者は実用的な必要から問題設定をしており、明確な目的からスタートしているが、自分の頭の中に入ってない範疇のものが大事ではないのか。目的を持ってやることを過大評価しすぎない。目的を決めすぎると予想外なイノベーションが起きづらそう。

ソニーは幽霊の研究をしている。そういう偶発性を大事にする企業文化がある。企業だからといってイノベーションが起きないということもない。


エッセンシャルなもの、社会課題に対してお金は流れるのか。そういった分野にイノベーションは起きるのか

アメリカと日本では、スタートアップへの投資量が違う。アメリカの方が特定の企業に一気に投資をする。日本は似通った分野に薄く広く投資をする。

イノベーター理論のイノベーターとアーリーアダプターに対しての投資の違いのように見える。アメリカの方が種にお金を出して、日本は芽にお金を出す。

日本はポケモンなどのクリエイティブがあるのにとよく言われる。だけどポケモンGOはアメリカなのは悔しい。

そもそもアメリカに追いつけ追い越せなのはどうなのか。日本という国がそもそもスタートアップはあまり馴染まないのかもしれない。日本独自のシーズの見つけ方、イノベーションがあるのでは?

世界をみると、日本は劣ってしまうように思いがちだが、そうではないのではないか。

日本がもつ自然への畏怖や感受性を大事にする。それを忘れないで、世界に振り回されないことが大事では。シリコンバレーにはなれないことに気づく。

日本はシーズの拡大は得意。投資する対象が少なく、デジタル、ディープテックについてお金が流れている。一方で大学関連のスタートアップは増えてきているような流れ。


社会課題に対してどうやってお金が流れるのか。

一般的には投資回収期間を伸ばす、長期の目線が重要になるとされている。社会課題関係の事業をスケールさせるのは長期間かかる。

ただ、それだけでお金が流れないのも事実。社会をよくしているという新しい経済価値指標を作る必要がある。ESGなどはその文脈の一つ。

そういった分野のルールメイキングは欧州が先行しているが日本はできないのか。

防災や排ガス規制などは先行している部分もあるが、環境文脈全体的には遅れている。里山など日本らしい価値観を日本流で国際基準にできると面白いかもしれない。


イノベーションは人を幸せにするのか、必要なのか。

イノベーションって必要なんですか。手段が目的になっているように見える。在りたい社会が先にあるのでは。共通する人類ビジョンが必要だよね。

少子高齢化社会に対してのイノベーションを作れないのか。

日本の社会を動かしている人たちが東京にしかいない。東京と地方で課題が物理的に離れていることが、課題解決を遅らせているのではないか。放置できるようにマネーゲームが走っている。

社会全体として考え続ける人と時間が足りていない。みんな片手間でこういった問題に取り組んでいるが本質をつけていないのではないか。

前例踏襲文化が悪い。人が足りていないのに不要な作業で時間を潰していたりする。文化などもあるので一概に全てが不要とか効率化をすべきとは言い切れないけれども。

今までやってきたものを変えていく。疑っていく。既存の枠組みを取っ払って、考え直すという能力が必要になってくる。

技術ということを考えると問題の本質を見抜くことが難しくなる。市場に乗っていないものにイノベーションにお金が回るのか。

スマートシティは技術をベースに考えている。こうした概念も人の暮らしから考えていく必要がある。技術もファイナンスもツールでしかないことを再認識する必要がある。

構想から行動へ

みんな理想は掲げられるが、じゃあ、どう動こうとなるとなかなか行動にまで移すのは難しい。

国単位で動くことは難しい。小さい単位から動く、ローカルで産官学連携などがあるといいかもしれない。

民間の企業から動くことは難しい。個人がもう一束の草鞋を持つことで新たな連携やイノベーションが生まれるのでは。

感想

目的なしに話すのは楽しいが、現実社会とのギャップが大きい。研究者としてわかりやすく話せる能力をあげていく。シーズを提供していくことをしていきたい。

何を価値として感じるのか
イノベーションの話をしてきたが、結局経済社会の話に行き着くのは、そこがネックになっているのだと思う。課題として根本は遠いけど、変化は起こしていけると思う。

イノベーションとスタートアップは確かにマネーゲームになっているが、これまでのベターな形として資本主義があると思っている。
そこが変わらないといけない世の中への影響、指標があると変わるのでは。定量化していくのか、もう少しみえる化していくのか。それとも共同体の中で生きる道を選ぶのか。変わることが求められている。

どうやって実践していくのか。いいなで終わらない。実行のフェーズに移すことを後押ししたい。何かを後押しする。それこそがイノベーションだと思う。

物事にタイミングはあるので、すぐに実行とはならない。いろんな人と出会う場があって、関係性を繋ぎ続けて、何かが生まれるといい。

本質を考え続ける力が大事。マーケットにローカルを差し出せるのか。そうした分野からイノベーションが起きてほしい。


イノベーションの話を中心にしてきましたが、ここでも経済社会の話、すなわち資本主義社会の抜本的な再構築、もしくは現実的な軌道修正の中で、イノベーションのあり方も多様に位置付けられるような気がしました。

もう少し深ぼれる内容があったのではないかとも思いますが、別分野の引き出しが少なくもう少しいろんなベクトルから考えられたようにも思いました。ここらへんは勉強です。

いずれにしても社会は変容していきます。その中でどんな変化を起こしていくのか。みんなで考えられる機会をこれからも作っていきたいと思います。

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