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Ambient jungle,Atmospheric jungle/d'n'bのつくり方:③Breakbeats編(How to make d'n'b beats)


今回はBreakbeats編です。
Breakbeatsはレコード等からサンプリングしたドラムのブレイク部分をループさせたり、サンプラーやオーディオ編集ソフトでSlice→ビートを再構築する手法のことです。Hip-hop、Jungle問わず、Drum'n'Bassや近年のElectronic musicでも頻繁に活用されているテクニックです。
有名なドラムブレイクとしてはジェームズ・ブラウンの「Funky Drummer」,「Tighten up」,「Soul Pride」。The Winstonsの「Amen,Brother」(Amen break)、リン・コリンズの「Think(About It)」、Incredible Bongo Band · Lordan · Lordanの「Apache」等があります。
以下、Jungle(或いは近い領域で活動しているアーティストの)サンプリングソースを紹介しているYoutubeチャンネルです。時間がある時に視聴してみると、面白い発見が出来るかと思います。


これからサンプリングされたドラムブレイクを使用してどのようにJungle beatsをつくっていくのか紹介します。既に他の方がHow to 動画をアップロードされていますので、そちらの動画も紹介しながら説明していきます。

1.ドラムブレイクのSampleを用意する

上記のレコード等からサンプリングを行い、一から音を加工していく方法があります。しかしこれは簡単なようで中々難しい方法であります。例えばJungleで使用されているドラムブレイクはサンプラーやミキサーといった機材、Effecter等を通過した音ですので、お気に入りのtrackのドラムブレイクを再現しようとすると必ず失敗します。この方法は玄人向きですので、以下の2つの方法から入るのが簡単かと思われます。

①Jungle、Drum'n'Bass、Liquid funk等、配布されているSample packを購入する(或いはFree Sample packとして公開・配布されているものを入手する。※著作権についてのガイドラインを理解した上で使用して下さい

②お気に入りのtrackからドラムブレイクをサンプリングする。
近年のAI技術の発展により音源をセパレーションすることが可能となりました。例えばSerato社のSerato Sampleや、iZotope社のRXシリーズ。FL Studioではマイナーアップデートにも関わらずこれらのStems機能が標準で使えるようになりました。

今まではドラムのブレイク部分がメインターゲットでしたが、これからの時代はtrack全体がサンプリング対象となります。VocalやDrums、Bass、Instruments…さらに技術が進化すればより細分化が可能になり、コンテンツ生成系AIでオリジナルのSampleや曲がつくれるはずです。

テクノロジーの進化を上手く取り入れて学んでいくことが大切ではないか?という、以前記事にした「生成系AI(AI作曲)について考えていること」をご覧下さい。

今回はsoundpacks.comのJungleJungle: 1989-1999 Sample Packを使用してJungle beatを作成していきます。

2.SampleのPitchiとBPMを合わせる

曲をつくり始める時に適切なドラムブレイクを選択することがとても重要になります。これからつくろうと考えている曲のリファレンス(お手本)を用意しておくと迷わずに済みます。
曲の雰囲気と相性の良いドラムブレイクを選んだら、次に行うことはBPMとPitchを合わせることです。DAWや実機のサンプラー等を使用してSampleのBPMとPitchの調整を行って下さい。ドラムブレイクそのままのPitchを使用したい時はKey Lockした状態でSampleをStrechして下さい。
(※使用するサンプラーによってTime Strech機能に特有のクセが生まれます。例えばAkai sシリーズのサンプラーから生まれるこの特有のクセが、Jungleという音楽を特徴付けています)。BPMはジャンルによってある程度固定化されているものもありますが(Liquid funk 174bpm、Footwork 160bpm等)、Break beatsのBPMに合わせて曲全体のBPMを決めるといった方法もよく用いられます。

3.SampleをSliceして再構築する

準備したSampleをSlicer又はサンプラーのSlice機能(どちらも同じことが出来ます)を使ってキック、スネア、ハイハット、ゴーストノートなどに分解します。そうしたら以下のように再構築してJungle beatsをつくっていきます。

補足
SamplerのAuto Slice機能は時々グリッドの位置がずれることがあります(トランジェント部の検出に伴う誤差)。なので手動で調整する必要がある場合は適時Start pointを揃えます。

キックやスネアが軽い場合はAttack感を強めるために、トランジェントを強調した波形をレイヤーする方法があります。以下の動画が参考になるかもしれません。

補足の続き
D'n'B Beatsをつくる際、キックやスネアをグリッドにしっかりと合わせないとグルーヴが生まれないと考える人もいますし、ローテクノロジーで正統な音楽教育を受けていない人々の荒さが成り立たせてきた(感覚的がいい)、と考える人もいます。また既にフィジカルリリースされたJungle(レコード)等からSamplingしたドラムブレイクは完成されているから音作りなど愚の骨頂と考える人もいます。私は個々人の哲学から導き出された解はどれも尊重するに値すると考えていますので、試行錯誤しながら自身に合った方法を見出せば良いと思います。

【個人的に考えていること】
Jungleをつくっている人はJungleからサンプリングする!みたいな考え方もあります(カッコイイものでカッコイイものをつくろう!という意味)。海外のアーティストと話していると、作りたいものを好きなようにつくるという言葉が割と頻繁に出てきます(抑えつけられている?)。

コンテンツ生成系AIの影響でサンプラーという言葉に過剰反応する人たちも身近にいて、MPC1000 BKでJazzレコードからサンプリングするという話をすると「Jazzのいいとこどりするな」と怒られました。彼はJazzが好きなのですが、Jazzy hip hopはダメだというニュアンスのことを言っていました(その日の午後、彼に聴かせるとすぐにハマってしまい私より詳しくなりました)。今では「アリ」とのことです。Amen breakなんてドラムで叩けばいいだろ、みたいなこともドラマーに言われました。けれどもAmen breakはノイズ成分や荒さも含めて成り立っているので、ドラムで叩けば再現できる話でもないのです。"あの音"が必要なのです。
すべての人に理解してもらう必要はありませんが、伝えたいことが伝わるといいなぁ…と思う今日この頃です。

今回は以上です。
必要な場合は追加の補足説明を行います。

手前味噌なJazzy Liquid funkです。

LTJ Bukem先生のmixです。30年走り続けることの偉大さよ…

一流は言葉の重みが違うぜ!
#ドラムンベース #Ambient #Atmospheric #Jungle #FLStudio #Amenbreak #Liquidfunk #Jazz #90s #70s #Jazzy hip hop #サンプラー #シンセサイザー  

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