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弓と楽器の関係 【Part4】

【Part3】の続き

弓の性能で完全に優越を決める要素があります。
それは剛性です。で、剛性って何?
剛性とは変形しにくさの性能と思ってください。
弓を緩めている時も、張っている時もあまり形が変わらない棹
弓を手前に傾けた時にも一直線で歪まない
この性能に関しては高ければ高いほどよく
剛性の低い弓に良いところは何も有りません。
また剛性にはもう一つ要素があって変形しにくさだけでなく
変形させた後の戻りにくさも大事な要素です。
弓圧を掛けて変形させた時にジワーとゆっくりたわみ
弓圧を抜いた時にもジワーと戻る弓の方が
弓は暴れず安定して演奏できます。

また剛性の高い材質である程、細く削っても剛性を保つ事が出来るので
軽い弓を創ることが出来ます。
剛性の低い材だとあまり削れないので太く重い弓しか作れないのです。
軽い重いは性能面の優越ではないですが
重さは後から足す事が出来ても、軽さは後からどうする事も出来ないので
剛性の低い弓は製作上で選択肢が無いのです。

最後にまとめます。
弓の棹材に音色を求めるべきではなく音色は技術の要素の方が大きい。
ただし高性能の棹材は弾きやすいので技術を金で買う事が出来る。
性能は剛性が全て。弓毛を張っていっても変形しづらく
弓圧を抜いても一気に跳ね戻らない物を選ぶ。
重さや軽さ、重心は好みの世界なので試奏して気に入ったものを選ぶ。

ちなみに国産の弓メーカーの杉藤楽弓社さんやアルシェさんは
棹材の剛性を正確に測って細かくランク付けし価格帯を設定しているので
剛性性能と価格が正比例しています。価格で判断しても大丈夫です。
ブラジル弓は割安で、ある程度は性能と値段が正比例していますが
ランク分けの階層が5段階程度と粗いので
若干の当たり外れは有るかもしれません。

ちなみにオールド弓は歴史的希少価値や骨董価値も価格に乗るので
価格が性能の判断材料になりません。選ぶのは難しいと思います。

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