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始まる前がなんか好き

noteのお題の中にあった「#新生活をたのしく」について書こうかな。

何か始まる前ってワクワクして、それだけで楽しくなってくるよなーって、そんな話。

上京前夜

実際に住んだのは横浜や川崎だったから、厳密には上京じゃないのかもだけど、都内の専門学校に通うために愛知から引っ越した時の話。

いったん社会人になったけど、阪神大震災の際に自分が担当したラインのコンベアが落下したり、なんやかんやあって「あ、これは向いてないな」なんて思った矢先にやってみたいことができて、その方向を目指すことを考え始めた。

転職して派遣社員になって資金を貯めて(当時は今より時給の良い仕事が多かった)、それでも資金面に問題があったので、新聞奨学生っていうオススメできない制度まで利用して、なんとかかんとか2年間の時間と棲家を確保できた。

出発の朝、夜行バスに間に合うように家を出る予定が、高校時代からの友人たちが押しかけてきて、最寄り駅まで送ってくれた。

駅の改札でお礼を言って別れるはずが、誰かが「UNOやろうぜ!」なんて言い始めて、吹きっさらしの駅のホームで5人で馬鹿騒ぎしながら見送ってもらったのは、いい思い出になったなぁ。

僕が住むことになったのは、横浜の霧ヶ丘というところの新聞店の2階。

多分四畳半くらいの部屋は、最初こそ何もなかったけど、寝具やMac(親父に13万で売りつけられたLCⅢ)、漫画や小説、テレビやビデオデッキ、ゲーム機数種類にこたつ等……、気がついたら足の踏み場は寝床しかなかった。

朝夕の新聞配達と月末の集金、週一の拡張(まあ営業みたいなヤツね)は、疲れるし面倒くさかったけど、これまで体験したことのない仕事や東京の学校に通えるという喜びもあって、最初のひと月はとても有意義に過ごせていた気がする。

一人暮らし前夜

新聞奨学生の期間が終了して、僕は川崎の武蔵新城駅ちかくのアパートに引っ越した。

就職がなかなか決まらず焦っていたけど、新富町あたりの小さなデザイン事務所で丁稚みたいな仕事にありつけて、何とか食っていけそうだった。

ただ、上京前に貯めた貯金も風前の灯火で、期待も不安も沢山あった。

一人暮らしに借りた部屋は、後々住人が増える予定だったので僕一人では広すぎたけど、寂しさは特になかった。

それまでの新聞店での生活が、僕にとって賑やかすぎたのだろう。

引っ越した翌日には初出勤だったので、しばらくは梱包を解く暇もなく、段ボールまみれの部屋で寝てた。

交通費を浮かせるために、溝の口から歩いて帰っていたんだけど、終電での帰り道、途中の「ビデオ安売王」で投げ売りされてるAVなんかを適当にいくつか買って帰って、ビール飲みながら早回しで観て、そのうち寝てしまう毎日だった気がする。

ぶっちゃけ、忙しすぎて遊ぶ暇もなかったけど、何かが起きそうな予感しかなくて、一人でいても楽しかった。

その頃、GW返上で業界誌のレイアウトをしていた時、得意先にデータを届ける用事があって自転車でブラブラしていたら、築地本願寺で大掛かりな葬儀が行われていた。

音楽に全く興味のなかった僕には、誰の葬儀だとかは全く興味が湧かなかったが、イマドキな若者たちが大勢いて何事かと驚きはした。

と同時に「東京すげえなぁ」って思った。

同棲前夜

その後、まあ色々あって身体を壊して実家に戻り、送り出してくれた友人たちには合わせる顔もなく、隠れるような過ごしながら仕事を探していたわけだけれど、無事に仕事も見つかり、そして友人たちにも見つかり、「何で連絡しないのかコノヤロウ」と叱られながら許してもらい、働き始めて数年後に自分のブログのコメント欄でのやりとりがきっかけで、今の奥様と出会うことに。

実際にあってから10ヶ月くらいで結婚したんですが、籍を入れてもらう前にひと月くらい同棲期間があった。

彼女は都内で生まれ育ったこともあって、築地本願寺の件の葬儀の話を興味深く聞いてくれてた気がするわだけど、昔の話なのでそんなに覚えてない気がする。

彼女と住んでいたのは、愛知県の西の端な方の、駅前にある築年数と僕の歳が同じくらいの賃貸マンション。

彼女が越してくるまでに自分の荷物を借りた自動車で運びながら「また何か楽しいことが始まるんだよな」って能天気に思ってたっけなぁ……。

始まる前が一番楽しい

旅なんかもそうだけど、多分計画してる時が一番楽しいんだと思う。

新しい生活を心の底からエンジョイしたいと思ったら、まずどんな暮らしをしたいかをじっくり考えておいた方がいい。

その計画通りにはいかないことばかりだし、むしろ計画通りになることなんてほとんどないだろうけど、考えてる時の楽しさって、多分人生で一度しかないから。

僕みたいな失敗だらけのポンコツの言うことなんて参考にもならないかもだけど、新しい生活をイメージして、ワクワクしながら楽しく過ごしてほしいなぁ……。

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