張込19加藤との死闘②

 加藤は愛を盾にしている。
 廻りにいるアベックに大声で、
「幸せな奴ら、携帯を捨てろ、動くなよ」
 江藤に銃口を向け、
「お前らは拳銃、無線機を捨てろ、当然、携帯もだ」
 「早まるな、加藤」
 江藤と翔子は拳銃を地面に置いた。
「俺は、どうせ助からない、死を覚悟した人間に怖いものはない、山奥でひっそり1人で拳銃自殺しようと思ったが、このまま1人死んだら俺は惨め過ぎる、俺の存在意義はどこにある、こんなクソのような人生、大酒飲みの日雇いの親父と毎日毎晩口げんかの母親、学校に行けばイジメられ、ゴミ扱い、そんな時、愛だけが優しくしてくれた、お前らだって環境が悪ければ俺のような人生になる、俺は決めた、愛を道連れに死ねば愛は永遠に俺のものだ、誰にも邪魔されない、終わり良ければ全て良し、あの世には貧乏も金持ちもいない、競争もない、あははは」

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