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太極拳(気功)とヨガ

五年くらい前に始めた太極拳(気功)教室を三月で辞めた。
六十を前に、身体能力の低下の著しいのに危機感を覚え体験教室に参加して以後週一回通った。
太極拳にはさまざまな型があり、定義は難解で私の理解には及ばない。

元は中国武術で、幾多の変遷を経て現在健康法として広められている型も種々あり、私が習っていたのもごく一部らしい。

最近は医学的に理に適った健康体操としてマスコミ等で話題になることも増えているようだ。

激しい動きではないので、中高年より上の世代で取り入れやすいという。
単に身体のしなやかさや筋力を維持するのにとどまらず、精神の安定、意識の充実、集中力を養う効果もある…
正しく行えば。

そう、元来武術なので日々鍛錬を積む必要がある。
正しい呼吸を会得して身体を緩め、理に適った動きをしなければならない。
型は後からついてくるもので、作るものではない。
美しい動きには理由があるのだ。
そこを目標にせずやるなら、ただ手足を動かしているに過ぎない。
それどころか、"気"を伴わず動作を行えばむしろ害になる。
つまり、修行なのです。

そのことに気付いてから、俄然やる気を失った。
修行はいいです、運動を継続したいだけ、この頭で理解できる単純な動作の。

太極拳への情熱が失せた時と同じくして、地区のコミセンで開かれているヨガサークルのお誘いを受けた。
けっこう長く活動を継続しているサークルで、実は太極拳を始める前にこちらに参加を希望していた。
人気のため満席で新規募集がなく諦めたのだった。
それが、メンバーが高齢になり次々に脱退したので、新たに募集しているのだという。
渡りに船と飛び込んだ。

ヨガには関心があって、街のヨガ教室を体験したこともあった。
しかしあれこそ、私のような粗雑な人間には不向きに感じた。
全面ガラス張りでどこに目をやれば良いのか落ち着かない、やってる人はみんなスレンダー美人で、かっこいいレオタードを身につけ、姿勢が良いのでツンとすましている(ように見える)
毎朝湯冷しを飲んでいそうだ。
ムリ!の最大要因は、安座ができないことであるのに気づいた。
胡座がかけない…話にならない。

胡座がかける人には理解できないかもしれないが、胡座がかけないというのは正座ができないより情けないことだ。
今どき正座なんて、しない方が良いとさえ言われている。
私が胡座がかけないのは物心ついた頃からだ。
胡座がかけなくても困ることなどなかった。

胡座がかけないのは骨盤底筋が緩んで、身体の重心がずれていて、腹筋がなく、股関節の働きが悪いからだという。
子どもの頃に胡座の練習をすれば良かったのか…
そんな取り返しのつかないことを言われても。

コミセンのヨガ教室の講師が、新年度に向けて新規会員向けにこの教室のコンセプトを話された。
講師は、アメリカスポーツ医学会ヘルスフィットネススペシャリスト、だという。

日本にある一般的なヨガ教室では、身体に痛みのある人を指導できないらしい。
言い換えれば、身体を動かせる人しか習えない、ということである。
なるほど、それでスマートで姿勢の良い、ちゃんと胡座がかける人ばかりなわけだ、ガッテン。

講師は、この教室の目的は向上ではなく維持であるという。
十年後にできるだけ今の身体を保てていることを目標に、無理をせず続けていきましょう。
今の状態は個人のものだから、目標はそれぞれである。
コミセンの会場にも鏡があるが、カーテンが引かれている。
講師は、安座ができないなら足を伸ばしていて構いません、できることをやりましょうと優しくおっしゃる。

十年後が楽しみになってくる。

※画像は ノラ猫ポチ(猫の写真だけの場所)さんよりお借りしています。
ありがとうございます♪



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