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トドの産業医(6)商工会議所を巡る

 産業医を取得したと同時に勢いあまって法人を作ってしまったトドの産業医が、将来本当に独立した産業医事務所に育ちあがるまでの道標を書いていきます。
 さて、商工会議所の広報誌にチラシを折り込むには、当然商工会議所に入らなければなりません。早速あいさつ回りにでかけます。


結論

・商工会議所も場所によって気色はかなり異なる
・積極的に関わると向こうも積極的に応えてくれる
・ネットに載ってない有力情報はかなりある


トドの産業医:商工会議所をめぐる

チラシを作り、パワポを作り、営業ロープレをこなしてちょっと一息ついたトド。しかしここまで来てふと気が付いた。

ヤバ!10月号のチラシに折り込むには早く折込申し込みせなあかんやん!!

ってかそもそも折り込むには商工会議所に入らんとあかんやん!!

トドはいつもギリギリで生きています。はてさて商工会議所巡りの始まり始まり…。

さぁ 思いっきりブチ破ろう…

只野トド、勢い余ってやらかす

まず最初に訪れたのは法人会への入会を勧めてくれたA商工会。徒歩10分也。ひさしぶりに訪れるとなるとなんだかちょっと照れくさい感じが…。
いや、そんなことは言っていられない。とりあえずドアをノックしてみる。

コンコン

シーン

あれ?電気はついている?よし、ここは無害であることをアピールするために元気に挨拶しながら入ろう!

「こんにちは!トド産…」

スコーン…バーン!!

さぁ 思いっきりブチ破ろう…(2回目)

ぶち破る勢い×蝶番の壊れたドア=職員さんDON引き

ついこの間言われたばかりやん…トド

「あ、えっと…どなたでしょうか…?」
職員さんの一言でようやく我に返るトド。まずは謝罪しなければ!!
「あややや、えと、すいません!ほんとにすいません!!私怪しいものではなくて、トド産業保健事務所の只野トドでございます。実は広報誌にチラシの折り込みをお願いしたくてですね。あの。」
「あ、そうなんですね。ありがとうございます。どうぞこちらへ。」

恐る恐る椅子に案内されるトド。

やっと一息ついた…さて、一旦デスクに戻った商工会職員さん。ついでにトドの会社情報を軽く調べてくれたのだろう…ところがなぜか困り眉で戻ってきた。

「申し訳ございませんが、上期分の会費が未納でございまして…」

やっちまった~!

『こちらこそ大変申し訳ございません!只今お支払いいたします!!』

しょっぱなからこれである…この先大丈夫か?
トド。


只野トド、コネの強さを知る

次はB商工会議所である。ここはトドのいる場所から車で1時間程度。工業地帯が多く、恐らくニーズがあるとトドが睨んでいるところである。
問い合わせメールを送ったところ、事前に予約を取るようアドバイスされた…。ふむ、そういうところもあるんだなあ。

A商工会を出て早速車を走らせる。
ほう、高速道路を利用すれば余裕やな…。

・・・トド、見事に道に迷う。

どーして!
どーしてこういう時に限ってカーナビ通りに運転しないんだトド!?

どう考えても15分…場合によっちゃあ30分は遅れそう。早速電話である(ハンズフリー)

「はい、こちらB商工会議所の〇でございます」
「はい!もしもし!本日〇時に御面談の予約をしておりました。トド産業保健事務所の只野トドでございます」
「あ…はい」
「実は渋滞に巻き込まれてしまいまして!そちらにお伺いするのが30分程度遅れます!大変誠に申し訳ございません!!!」
「あ、かしこまりました。お気をつけてお越しください」

30分後、なんとか現地に到着。
担当のBさんにスライディング土下座をする勢いで謝罪しまくる。
早速作り立てのチラシと営業用パワポをお渡しした。

「ほう、産業医?」
その反応をトドは見逃さない!
「あ、B商工会議所さんにはトド以外に産業医で登録している方はいらっしゃいますか?」
「いえ、先生が初めてです」
(うしっ!ファーストペンギンゲッツ!!)

ただ喜んだのも束の間…想定してはいたものの、商工会議所の登録事業所の多くは個人事業主さんや50名未満の中小企業さんが中心とのことだった。しかしトド、パンフレットに『無料専門家相談会』の文字があることに気が付いた。

「あの…もしかして、こういった相談会とかって私とかが登録すれば相談員として対応することも可能なんですか?」
「あ、いや残念ながら事業所様からの立候補ではお受けしていないんですよ…参加者が殺到してしまいますし」
「確かにそりゃそうか…」
 と引っ込みかけたところでトドはふと思った。

「ん?となるとここで無料相談されている社労士さんや弁護士さんとは、かなりB商工会議所さんとつながりが深いという理解で宜しいでしょうか」
「ええ、そうなります。もう10年以上の付き合いになりますね。2人ともすごく話しやすくて、経験も豊富な方です。社労士先生は〇〇先生と言いまして、弁護士先生は◎◎先生ですね」
「なるほど、もしご迷惑でなければですが…私自身、今後の産業医活動を展開するにあたり、中小企業さんの労務問題に対して最前線で取り組んでらっしゃる社労士さんや弁護士さんとの連携が命になっていくと考えております。そのことを考えますと、今後お力をお借りする場面も出てくると思います。もしよろしければ、一度ご挨拶をする機会を頂ければと思うのですが…いかがでしょうか?」
「それは良い考えだと思います…ただ直接ここにお呼びすることはできませんが?」
「いえいえ、そこまでしていただくのは申し訳ありません。ただご挨拶のお電話を差し上げる際に、B商工会議所様からの紹介があった旨を一言口に出してもよろしいでしょうか?」
「それでしたら今先方にお伝えしますよ?」

え?いいんすか?

「え、よろしいんですか?」
「それくらいしかできませんけれども」
「それだけでも十分すぎるほどです!本当にありがとうございます!」

早速電話をしてくれた。
他にも自分が所属する部会長も社労士先生であること、結構活動が多く、飲み会が好きであることを教えてくれた。

こういう情報はインターネットには載っていない。やっぱり直接対面で話を聞くのが重要だと思った。

さて、商工会会議所を出た後、早速電話をかけてみた。

「…プルルル…はい、こちら◎◎法律事務所、受付の●●でございます」
 なんだか三角眼鏡をかけていそうなベテラン臭のするおばさまの声がした
「あ、私、産業医をしております。トド産業保健事務所の只野トドと申しますが…」(トドめっちゃきょどりまくりである)
「なるほど…それで、今回はどういったご用件でしょうか?」
(なんかめちゃくちゃ警戒されている!?)
「あ、その、実は私、今後B地域で産業医活動を展開しようと思っておりまして…」

「はあ、それで…」(声が鬼のように冷たい…)

「あ、それでその…今回はB商工会議所のB様のご紹介…」
「ああ!B様の紹介のトド産業保健事務所様ですね!お話聞いておりますぅ~ただいま◎◎先生におつなぎしますね」

(ダウト!わし最初に会社名言ったし!絶対警戒してた!!!!)

ただこの時確信した…コネクションの有無は本当に大切だと。


只野トド、スカウトされる

さてさて次はC商工会議所…実はこの商工会議所の常議員企業様がトドの産業医先なのである。近くにはたくさん工場があることもわかっている…なんとか顧問先をゲットしたい。

「こんにちは!よろしくお願いいたします!」

とりあえず名刺を片手に特攻するトド。
挨拶をすると奥の方から職員さんがいそいそと出てきた。

早速チラシと営業用パワポを見せて一言
「ここの商工会議所には産業医さんは登録していますか?」
「産業医事務所さんは登録していないですね…」
(しめしめここもファーストか…)
「ただ開業医さんで産業医業務をされている方がいますね。なかなか忙しくされているようですよ」
「ほ…ほう…」(初めてライバルが出現し、戸惑うトド)
「あとここはどうしても医師会の力が強いので、どうしても昔からつながりのある先生に企業さんも産業医を頼むことが多いようです」
「そ…そうですけえ…」

途端にしおれるトド…しかしこんなことでくじけて居られない。

「年代としてはどうなんでしょうか。一般的に産業医というと60代の方が多いようですが?」
「そうなんですよね。なので…まああまり大きな声では言えませんが、どうしても昭和的というか、ザ・先生のような感じの人も多いようでして…ははは」(乾いた笑い声である。商工会議所さんも苦労しているようだ)
「ところでここも無料専門家相談をされているようですが、懇意にしている社労士先生や弁護士先生はいらっしゃるんでしょうか?」
「いやあ、実はここはどちらかというと皆で持ち回りのような感じなので、特別懇意にしている先生はいらっしゃらないんですよ…」
「そ…そうですか…」
(商工会議所ごとになかなかシステムが違うようである)
「ただ先生…ちょっとお待ちください…」

急に職員さんが立ち去った!?
な、なにごと!?一人取り残されたトドは戸惑った。

5分後、なんだか偉そうな人と一緒に職員さんが戻ってきた。
「トド先生初めまして。私C課長と申します。もしよろしければ当商工会議所に専門家として登録していただけないでしょうか…」

『え、わいが!?』
『2023年4月から始めたばっかやけどええんか?』

…ち、近い

「えっと、私のような人間でもいいんでしょうか?」
「先生は産業医でもあり、さらに精神科専門医でもいらっしゃる。ぜひよろしくお願いいたします。ただ謝礼は少ないですが…」
「え!むしろお金もらっていいんですか!?」

話を聞くと、メンタルヘルス不調の相談がちょこちょこ来るらしい…。
ありがたい…少しでもお役に立てるよう精進致します。


只野トド、謝る

4つ目に訪れたのはD商工会議所。ここは電車で30分圏内である。距離的にはCに近いが、こちらは工業、製造業以外の事業所が数多くある。
事前にメールで広報目的の入会であることお伝えしたところ、
時間を指定された。

さて、オープンカウンター前の席に座って待つトド。するとすぐに職員さんが小走りで寄ってきた。

「こんにちは。D商工会議所のDと申します。この度は入会をご検討くださりありがとうございました。メールで伺いましたが、今回は広報がメインの目的とのことですね。まずは当商工会議所について、ご説明させてくただいませ。当商工会議所の特徴としては…」

す…すごい勢いで話し始めた!
新しいパターンである!

「PRする手段としては、当商工会議所の広報誌に新規入会者の紹介ページがございます。こちらは無料です。この他にも抽選制にはなりますが、より大きなサイズでインタビュー記事に乗るページもございます。チラシ内の広告スペースについては1年契約がほとんどでして〇〇円になりますね。ただこれについては空き待ちという状況でして…あ、バナー広告については予算が可能ならばトップに載る方をお勧めします。一枚下層になるとアクセス数が1/6になりますので…」

とにかく広報の手段について色々なパターンを話してくれた。最初の自己紹介の後は終始、トドの方が圧倒されまくりである。
ここですかさずトド…確認する。

「あの…ここの無料相談に載っていらっしゃる社労士先生方にもご挨拶をしたいのですが可能でしょうか…その際にもしよろしければD商工会議所様からの紹介があったという一言を使ってもよろしいでしょうか…」
トド…おずおずと確認する。

「・・・」

「・・・」

Dさん…2秒ほど固まったと思ったら

ガタッ!

うお!?え?なになに?なんなの!?

「ただ今上席に確認してまいります!」
といってそのまま小走りで立ち去ってしまった。
今回ばかりはトド…あっけにとられっぱなしである。さて、この時間に入会申込書を書いていると、Dさんと上司のやり取りが聞こえてきた。

「…ということで、社労士先生にご挨拶をしたいとのことなんですが…」
「…いや…でもさすがにね…商工会議所の紹介って言われるのはね…」
「はあ…」
「今日来たばかりの人でしょ?別に商工会としては全く紹介しているわけじゃないし
「そうですね…」

Dさんも上司さんも…声大きいっす…。
ドスドスドス!Dさんが戻ってきた。

「なんかご迷惑をおかけしてしまったようで、申し訳ないです」
トド、先回りして謝罪。
「あ…いえ…『商工会議所に入会したので見つけたんですが』くらいならば問題はないですが…」
「いえいえ、むしろここまでいろいろな情報を頂けただけでも本当に感謝しております。皆様のご迷惑になることは決していたしません。」

商工会議所も場所によって気色が違うことを学んだトドであった。


トド気づく:直接行くと色々なことがわかる

さて4ヶ所の商工会議所にでかけたわけだが、改めて気づいたことがある。
コネのある社労士・弁護士先生情報も、専門家を募集していることも、部会長がどんな人かも、チラシ内に無料で紹介ページがあることも、

インターネット上には全く載っていない。

こちらから直接挨拶に行き、
アピールして初めて教えてもらえた。
やはり、動いてなんぼや!!!

いつの日か本当に独立して食べていけるようになるため
トドは今日も動き続けます。


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