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チャンネル登録300人記念 映画-300(スリーハンドレッド)-解説

えー皆さん。

This is.

久しぶりですね。なんか配信活動休んでたらチャンネル登録者が300を超えました。皆様のご声援に感謝いたします。

ところで、300人といえばコレですよね。

煽り文が無茶言ってるけど半分くらい史実。

そう、300(スリーハンドレッド)
大帝国ペルシアの兵士コミケの深夜組を華麗なパリィやシールドバッシュでシバき倒す本作。でも意外に本編を観た事がない、舞台となった「スパルタ」をよく知らない、といった人も多いのではないだろうか。

そこで今回は、本作300(スリーハンドレッド)の見どころ、舞台となる都市国家スパルタや、モデルとなるテルモピュライの戦いについて解説をする。

宣伝

チャンネル登録300人を記念して、私のチャンネルで、これから紹介する300(スリーハンドレッド)の同時視聴をやります。
興味持ったらチャンネル登録と、同時視聴への参加お願いしま~す☆
こういう宣伝はマメにやるに限る。

●Youtubeチャンネル

●同時視聴の日時
2024年5月5日(日) 20:00~22:30ごろまで
iTunes Store等で販売の1時間57分版で観ます。多分他にエディションないから何で購入・レンタルしてもこの長さのものになるはず。


そもそもどんな映画?

本作は言うなれば「大河ファンタジーバトルアクション」作品だ。史実に基づくものの、史実に語られない部分にふんだんに脚色を施し、正義のスパルタvs邪悪なペルシア帝国という敵味方の対立構造やそれぞれの魅せ場やクラス:アサシンやクラス:キャスターのモブサーヴァントや忌み潰しをふんだんに盛り込み、バトルアクションと、それに引けを取らないドラマに仕立てた作品である。

舞台は紀元前480年ごろ。昔のギリシャの国「スパルタ」が当時の大帝国「ペルシア」により侵略の危機に晒される。そんな中、ギリシャ最強のスパルタはたった300人の兵士で、ペルシアの1,000,000人の軍に立ち向かうという伝説的な戦「テルモピュライの戦い」をモデルにしている。

こう書くと小難しい感じだが、君たちは似たものを大変よく知っているはずだ。

コレも謎にコラボカフェとかやってるけど原作あんまり観た事ないよね。

そう、暴れん坊将軍だ。要はこの300(スリーハンドレッド)は、ギリシャ式暴れん坊将軍の劇場版なのである。スパルタの王が従者を率い、悪の軍団を相手に切った張ったの大勝負…そういうアクション活劇である。

しかしそこは劇場版。暴れん坊将軍がなんかタイムスリップしてきた仮面ライダーとコラボしたように、本作もとんでもないコラボをする。その作品がこちら。

ッデーン、デデデデッデッデーン(例のBGM)

エルデンリングだ。
いや、そもそも2007年の映画だし公式にどっちかがもう片方に影響したような話もコラボもないんだが、今観るとなんかちょっと絶妙にエルデンリングっぽいのである。
なので今から狭間の地スパルタの紹介を始めるが「いいからどんな映画か教えろ」という人は「ギリシャ式暴れん坊将軍劇場版 -エルデンリング風-」と覚えてくれればいい。

個人的にめっちゃリムグレイブに見えるシーン。
色調が完全に狭間の地なんだよな。

都市国家スパルタとは

そもそもスパルタは、現在のギリシャは首都アテネの西、湾を渡ったペロポネソス半島の南に位置する都市国家(ポリス)である。この半島では他にも、作中登場するアルカディア等の都市国家(ポリス)があったが、スパルタがあんまりにも最強無敵の筋肉大将軍だったため、中心的な存在となっていた。
都市国家については、今は「神殿等を中心に栄えた街が周りを巻き込んでできた小さな国」と思ってもらえば間違いない。

学びの洞窟
7歳にしてローリング回避を習うスパルタ人

映画冒頭からいきなり幼きレオニダス王が野に放たれローリング回避のチュートリアルやらルーンが多めに手に入りそうなおそらく、犬との戦闘やら苦難を与えられるとおり、この国の教育・兵士養育の仕組みはかなり独特である。

まず誕生直後、病気等により貧弱な子供は谷底に捨てられてしまう。親に生まれた子の養育権はなく、国家の共有財産としていきなり選別の場にかけられてしまう。
更に、7歳を迎えた時に軍の駐屯地でガチの軍事訓練を受ける。坊主頭に下着姿に裸足で、12歳になれば下着すら無しだ。これにはハートマン軍曹も真っ青だろう。
しかも食事は将来飢えても戦えるようあえて不十分な量が振る舞われ、飢えを凌ぐためならバレない限り食事を盗む事も許された(盗んででも飢えを凌ぎ戦う術を身につけろ、というワケだ。)
それでも足りない場合、狩りに出るしかない。素っ裸に槍一丁という本当にエルデンリングの縛りプレイみたいな格好を本気でやって、獣を狩って食うのだ。

おそらく、犬。
獲得ルーンが多い個体。

この厳しくも軍事、とりわけ強い歩兵を育てるためにはある種RTA合理的な養育方式を国ぐるみでやったのがスパルタである。しかも史実。もちろん、コレがスパルタ教育の語源だ。

また、作中でも重要となるスパルタの特徴が、この国の政治体系だ。スパルタは、5人のエフォロイという者が全市民(王含む)を監督する。王は2人存在し、そこに28人の議員を含めた長老会(ゲルーシア)が議決権を持つ。もちろんこの時代は神が人間の何倍も偉かったため、神事や神託は最優先だ。このように、王1人の権限はかなり制限がある。

そもそもテルモピュライに300人しか派兵できなかったことも、こうした政治体制に由来した。作中信じられないくらいナレーションに罵倒されても仕方ないくらい醜悪な心身を持っている5人のエフォロイ、そして神事による決定は王すら覆せないのだ。

テルモピュライの戦いとは

当時最大の版図を誇った大帝国ペルシアと、ギリシャの都市国家連合軍による、実に50年近く繰り広げられた「ペルシャ戦争」。この戦争は陸と海が同時に侵攻される戦いだったのだが、その陸での戦争において最も伝説的であり、海戦、ひいてはペルシャ戦争全体をギリシャの勝利へと繋いだ大きな一戦が、テルモピュライの戦いである。

大まかな地図と侵攻。
赤が陸戦、青が海戦。

当時のペルシアは、そのあまりに巨大な勢力をさらに拡大するため、現在でいうギリシャ一帯の征服を目指し西に侵攻していた。その進路上にあったのが、テルモピュライという名前の地だ。テルモピュライとは「炎の門」「灼熱の門」とも呼ばれ、片側は海岸、片側は岩壁に囲まれた隘路である。地勢条件こそ悪いが、ここは当時の幹線道で、この道を避けてペロポネソス半島に辿り着くことはできなかった。
しかしこのテルモピュライ、最も狭いところでは幅15mと広めの一車線道路くらいしか幅がない。そのため普通ならば、こんなところに騎馬兵や弓兵を展開しても狭すぎて意味がないので、こんなところで絶対に迎撃はしないはずなのだ。
そう、普通の軟弱者どもなら。

道幅15mのわかりやすい実例、ビッグサイト前交差点。
深夜組はここで止まる。

ここにあえて目を付けたのが、我らがスパルタの王、レオニダスである。もちろん奇策や悪ふざけやPegasus GlitchやWrong Warpのためにこんな場所を選んだわけではない。スパルタは論理が得意なのだ。そしてみんな筋力極振りが仕事だ。(作中ホントにこんな感じのこと言う。)
スパルタはその幼少から鍛え上げられた屈強な肉体と、高度な軍隊行動が最大の武器である。神を讃える祭のために戦に出れないから直属兵団総出で散歩というふざけたトンチ完璧な理論武装で、かろうじて300の兵を連れ出したレオニダスが、それらを一体どのようにこんなローリング事故でYOU DIEDしそうなクソ地形を活かすのか、注目してほしい。

そして、史実モノであるからこそネタバレをしてしまうが、彼らはこの戦いで敗北し、全滅する。敗北する戦略的理由は概ね史実通りだが、ここにどんなドラマが描かれるのかも見どころだ。
更に、この戦いによって大きく足止めを食らったペルシア軍は、攻めあぐねているうちにギリシャ連合軍の海戦準備の余裕を与えてしまい、続く「サラミスの海戦」で敗北。結局ギリシャを帝国崩壊まで手中に収めることはできなかった。そのような未来が待つ中、スパルタの男達は敗北に何を願い、何を見出すか。楽しみにしてほしい。

見どころは?

ちょくちょくエルデンリングっぽい

いや、冒頭の繰り返しになるが、もうホント私の幻覚の可能性もあるし分からん人にはトンと分からん話だと思うのだけど、この映画、今見るとなんかめっちゃエルデンリングっぽいのだ。

レオニダスの来訪を迎える一人のエフォロイ。
指読みかな?

黄色や青色をベースにしつつ、コントラストが強く、彩度の淡い、世界のシビアさを伝える重厚な色調の画面造りもかなりソウルシリーズライクだ。その上ところどころで繰り広げられる戦闘アクションや長い歴史に裏打ちされたドラマ…多分ゲーム化したらGOTY受賞も狙える。
そういった画作りの要所要所がエルデンリングに近く、つまり重厚なアクション映像としてはそれだけで成功しているのだが、それ以上に何故かエルデンリングっぽいエネミーや戦闘システムも多数出現する。

  • おそらく、犬

  • パリィ

  • シールドバッシュ

  • 強靭削り

  • 致命の一撃

  • しろがね村(!)

  • 忌み子潰し(マスクないけど)

  • 火炎壷

  • 調香師(!!)

ペルシア出身の調香師たち。
調香瓶は無いが本当に壷投げて遠距離から爆撃してくる。

などなど…
そんなプレッシャー溢れる画面で一癖も二癖もあるエネミーに対し、筋力99に盾、槍、片手剣を駆使し立ち向かうスパルタ兵たち。(重量制限が厳しいのか軽ロリ派なのか、鎧は無し。正気ではない。)
既プレイヤーは是非、コントローラーを握ったつもりで見てみてほしい。彼らの卓越したキャラコン戦いぶりを肌で感じられるだろう。
ちなみに別のフロムゲーだけどあの”戦友”も出るよ!(あの人元々映画吹替のが有名なんだけど)

あとついでに包囲サイとかも出る。出すな。

圧倒的な殺陣、戦闘シーン

まあエルデンリングはGOTY取ったとはいえ、流石に知らん人も世の中にはいるだろう。
安心してほしい。よくわからん人も「なんかゲーム演出みたいなクソカッコいい殺陣シーンが盛りだくさんなんだろうな」と思ってくれれば300(スリーハンドレッド)テストで90点くらいは取れる。そのくらい、この映画は息をのむほどカッコいい殺陣シーンを数分に1回ペースでお出しする、カッコいい殺陣のフルコースになっている。

華麗なパリイから致命の一撃を取るレオニダス王。
この一連のシーンはマジで美しいから見てほしい。

しかも、これはレオニダス王の英雄譚ではない。スパルタ兵300人の英雄譚である。ならば、戦闘シーンももちろん個人戦の美麗さだけではなく、強固な軍隊行動によって彩られた軍VS軍、国VS国の多人数戦も描かれる。この軍同士の戦いの出来栄えこそ、軍記物語の最大の見せ場であり、300が他の映画と比べても抜きんでている点だと思う。

勇猛果敢なのはレオニダス王だけでない。
この戦場、この画面にいる、全てのスパルタ兵が勇猛なのだ。

ここまで読んでもよくわからんッて人、とにかく「頭空っぽにしてムキムキのオッサンたちが槍と盾でシバきあう映画」として観ても面白いから観て。
説明している私からしたらちょっぴり寂しいけど。

掛け合い、舌戦

無論、筋肉ムキムキの男達が武器を片手にシバきあうのがカッコいい映画というものは、古今東西ゴマンと溢れている。こんな映画観ずとも、ランボーやターミネーターやらエクスペンダブルズやら観ればその手の欲求はスカッと解消だ。
ではこの映画はそういう映画と何が違うか。舌戦が面白いのである。
戦争というものはただ筋肉モリモリマッチョマンの変態が2人揃って起きるものではない。ある2者・2国間の意見に相違が生じ、コイツはもう滅ぼすしかない、となったところで起きるものだ。
300(スリーハンドレッド)も、筋力99の男達が集う中、論理的で知力にもステを微振りしているレオニダス王をはじめ、多数の者がその弁舌をもって戦いを繰り広げる。もはや本作のペルシア戦争の一環・一幕と言って全く差し支えない。

部下を口で黙らせるレオニダス王。
戦いは既に始まっている。

この舌戦が戦いの合間合間に繰り広げられる。
しかもレオニダス王の吹替声優は(数千年後またオスマン帝国にボコボコにされて最強無敵の吸血鬼になることで有名な)中田譲治さんだ。彼の威厳と胆力に満ちた声で、声による殴り合いが展開される。これはもう幕間の小話なんかではなく、戦いだ。

当時の国家としては非常に珍しい男女観を持つ
スパルタの特徴を端的に表す一幕。

そして、この舌戦は国に残り国を支える王妃にとって重要な”戦場”でもある。家父長制・男性優位が当たり前だった当時において、スパルタは非常に珍しく「性差で分業するが、立場は平等」という合理的分業を取り、女性もまた等しく、戦場になくとも国を守る存在として描かれる。この王妃にとっての”戦争”もまた、戦場の裏で描かれる重要な戦いになるので、注目してほしい。

政治ドラマ

アクションばっかりでハラハラしない?もっと脚本的なスリルが欲しい?
ご安心ください!このスパルタ、なんでかこんなに勇猛果敢で合理的な男達ばかりなのに裏切り者がわんさか出ます!

裏切りの証となる、敵の王クセルクセスの描かれた金貨。
正規貨幣より断然登場回数が多い。

そう、暴れん坊将軍に将軍を裏切ったり、将軍だってわかっててもとりあえず気にくわないから囲んで叩き斬る狼藉者が現れるように、国王の脳筋ぶりや留守をいいことに、あれよあれよと裏切りおにぎりが続出する。
あんまり言うとネタバレになるから言わないが、とにかく裏切るし、しかもどいつもこいつも致命的タイミングで致命的なことしかしねえので、その手の大河スペクタクル裏切りストーリーを望む人も思わずニッコリするだろう。とりあえず「なんかコイツ大丈夫か?」ってヤツは見張ってみると良い。無論そんな中でも戦争、舌戦は止まないので戦争→舌戦→裏切り→戦争→舌戦→戦争→戦争…とアホの戦争バーガーが出来上がる。息つく暇が本当にないので、どうか楽しんでほしい。

結び

いかがだっただろうか。
この記事を読んで少しでも都市国家スパルタに、映画300(スリーハンドレッド)に興味を持った方は、是非「宣伝」セクションを読んで同時視聴に来てほしい。
また、同時視聴できなくとも、アーカイブを見て同時視聴してくれてもいいし、この記事や配信アーカイブに映画の感想を残してくれれば、それだけでも私は大喜びする。
どうか、本作を楽しんでいただきたい。


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