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気軽に今ここを楽しめる水墨画

はじめまして。
水墨画家をやっている浦正(ウラタダシ)と申します。

あなたは水墨画というとどんなイメージをお持ちですか?
水墨画家と聞くと白髭の仙人のような、お爺さんを想像される方もいるかもしれませんね。和風で古臭くて、なんとなく堅苦しい印象でしょうか(笑)

僕はまだまだ仙人レベルには程遠いですが、水墨画を初めて13年が経ちました。
現在「 奏墨 - SOUMOKU 」という水墨画会を主宰しています。

今回は、僕が今日まで水墨画を通して感じてきたこと、つまり絵を見る側ではなく描く側の視点から、一般的にはあまり知られていない水墨画の魅力をお伝えして、また新たな角度で水墨画に興味を持っていただくキッカケになればと思っています。

へぇそんな感じで描いてるのかと気楽に読んでいただけたら幸いです。

僕が水墨画を始めたのは33歳の頃です。
その頃すでにイラストレーターとして絵描き人生を送っていましたが、日々パソコンで絵を描いていた僕にとって、水墨画の世界はとても新鮮で、ほんとうに沢山の素敵なことを気づかせてくれました。

以前は植物に特別な感情はなかった僕ですが、水墨画を始めてしばらくすると、墨の濃淡だけで草花を描くことの難しさと面白さに魅了されました。
次第に日常にある身近な草花をもっとよく観察したいと心が動くようになり、そこに溢れるキラキラとした生命力を感じることが出来るようになりました。
今まで気にもかけなかった街や公園の植物たちの美しさに目覚め、こんなに美しい景色が周りにあったのかと思えたとき、水墨画を続けるうちに自分の価値観が少しずつ変わってきていたことに気がつきました。

環境は何も変わっていなくても、自分の視点が変わることで、物事が違って見えることがありますが、僕にとって水墨画はまさに視点を切り替えるスイッチになったのだと思います。


また、一気呵成に描く水墨画は、絵心の有無を問わず、誰でも簡単に今ココの集中力を養い、気軽に楽しむことができるとも思っています。

薄い和紙の上を滑るように描いていく水墨画は、下書きもなく、描き直すこともできません。常に一発勝負。油絵やアクリル画のように厚く塗り重ねることはしませんし、水彩画のように一度描いた線を溶かしたり伸ばしたりすることもできないので、今この瞬間に描いた一筆一筆が最後まで残る画法です。

和紙はその時の湿度でにじみ具合が変わるほどデリケートですし、描いている本人の体調や、心の状態でも筆使いは変わってしまうので、パソコンで描くように毎回同じように描くということは到底出来ません。

ですが、それこそが水墨画の面白いところだったりします。
そもそも予想ができない、やり直しの出来ない絵を描いているのだから、失敗も成功もあって当然、今ここの一筆を納得してどう次の一筆を繋げるか、ただそれだけに集中し、今ここに没頭するとき、自分の中に膨らむドキドキとしたスリルとワクワクした清々しい衝動に包まれることがあります。

そして今ここの全力を出し切ったとき、あぁぼくは今ここまで来てるんだなぁと、誰にもわからない、自分だけの感動に心が震えることがあります。


水墨画はイマココの連続

下書きはしない

やり直しも出来ない

失敗も成功も

過去も未来も

不安も期待も

全て消し去り

ただイマココだけに生き

一気呵成に描くとき

イマココにしか存在しない

本当の自分を垣間見る



写真は8月に開催していた個展でのライブドローイングです。
約1時間ほどで150cm四方の作品を描きました。

イベント等でのライブドローイングもやっています。
お気軽にお問い合わせください。

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これから水墨画を始めたいと思っている方へ(^^)


水墨画は必要な道具も少なく、準備するものは筆、墨、硯、絵皿、下敷き、紙、プラスチック透明カップ(筆洗)、雑巾くらいです。

道具一式揃えても6000円位なので、趣味として始めやすいのも良いです。
ちなみに書き味最高の高級な鼬毛の筆なんかは何万円もしますが、コシのある馬毛が多い混合筆などであれば1000円〜2000円くらいの筆でも十分に描けます。

ちなみに僕は作品制作の時以外は、あえて安価な筆で描くようにしています。
理由は高価な筆でしか上手く描けないというのは、本当に腕がいいとは言えないからです。どんな筆でも楽しんで自分らしく描けるというのも、イマココの自分と対話できる水墨画の大きな魅力だったりします。

僕は水墨画を通して、今まで見えていなかった周りの美しさに気付き、今この瞬間を楽しめるようになる。そんな体験を多くの方に提供できればと思っています。 

教室では季節の草花、山水画、抽象画など、
多彩なお題を自分のペースで学ぶことができます。
ご興味がありましたらぜひどうぞ。

『浦正水墨画教室のご案内』
https://tadashiura.com/class

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