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改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか②|なつかしさの仕組み

今日のテーマは、同タイトル①から引き継いで、以下になります。

「なつかしさ感情」は、どの記憶からくるのか?
「グッとくる」っていうのは、どの様に説明できるのか?

未読の方は、ぜひ①を読んでから、この②の記事を読むことをお勧めします!


なつかしさ感情にも種類がある

さて、前回の記事を読んで下さった方とお話した際、あれ?と思うことがありました。

その方(以下、Aさん)は、音楽を聴くことが趣味で、中学生辺りから中年の今に至るまでずっと色々な曲を聴いてきたそうです。

Aさんに言わせると、昔の曲をふいに聞いた時の反応は「ああ、そういえばあったなあ。なつかしいなあ!」って感じらしく、

いやいや、それじゃないんです!しみじみではなく、「急にグッと胸をつかまれて引っ張られ脳がタイムスリップして目の前にあの頃の光景が広がるような」感じです。

そのようにAさんに説明すると、「自分は音楽に関してそれが起こることはない。しかし、映像で起こることがある」とのこと。Aさんは、子どもの頃の飲み物(当時販売されていた缶ジュース)やおもちゃの映像をたまたま見ると、「グッ」となって、パーッとそのおもちゃと電車の中で遊んでいた情景が思い起こされるのだそうです。

それです!ここでは、曲(聴覚)を対象に扱っていますが、視覚・嗅覚・味覚など、人それぞれ手がかりが違うでしょう。

これから仕組みを説明するにあたり、この「グッ」を「情動(エモーション)的な感情」:一時的で急激な感情と定義します。

そして、「グッとくるなつかしさ感情」を「なつかしい①」とし、「しみじみとくるなつかしさ感情」を「なつかしい②」とします。

この記事の基になっている「なつかしさの心理学ー思い出と感情」では、この「グッ」を「ゾクッとする」と表現しています。この感覚も人それぞれかもしれません。他の例えとしては、「身震いする」、「涙がこみ上げる」、「アアッとくる」なども考えられます。いずれにしろ、一時的で急速に起こる身体感覚を伴う現象を表します。

ここでは、その曲自体が持つ力とは、分けて考えて下さい。あくまでも、昔よく耳にしていた曲(好き嫌いと直接は関連しない)とします。


なつかしさ感情が起こる仕組み

さて、今回のタイトルに一つ目。「なつかしさ感情はどこからくるのか?」についてですが、なつかしさ感情は、基本的にはエピソード記憶(自分の体験に関する記憶)と関連していると言われています。過去の体験を思い出しなつかしさを感じるのはごく自然なこととしてイメージできるでしょう。

では、『「グッとくる」っていうのはどの様に説明できるのか?』は、どうでしょうか。このことを説明するには、「記憶と自己意識の関係」を知ることが必要になります。

以下の表を見て下さい。左が「記憶の種類」、右が「記憶の説明」と「記憶を思い起こしている時の意識/感覚」です。

長期記憶の種類(たどる舎)

注目して頂きたいのが、上と下、「意識できる/言語化できる記憶」と「無意識/言語化できない記憶」で分けられていることです。この二つ、同じ「記憶」ではあるのですが、全く異なる性質を持っています。


長くなってきたので、また次回!

<本日のふりかえり>

なつかしさ感情はどこからくるのか?

長期記憶のうち、エピソード記憶(自己の体験に関する記憶)に関連している。ただし、なつかしさ感情は、2種類に分けられ、それぞれ別の仕組みで起こる。意識できる記憶か無意識の記憶か。その違いがポイントになる。


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