おかもと|たどる舎

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おかもと|たどる舎

🛖 https://tadorusya.com/about/ 人生の振り返りと大切な人に記憶を残せる回想録の作成をしてます。公認心理師。専門は回想法/ライフレビュー。市井の人々の記憶を記録に残したい。本と植物が趣味。人見知り模索中。

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  • 読書感想文

    読んだ本の感想を集めたものです。

  • 回想法・回想録のこと

    「回想法や回想録」についての記事をまとめています。個人回想法のやり方や体験談、回想録の作り方などを紹介します。

  • 記憶の不思議について

    記憶についての記事をまとめます。人にとって記憶とは何か、科学・社会・表現など様々な側面から考えてみます。

最近の記事

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私が回想録を作るわけ、そもそものはなし。

今日は、回想録を作り始めたきっかけについて話したいなと思います。 そもそも、本当にそもそもの話まで遡ると、「捜神記」という本が好きだったことが始まりです。この本は、4世紀半ばごろ、東晋の干宝という人物が書いた「志怪小説集」のひとつと言われています。たまたま本屋さんで手に取って読みはじめたら面白かったと言うだけで、この手の本に詳しいわけでは全然ないので、以下、解説より引用します。 この本には、464つの話が載っています。驚いたのが、ありえないような珍奇な話がしれっと事実っぽ

    • 人生経験とはつぶやき /「100年の旅」 ハイケ・フォーラ(著)

      こんにちは。今日は「100年の旅」という本を紹介したいと思います。0歳から99歳までの人生を鮮やかなイラストと心に刺さるつぶやきで表現された絵本です。 私も中年期と呼ばれることに慣れてきて、近頃は、20代の頃には「オーバーだな」と思っていた大人たちの話が「本当だったよ!」と驚き実感する日々を送っています。それでもパワフルに生きていた彼らに今更ながら凄いわと思います。 この実感、これをこの本では「人生経験」と言います。 人生経験というとなんだか「敬え/従え系」のイメージが

      • 親子で回想法をすることをオススメする理由

        こんにちは。今日は、父と回想法をした時の体験談を書きたいと思います。こんなことを思ったよ、とか、こんな効用があったよといった内容をご紹介します。 そもそも回想法とは何か? すごくシンプルに言うと「テーマ(質問)を投げかけることで、かつての記憶を回想するお手伝いをすること」、それにより「人生を振り返ったり、大切にしてきたことに改めて気づくことができたり、家族や周りの人と関係性を深めたり、何より楽しい気持ちになること」などの効用が挙げられます。今は、認知症の予防などでも注目され

        • 「怠惰の美徳」梅崎春生/怠けたいのが通常通り。周りが立派に見えた時の本

          世の中の人たちは立派だなあとしみじみ思う。SNSやブログを読んでいるとますます思う。そうすると自分がだんだん嫌になってくる。ダメだなわたし。 多くの人が、かしこく勤勉見える。ひるがえって自己を見ると、ペースが遅い。怠けているつもりはないが、怠けているのかもしれない。真面目なつもりだが、真面目にかまけて実はマイペースなのかもしれない。わき道にわき道を重ねているような… 周りが立派に見えて、気持ちがいっぱいになった時に手に取る本。タイトルがいい。帯のキャッチフレーズもいい。

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          (昨日は嘘) 詩・谷川俊太郎/私は揺れるもの

          (昨日は嘘) 昨日は 嘘 明日は 嘘 今の 今 私は私 無数の 因 一個の 果 熟してまた 未知の 種子 谷川俊太郎さんの詩集「虚空へ」より(昨日は嘘)を引用しました。 詩には散文とはまた違う良さがありますね。言葉を少なくすることで、読み手の解釈が広がり、自分の心が映るようです。 私はこの詩に、「私の心」が揺れる様子を見ました。自己を理解したような気持ちになっても、また次の日には違うことを思う自分がいる。無数の要因があって今の結果(自分)があるけれど、それでも、

          (昨日は嘘) 詩・谷川俊太郎/私は揺れるもの

          人見知り克服というか、うまく付き合っていく方法

          私は相談にのる仕事をしてますが、なかなかの人見知りです。内向型とも言えますが、自分としては人見知りの方がしっくりきます。 人見知りで人前でほとんど言葉を発しなかった私ですが、なぜか、話しを聞く事は向いていた様で人に勧められて、この仕事に足を踏み入れました。 しかし、話しを聞くのが少し得意ぐらいでは務まらない仕事でしたので、千本ノックのような毎日。そのおかげで、二人での対面のコミュニケーションは、できるようになりました。 しかし、問題は、二人以上の場合です。 人見知りと

          人見知り克服というか、うまく付き合っていく方法

          柔らかい記憶 / 自分は何者かへの問いかけ

          前回も紹介した、Nさん(70代、女性)のもう一つの詩を紹介します。 Nさんから、回想の感想を詩で頂いたときは、驚きました。しかし、Nさんは、自分にとって詩は、趣味を超えて生きていく上でなくてはならないものだったと語っていました。「全部、詩に表わしてきた」と。そして、他者とつながる楽しみでもあったようです。 Nさんの気持ちがまっすぐに、詩から伝わってきます。前回の詩も、良かったらぜひ読んでみて下さい。70年生きてきた人の正直な詩です。 柔らかい記憶 回想プログラムで 私

          柔らかい記憶 / 自分は何者かへの問いかけ

          芥川賞作家が考える、小説と日記の違いについて/ 「やがて忘れる過程の途中」 滝口悠生

          「やがて忘れる過程の途中」は、小説家・滝口悠生さんがアイオワに滞在した3か月の日記を本にしたものです。 「あとがき」に、日記と小説の関係性について書かれた箇所があって、それが非常に興味深いのです。小説家が小説を書くとき、記憶をどのように扱っているのか、少しだけ読者に分けてもらえたような気持ちになります。 このあと、滝口さんは、「一方で、日記には書けない事柄もある。」と続けます。 本文に登場する滝口さん本人はリアルタイムを生きています。今日の私たちと一緒で、今、どのあたり

          芥川賞作家が考える、小説と日記の違いについて/ 「やがて忘れる過程の途中」 滝口悠生

          回想は、自分の物語を知ること

          私たちはそれぞれ、自分の物語(ストーリー)を持っています。回想は、その物語を知るための旅ともいえます。 70代、女性。Nさんの詩を紹介します。 70年間、生き抜いてきた人の言葉は私を勇気づけます。 記憶の森をたどる ー回想プログラムに参加したー それは 記憶をたどる 気づきの旅 今まで生きてきた記憶の森は 様々な 苦しみや 悲しみを抱えてきた それらを ふるいにかけて 私の記憶として体に浸みこませてきた 再び 掘り起こし確認する作業 他人にとっては下らない事を

          回想は、自分の物語を知ること

          人生の意味を知ろうとするとき

          人生とは何か。すごく難しい問いです。答えることは困難ですが、ここでは、自分の人生について、回想法・ライフレヴューの観点から、現在の点ではなく「過去から未来へと続く全体像」としてとらえます。 人は時の限りを前にした時、自分は何をしてきたのだろうかという「過去への問い」をすると言われています。 過去への旅に足を踏み入れた時、かつての情景や感情が、胸に込み上げて来るかもしれません。 私たちは、己の人生の意味を知ろうとします。それは「人生という織物をほぐし、また、紡ぎ直す過程」

          人生の意味を知ろうとするとき

          人の一生は、織り成された一枚の織物

          人の一生は、織り成された一枚の織物

          パリジェンヌが教えてくれた「日本のおとしよりの素晴らしき世界」

          「日本の高齢者は人口の約3割」という統計は、少しマイナスなトーンで語られることが多い気がします。でもそれって、ちょっと視点を変えたら、日本の文化のひとつとも言えます。見慣れてしまった日本人の私には気付かなかった「日本のおとしよりの素晴らしき世界」を、パリジェンヌが教えてくれました。 「おとしより パリジェンヌが旅した懐かしい日本」 イザベル・ボワノ著この本は、視覚的にとても楽しませてくれます。写真よりもお年寄りらしさや本人らしさが伝わってくる素晴らしい絵は、イザベルさんがお

          パリジェンヌが教えてくれた「日本のおとしよりの素晴らしき世界」

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか④最終回|なつかしさの仕組み

          同タイトル③から引き継いで、以下のテーマを考察します! 今日のテーマ今日のキーワード前回は、なつかしさが起こる仕組みを紹介しました。しかし、なぜ「グッとくるのか」、なぜ「鮮明なシーンが思い起こされるのか」は、その説明だけでは分かりにくい。 そこで、調べていくうちに以下のワードを見つけました。 ▼ MEAM(音楽が喚起する自伝的記憶) ウィキペディアでは、以下のよう定義されています。「音楽で記憶が甦る」って、多くの人は体験から感じていると思いますが、少しずつその詳細が明

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか④最終回|なつかしさの仕組み

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか③|なつかしさの仕組み

          同タイトル②からの続きです! この記事を書いている間にも、色々な疑問がわいてきました。そこで、ますます深掘していくと、たくさんの方々が様々な角度から研究をされていることが分かってきて、そうであったのか!などと目からうろこが落ちる思いで興奮しています。その楽しさが少しでも伝わるよう書けたらこの上なく嬉しいです。 言葉にできる記憶と、できない記憶前回は、以下の文章で終わりました。 今日はまず、この二つの記憶の特性から。前回掲載した「長期記憶の種類」を見つつ、読み進めて下さい

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか③|なつかしさの仕組み

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか②|なつかしさの仕組み

          今日のテーマは、同タイトル①から引き継いで、以下になります。 「なつかしさ感情」は、どの記憶からくるのか? 「グッとくる」っていうのは、どの様に説明できるのか? 未読の方は、ぜひ①を読んでから、この②の記事を読むことをお勧めします! なつかしさ感情にも種類があるさて、前回の記事を読んで下さった方とお話した際、あれ?と思うことがありました。 その方(以下、Aさん)は、音楽を聴くことが趣味で、中学生辺りから中年の今に至るまでずっと色々な曲を聴いてきたそうです。 Aさんに

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか②|なつかしさの仕組み

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか①|なつかしさの仕組み

          前回、同じタイトルの記事を書いてからだいぶ経ちました。調べ始めたらどんどん面白くなって深みにはまってしまい、まとめるのに時間がかかってしまいました。すみません。 記憶となつかしさ感情(ノスタルジア)は、やはり奥深く、これからますます研究が発展していくことでしょう。興味は尽きません。 さて、「なつかしさ」が喚起されるタイミングは、連続性の急激な変化(続いてきていたものが急に変わった)が起こった時と言われています。まさに、今とも言えます。最近、なつかしさを扱った番組や情報が多

          改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか①|なつかしさの仕組み