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Tokyo Anko Trip / 東京あんこ紀行 -15の名店を巡る旅-

あんこが好きすぎる。

昔から甘いものが好きで、洋菓子や和菓子を普段からよくつまむ。そんな中でも特にあんこを使った和菓子が大好きだ。
つぶあんやこしあん、白あん、赤あん・・・。豆の違いや作り方の違いによって風味や食感が異なる上、豆の産地によっても驚くほど味が変わる。また砂糖を使ったあんこの甘さにも、お菓子の特性やお店のスタイルが表れていて面白い。
個人的にも好きが講じて自分で餡を炊いて研究してきたし、旅行の際には地方の和菓子屋に足を運ぶのが楽しみの一つだ。

僕は普段は関西で生活をしているのだが、先日東京に行く機会があったので、ついでに一泊二日で東京のあんこを巡る旅をしてきた。
二日間で15軒以上、かねてから気になっていた名店に訪れて心ゆくまであんこを堪能してきた。
普段生活している京都や大阪にも、あんこを使った美味しいお菓子がたくさんあるが、東京のあんこも負けず劣らずかなりレベルが高かった。

今回の旅先でのあんこの楽しみ方は、各お店で少量ずつ和菓子を買って、食べ歩きながら観光がてら楽しむスタイル。
少量ずつとは言っても、かなりたくさんのお店に訪れたので年齢的にも糖分過多が気になる旅となった。でもそんな旅もたまには良いかと思い、あんこ好きの甘党にとってはこれ以上ない楽しい旅となった。

本記事では、途中で旅中に訪れたあんこのお店以外の紹介もはさみながら、一日目と二日目に分けて、二日間で訪れたあんこの名店とあんこを使ったお菓子を紹介しようと思う。
どのお店もこだわりと個性がある素晴らしいお店ばかりだったので、東京のあんこ巡りの際の参考にしていただけると嬉しい。


一日目

松島屋の豆大福 / 泉岳寺

まず一日目の最初に向かったのは、品川駅から電車で一駅の泉岳寺。泉岳寺で降りたのは初めてなのだが、結構坂が多い街であることに驚いた。
駅から坂を登りながらしばらく歩いたところにある、和菓子屋「松島屋」の前には数名の列ができていた。

ここでのお目当ては、豆大福。一個200円。
朝10時前頃に訪れたのだが、豆大福を何個も注文するお客さんばかりですぐに売り切れてしまいそうな勢いだった。はるばる来たのに売り切れていてはかなわない。運良く買うことができてよかった。
大福を手に持つとずっしりと重たく、あんこがよく詰まっているのがわかる。見ているだけでよだれがとまらない。

一口食べてハッとするのが、塩気の強さ。
今までいろんな豆大福を食べてきたけれど、ここまで攻めた塩気を効かせている豆大福はなかなかない。しかもその絶妙な塩分濃度が心地よく、大人がハマりそうな旨さだ。

餡は甘すぎない粒あん。また皮は非常に柔らかく、気持ちいい甘さと食感が癖になりそうだ。
赤えんどう豆も程よくたっぷり入っていて、全くパサパサしていない。くどくなくずっと食べていられるぐらい美味しい豆大福だった。

最初からこんなに美味しいあんこ菓子を食べてしまい、次のお店への期待が止まらない。
大福をもう一個食べたいのを我慢して、次の目的地へ向かう。

徳太楼のきんつば / 浅草

泉岳寺を後にして向かったのは浅草。観光客で溢れかえる浅草寺を尻目に、北へ向かって歩く。
浅草寺から離れるにつれて観光客も減って閑静な雰囲気に。そんな中で店を構えるのが和菓子屋「徳太楼」だ。
「きんつば」と大きく書かれた旗が目印になり、すぐにわかった。徳太楼はきんつばの名店なのだ。

ここで買ったのはもちろんきんつば。一個150円。
近くで見るとわかる、美しすぎる形。角張った和菓子のフォルムが好きだ。
一口で食べてしまえそうなコンパクトさも良い。
薄皮を押すと、程よい弾力で指を押し返してくる。ずっと触っていたい。

実食。粒あんはぎっしり詰まっており、甘すぎず飽きが来なさそうな味わい。
そして驚いたのは、皮が薄いのに凄まじくもちもちで相当よく伸びること。ここまで伸縮性の高い皮を纏ったきんつばも珍しい。薄皮の寒天質がプルプルと小気味良く震え、食感も楽しい。
さすが、看板商品なだけあってこれまた食べ終わるのがもったいないほどだ。

松島屋の豆大福といい、期待を超えてくるあんこ菓子に立て続けに出会ってしまい、東京の和菓子の実力に早くも食らってしまった。

ちなみに、旬は過ぎているが我慢できずに栗蒸し羊羹も買った。

宿に持ち帰って食べたのだが、栗がほくほくして柔らかな食感が最高。
ちょっと甘味強めなので、たくさんは食べられそうにないが、心地よい甘さなので一切れで満足感がすごい。歩き疲れた体にゴクゴクと浸透する美味しさだ。

また実は、浅草の有名な老舗和菓子屋「亀十」にも立ち寄ろうとちらっと覗いてみたのだが、浅草寺並みのえげつない人の行列ができていたので、流石にパスをしてしまった。
時間が限られている中では、諦めることも重要だ。

うさぎやのどら焼き / 御徒町

亀十のどら焼きを食べそこねたのだが、完全に口の中がどら焼きを欲していたので、電車で御徒町まで移動。
こちらも有名店の「うさぎや」を訪問した。

購入したのはもちろんどら焼き。一個240円。
出来たてをもらったので温かい。絶対美味しいやつだ。
生地は程よい厚みで、フカフカのマットレスのよう。食べる前から期待が膨らむ。

あんこはコクのある甘さの粒あん。食べるほどに脳に染み渡るうまさだ。とろみがあり、口の粘膜に絡みついてくる感じがたまらない。
生地は期待通りふわふわで、噛むたびに独特のモチモチ感を味わうことができる。生地だけでもそこらへんのパンケーキとは比べ物にならないほど美味しい。

ちなみに、あんこは甘そうに見えるが、見た目ほどくどくない。
実は甘すぎるあんこは苦手なのだが、このどら焼きはあと一、二個はパクパクいけそうだった。

羽二重団子のあん団子 / 日暮里

浅草から御徒町まで来てしまったので、せっかくならとさらに足を伸ばして日暮里へ来た。
日暮里駅の東口から出て南にしばらく下ったところにある、「羽二重団子」へ。立派なのれんが掛かっており、お店の中でも食べられるようだ。

ここではあん団子をテイクアウト。一本302円。
なんと言っても見た目がかわいい。
シンプルで上品さも感じるデザインのお手本のような団子だ。こしあんのマット感がテクスチャ的に最高。

あんこは優しいまろやかな甘さのこしあんで、舌触りがとても滑らか。
そして意外にも餅はかなり小さめで、あんこが多め。
また食感が独特で、噛むたびに歯に心地よく吸い付いてくるような弾力感がとても楽しい。見た目だけでなく、食べた際の体験さえも上品だ。

羽二重団子のあん団子は、「赤福の団子版」と言ったら安っぽく聞こえるが、まさにそんな感じ。赤福が好きな僕は、もちろん羽二重団子のあん団子のことも一瞬で好きになった。

谷中福丸饅頭のかりんとう饅頭 / 千駄木

あん団子を食べながら、しばらく歩いて千駄木方面へ。
千駄木に来たことはほとんどないのだが、ここでも立ち寄りたかった和菓子屋がある。「谷中福丸饅頭」だ。

ここでのお目当てはかりんとう饅頭。一個80円とお手頃価格。
一口サイズで皮に厚みがあり、触ってみると硬い。
名前の通りかりんとうのような食感なのだろうか。独特の艶感が食欲をそそる。

一口かじると、カリッカリの皮が破られてあんが顔を出す。
これは新感覚。まず何よりも、食感が楽しい。まさにかりんとうそのものだ。

そしてあんこはこしあん。甘いけどくどすぎない。
揚げてあるので油は多めだけど、小さくて量が少ないので全く気にならない。砂糖の甘さと油がとても合い、子供から大人まで楽しめそうな味だ。

ちなみにかりんとう饅頭は、漫画の孤独のグルメで登場したことで話題になったそうだ。

安かったので、ついでに芋かりんとう饅頭(一個80円)も買ってみた。
見た目はかりんとう饅頭とほぼ同じだが、芋かりんとう饅頭は生地に胡麻が振ってある。

こちらも美味しい。
中はさつま芋の餡だ。大学芋を食べているような感じで、おやつにぴったり。小さいけれど、大満足。

追分だんご本舗のだんご / 新宿

少し用事があったので、新宿に移動。
用事を済ませ、新宿三丁目にある「追分だんご本舗」へ。大都会のど真ん中にある和菓子屋だ。

そのときの気分で三種類の団子を選んでテイクアウト。
大都会の中心で食べ歩きするのはちょっと落ち着かないので、静かな公園に移動して座ってゆっくりと実食する。

一本目は、白胡麻と木の実のあんの団子。一本237円。
白胡麻の餡は大好きなのだがあまり食べる機会がないので、ついつい購入してしまった。
ベージュのカラーリングでマットな質感。真ん中の木の実がかわいらしい。

口に入れた瞬間に、白胡麻の風味がふわっと香りとても風味豊かな団子だ。
ペースト状の胡麻の舌触りがまたいい。たっぷりの餡が口の中でなめらかに広がり、上品な甘さが行き渡る。
そしてアクセントの木の実が良い仕事してる。これは贅沢。

二本目は、よもぎこしあんの団子。一本216円
よもぎ団子の緑と、こしあんの赤色がベストマッチなツートーンカラー。食欲をそそる。

こしあんは滑らかで適度な良い甘さ。
よもぎの風味は、食べてしばらくしてからしっかりと香ってくる。食べた後もしばらく余韻に浸ることができる団子だ。

そして追分だんご本舗の団子全般に言えるのが、団子自体が柔らかいこと。
噛んだときに団子を歯で押しつぶす感覚が、最高の快感だ。

三本目は、抹茶あんの団子。一本237円。
真っ白な白玉団子に鮮やかなグリーンの抹茶餡が乗っかっており、これもおしゃれ団子ランキングかなり上位に食い込んできそう。

食べると、やはり団子がもちもちで柔らかい。団子自体にほのかな甘味もある。
そして滑らかなペースト状の抹茶餡が最高。抹茶の味が濃厚でしっかりとしている上に、抹茶特有の苦味と甘味が心地良いバランスで、シンプルに美味しい。

大人も満足できる団子。何本でも食べたい。

あんこのお店以外に訪れた場所

ひたすらあんこばかり紹介してきたので、二日目に訪れたお店を紹介する前に、ここで箸休めとしてあんこのお店以外に訪れた場所を紹介しようと思う。

実は僕は、蕎麦のこともあんこ以上に大好き。
関東はやはり蕎麦が美味しい。今回は、新宿にある「そば蔵」というお店にたまたま立ち寄った。

蕎麦はもりが好きだ。
関東は水が硬いからか、蕎麦の旨さが違う。関西でも美味しいと言われている蕎麦屋はあるが、やはりどこか物足りなさを感じることが多い。
出身が愛知なのだが、子供の頃から長野の蕎麦をよく食べて育ったので、やはり美味しい蕎麦が好きだ。

ちなみに、このそば蔵は本当にふらっと立ち寄っただけだったのだが、予想以上に蕎麦が美味しいお店だった。
蕎麦だけでなくサイドメニューのかき揚げ丼もサクサクでこれがまた旨い。タレが絶妙。
値段もリーズナブルだったので、新宿で働いてたら週二ぐらいで通いそう。

実は伊勢丹のデパ地下も巡っていた。
東京ならではのお店はそんなになかったが、見ているだけでも楽しい。

なか又のわもちを購入。一個199円。
群馬に本店があるようだが、生地がしっとりして餅が入って面白い食感。優しい甘さの粒あんで、何個でもいけるやつだ。
このわもち、どこかで食べたことあるなと思っていたが、食感といい味といい京都の阿闍梨餅にそっくり。

あんこ以外のお店の紹介と言いつつも、普通にあんこを食べていることはスルーしてほしい。

デパ地下巡りをしていたらすっかり日が暮れたので、宿へ帰る。
お酒を飲まない僕には縁のない場所だが、せっかく近くに来たので、途中新宿ゴールデン街でスナップを取りながらブラブラ。

とある方のnoteを読んで、新宿に訪れた際にはぜひ立ち寄ろうと思っていた花園神社にも訪問。
ゴールデン街の真裏にある立派な神社で、夜の佇まいもなかなか。誰もいない中、ひとり参拝して宿へ。

ちなみに、宿泊した宿がかなり良かった。
新宿にあるとは思えない和な佇まいの宿「Yuen Shinjuku」だ。

のれんをくぐると、静かな通路が。
昼間に撮影した写真だが、しっとりとして良い雰囲気。

部屋は少々狭く不便な点もあるが、値段にしてはコスパが良い。
屋上露天風呂が付いており、夜景と空を眺めながらゆっくりとお湯に浸かることができる。疲れた身体を一日の終わりに癒やすのには最高だった。

部屋から眺める新宿の夜景もなかなか良かった。

僕が泊まった日はたまたま運良く、天気が雲ひとつない快晴だったので、翌朝の朝焼けが最高に美しかった。
ブラインダーを開けたまま寝たので、朝の光で自然に目が覚めてオレンジ色の美しい空を拝むことができた。こんな景色を毎朝見れたら良いのに。

朝日を拝んだ後、二日目は早朝からコメダ珈琲に出掛け、モーニングの小倉トーストを注文。600円。
どんだけあんこ食べるんだという感じだが、あんこをテーマにした旅なのだから仕方がない。

愛知出身の僕にとっては、コメダは中高生の頃から入り浸って久しい。
大人になった今でも、甘い粒あんとバター、焼きたての山食パンの相性は神だと思える。

ちなみに、二日目には神保町に訪れたのだが、そのときにランチを食べた蕎麦屋が「松翁」。
ここでは小倉そばがきという、小倉あんをかけたそばがきを食べるのを楽しみにしていたのだが、どうやら今はやっていないらしい。残念。

それでも蕎麦が好きなので、合盛りを注文。
十割そばでつゆは濃い目。蕎麦の力強さにつゆが負けておらず、とても美味しい。薬味も豊富なのが嬉しい。
小倉そばがきは食べられなかったけれど、大満足だった。

二日目

あんですMATOBAのよもぎ餅あんパン / 浅草

箸休めの時間を長めにとってしまったが、気を取り直して二日目は朝から再び浅草へ。
まだそこまで観光客で溢れていない浅草寺を抜けて、ホームベーカリー「あんですMATOBA」へ。

実はここでは、羊羹をカステラでサンドした「シベリア」というお菓子が売っていたらしいのだが、現在は販売を終了してしまったらしい。

残念だが、ちょうどよもぎ餅あんパンが焼き上がったようだったので、購入。

こちらがよもぎ餅あんパン。一個200円。
焼きたてで温かく、よもぎの香りがほのかにする。

かじると優しい甘さのこしあんが入っているだけでなく、なんとトロトロの餅が入っている。
焼きたてなことも相まって餅は本当に柔らかく、あんことよく絡んで美味しい。
何を隠そうあんこのみならず、餅も大好物な僕にとっては最高の朝食だ。

亀十のどら焼き / 浅草

浅草に来たこともあり、一日目は行列すぎてパスした「亀十」へ。
先程諦めも肝心と言っておいて申し訳ないが、やはり諦めきれず、開店10分前に再訪してみた。

開店前にも関わらず数十人が列をなして待っていたが、一日目とは比べ物にならない列の短さだったので、少しぐらいなら待とうと思い並んでみた。

開店から20分ぐらい待って購入したどら焼き。一個390円。
有名店だからか、正直値段が高いと感じた。

生地は独特の焼き目が付いていて、どら焼き自体からも老舗感が感じられるが、開店直後に買ったのにも関わらず少し冷めていたのはあまり期待ができない。
お値段に見合うだけの味なのか疑問だが、とりあえず実食。

なんと、食べた瞬間に予想を大きく裏切り、めちゃくちゃ旨い。これは嬉しい誤算だ。
焼き目が付いた生地はほろ苦く、崩れそうなほどホロホロフワフワでとんでもなく美味しい。
あんは粒あん。適度な甘さが味蕾を包み込む。これは名店と言われるのもわかる。

出来たてで温かかったらもっと美味しそうだけど、冷めても旨いどら焼きは本当に美味しい証拠。何個でもパクパク行ける。
諦めずに再訪してよかった。また食べたい。

門前とらやの草だんご / 柴又

亀十のどら焼きに満足していたのも束の間。少し足を伸ばして柴又へ。
実は映画「男はつらいよ」が好きで、いつか訪れてみたかった葛飾柴又。駅を降りた瞬間から観光地感満載なのに、あまり賑わっていないことに苦笑いしてしまったが、ファンとしては来ることができて感慨深かった。

ここでは寅さんの映画の舞台にもなった「門前とらや」に訪問。

店内で草だんごを注文。一皿400円。
正直、作りおき感は否めない。
ディスプレイされて並べられていた草だんごがショーケースからそのまま出てきたのには少し笑ったが、観光地はこんなものなのかもしれない。

味は美味しい。美味しいが、正直な話、よもぎの味がそこまで強く感じられなかった。
団子は冷めていたからか若干弾力がありすぎた気がするが、粒あんの甘さと食感は個人的に好きだ。
個人的には日常的に食べる団子としてはこのくらいが丁度いいが、人によっては期待以上の感動は得られないかもしれない。

ちなみに店内は寅さん一色。
草だんごを食べていると、シリーズをもう一度全部見直したくなってきた。個人的には「ぼくの叔父さん」が好き。

ついでに寅さんが産湯を使った帝釈天にも訪れ、満足して再び東京中心部に戻る。

亀澤堂の豆大福 / 神保町

都内中心部に戻ってから、まず降り立ったのは神保町。
神保町は昔ながらの本屋なども多く、個人的に好きな街だ。

お昼時に到着したので、まずは先程少し紹介した「松翁」にて蕎麦をすすった後、和菓子屋「亀澤堂」へ。

亀澤堂はどら焼きも有名だが、今回は豆大福を購入。一個280円。
通常豆大福に使われることが多い赤えんどう豆ではなく、白い大豆が入った大福に惹かれて買ってみた。

そのビジュアルからも、大粒の北海道産鶴娘大豆がたくさん入っているのがわかる。
実は大豆を使った豆大福は味わったことがないので、どんな味わいなのか楽しみだ。

噛んでみると、大豆は食感が良くホクホクしており、全くパサパサしていない。これだけ大きな豆だとパサパサしがちかと思いきや、いやはや驚いた。

また粒あんがしっかりしており、甘すぎない心地よさを感じる。適度な粒子感を感じられる舌触りも最高。
そしてごく微量のやりすぎない塩気があんこの美味しさを引き立てている。塩気が強くパンチの効いた松島屋の豆大福も驚くほど美味しかったけれど、亀澤堂の繊細な豆大福も甲乙つけがたい。
皮は程よい厚みと柔らかさで、あんこの重厚さに負けない存在感がある。これはめちゃくちゃ旨い。

さゝまの松葉最中 / 神保町

まだまだ神保町散策。
本屋に立ち寄りつつ、ぶらぶら歩いて和菓子屋「さゝま」を訪問

ここで買ったのは松葉最中。一個150円。
とてもかわいいサイズで、一口で食べられそう。四角いフォルムのお菓子がやっぱり好きだ。

中に入っているのは滑らかで甘いこし餡。甘みはかなり強い。
そして驚くのは皮の軽やかさ。たっぷりの空気を含んだ皮は、舌の上に乗せた瞬間に溶けてなくなってしまうほど。これは美味しい。

小さいのにあんこの存在感がとても強く、心地よくも強烈な甘さが口の上にしばらく残る。快楽感がすごい。
合法的な覚醒剤とも形容できそうな美味しさだ。

柳屋のたい焼き / 人形町

最中を堪能し、神保町から水天宮前へ移動した後は、少し北上し人形町へ。

実はあんこを使ったお菓子の中でも、たい焼きが特に大好き。気になっていたお店はたくさんあったのだが、一番行ってみたかったたいやき屋が人形町の「柳屋」だ。
店内含め結構な人数が並んでいたものの、迷わず並ぶ。

ガス火で一斉に焼き上げる様子を見ていると、テンションが上がる。手さばきがまさに職人芸。
店の外まで漂う良い香りに期待が膨らむ。

たい焼きを購入。一個180円。
出来たてホカホカで見るからに美味しそう。たい焼きはフォルムの美しさも重要だと個人的に思うが、柳屋のたい焼きは羽根の付き方もやりすぎておらず、上品だ。

頭からガブリと一口食べると、その圧倒的な美味しさに思わず声が出そうになる。
アツアツの粒あんがたっぷり溢れそうなほどぎっしり詰まっており、甘く、濃厚で、コクがある。いやー、旨い。

皮は厚すぎず程よい厚みだ。
カリッカリのクリスピー感が最高に楽しく、皮だけでも食べたいほど。サクサクという小気味良い音が口の中で心地よく響く。

もう本当にずっと食べていたい。
結構ボリューミーだがあと二個ぐらいはいける気がする。決して盛っているわけではなく。

板倉屋の人形焼 / 人形町

たい焼きの満足感に浸りつつも、柳屋近くにある「板倉屋」へ。
人形町に来たからには人形焼を食べないと。

手のひら以下のサイズ感のかわいらしい人形焼。一個120円。
一見するとかわいいけど、じっくり見ると不気味にも思えてくる。何にせよ、食べない選択肢はない。

甘いこしあんはカステラ風の生地との相性が良く、おやつに丁度いい。
焼きたてじゃなかったけれど、生地の継ぎ目に若干のサクサク感とぬくもりが残っていて美味しい。

人形焼を食べたのは久しぶりだけど、素朴な味わいで良い。
これも何個でも食べられそう。

清寿軒の小判どら焼き / 小伝馬町

人形町から散歩がてら、小伝馬町を通過する際に通りかかった「清寿軒」。
ここもかねてから気になっていたお店。

買ったのは小判どら焼き。一個250円。
生地二枚であんこをサンドしたタイプのいわゆる普通の大判どら焼きも売っているけれど、小判どら焼きは生地一枚であんこをサンドイッチ。
とにかく見た目がかわいすぎませんか。

見ての通り、粒あんがたっぷり入っていてボリューム感がある。
深いコクがあり、心地よい甘さで全然くどくない。

また生地は甘すぎずほろ苦く、亀十のどら焼きに若干似た味わい。
亀十のどら焼きの生地はホロホロタイプだが、清寿軒のどら焼きの生地はもっちりタイプ。
心地よい弾力と歯応えがあり、あんこの力強さに負けていない。

これはとても満足感のあるどら焼き。
本当に美味しく、ボリュームがあるのにも関わらずパクパクと一瞬で食べてしまった。

甘味おかめのおはぎ / 有楽町

旅も終盤だが、そう言えばおはぎを食べていない。
使命感に駆られ、歩いて日本橋・銀座を抜けて有楽町の商業施設の地下一階、「甘味おかめ」へ。

おはぎは何種類かあったものの、選ぶのはやはりスタンダードな粒あんのおはぎ。
帰りの新幹線で食べようと思い、テイクアウトで一個だけ購入。

新幹線で食べるおはぎ(粒あん)。一個300円。
ボリューム感がすごく、かなりずっしりしている。これは満足できそうだ。
うっかり箸をもらい忘れたので、手づかみで食べよう。

あんこはかなり甘めで、疲れた身体にとても沁みる。
餅米は少し柔らかめで美味しく、やっぱりおはぎって良いなあと再実感。

個人的には、日常的に食べるならもう少し甘さ控えめが好みだが、これはこれで旅の終わりにふさわしい甘さだ。
そして、田舎っぽいずっしり感のあるおはぎを久しぶりに食べることができて満足した。もうこのまま眠りたいほど。というか寝た。

まとめ

そんな感じで、改めて振り返るとクレイジーな弾丸旅行ではあったが、様々なあんこの名店を訪れて心ゆくまで楽しむことができた旅となった。

正直、訪れたい和菓子屋はまだまだあったのだが、定休日や混雑による時間の関係で訪れることができなかったお店もあった。
中でも銀座の「空也」や、向島の「志゙満ん草餅」などは特に行ってみたかったのだが、またの楽しみにとっておこうと思う。

次はどこのあんこ巡りをしようか。

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