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3分で語るままならない創作の日々(2024.3.21)

ぼくは九州に住んでいる。妻の実家の近くに移り住んで約8年になるが、ここはぼくの知らない土地だ。だから知り合いはいない。ぼくは父の仕事の都合で小さいころから引っ越しを繰り返してきたから、特に故郷と呼べる土地も持たない。最近テレビでぼくみたいな環境で育った者のことを”根無し草ゆえのアイデンティティー・クライシス”と表現しているコメンテーターがいたけれど、ぼくのアイデンティティーはたしかに土地に根ざしていない。しかし違う形で、違う場所で根を張っている。それは人だ。ぼくのアイデンティティーは人間に対して根を張っている。

知り合いのいない地方で孤独に執筆をしていると、思いもよらない変化に気づくことがある。勤め人だったころは考えもしなかったが、ぼくにとってもっとも刺激的なエンタメが、サーフィンや映画やゲームなどではなく、いつの間にか「誰かと創作について話すこと」になっていた、という気づきだ。

仕事相手である出版社はすべて東京にあり、担当編集者との打ち合わせ(という名の飲み会)は年に一度あるかないかという状況であるため、たまの打ち合わせ(という名の飲み会)で、ぼくは恐るべき勢いをもってこの渇望を満たそうとする。2時間3時間ではとても足りない。しかし楽しい時間ほどあっという間に過ぎ去ってしまうもので、飲み会が終わったあと、ぼくの渇望はかえって強くなる。ああ、誰かともっと話したい。

そこで、自分から声をかけてみることにした。最近、ディズニープラスで配信中の『SHOGUN 将軍』という作品を視聴しているのだが、創作的な意味合いでいろいろ気づきがあったので、数少ない創作仲間である浮雲さんとX(旧ツイッター)のスペース(音声によるコミュニケーション機能)で意見交換し、理解を深めようと考えた。興味があったら聴きに来てほしい。ためになるかどうかはわからないし、どんな意見が飛び交うかも予想できない。しかしそのスリリングさこそが、ぼくを魅了してやまない対人コミュニケーションの醍醐味なのだ。

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