高校野球=現役時代という謎

鈴木は草野球を大学時代から15年ほど続けている。
下手だけど野球が好きだから続いているのだ。

草野球内で高校野球をやっていたメンバーは「現役時代は~」という言い方をする人が多い。「現役時代はもう少し動けた」とか「現役時代は○本ホームラン打った」とか。
この「現役時代」という言い方に鈴木は非常に違和感を覚える。

では、今お前がやっているのは一体何なのだと。今も野球をしてるのでは無いか。
「現役時代」という言葉が許されるのは、引退したプロ野球選手と何かしらの事情で完全に野球から身を引いた元選手だけであると思う。
それ以外はおいそれと「現役時代」などと口に出して言うモノではない。
草野球だろうとプロ野球だろうとメジャーリーグだろうと、ユニホームを着てバットとグラブを持ってグランドに立っている限りは、年齢に関係なく永遠に現役なのである。

良くない風潮だと思うのは、「高校野球=現役時代」というように考えていることである。
高校野球が終わっても、野球はまだまだ続くのだ。
流石にメジャーリーグやプロ野球は狭き門だろうが、社会人や大学、クラブチームで続ける人は続けるし、サークルや地元の草野球といったところで続ける人は続ける。

高校野球を「現役時代」と言ってしまう背景には、多くは小中高と野球を続けるなか「競技スポーツ」としての野球を強制されてきたからだろう。
「チーム内での競争」「相手に勝つか負けるかの勝利至上主義」としての野球である。
その頂点が高校野球であり、そこを基準にしてしまう。
もちろん、高校時代が練習量や試合数も一番こなしているだろうし、心身ともに成長期だからそこがピークなのもあるのだろうとは思う。
で、大体の選手が高校野球で終わる→大部分が練習量や試合数は少ない、草野球・サークル等に移行するのでこの「現役時代は~」という言い方になるのだろう。

鈴木が「現役時代は~」という言い方に違和感を感じてしまっているのは、中高と最初から野球を「生涯スポーツ」として捉えていたからだ。
親が少年野球をやらせてくれず、ずっと近所で壁当てばかりをしていたから、ただ野球をやることが目的になってしまったのだ。
そうじゃなくて、少年野球からずっとやってきたメンバーは「競技スポーツ」として野球に取り組んでいたんだろうなと、今になって思うようになった。

今後の高校野球をどうするかとか、野球離れをどうするかと言った問題も、実は野球を「競技スポーツ」として捉えるか「生涯スポーツ」として捉えるかの違いの議論になっていくのかもしれない。

個人的には、高校で野球続ける/野球を始めるにあたり多種多様な選択肢が欲しい。
理想は、プロ野球チームや独立リーグによるユースチームの設立による野球エリート層の育成とクラブチームの高校生受け入れ。
これによって、野球エリート層の選択肢を部活動以外に広げる。
また、軟式野球によって、ライト層の生涯スポーツとしての野球をきちんと広めていく必要があるのでは無いかと思う。

最終的には、

・プロ野球チームのユースチーム
・独立リーグのユースチーム
・地域のクラブチーム
・硬式野球部
・軟式野球部
・全軟連所属のクラブチーム
・草野球(軟式)

くらいに細分化し、自由に選択できれば、自分の実力や能力、優先順位に応じた広義の意味での高校野球ができると思う。
もちろん、細分化することによって廃部になる学校があるかもしれないが、ビルド&スクラップの精神で仕方が無いと思う。
目的は、トータルでの野球人口を増加させること。
そして、競技スポーツとして参加し、上のレベルでプレーしたい人と生涯スポーツとして楽しみたい人できちんと分けることで、チームの価値観や人間関係の不一致による退部等が防げるのでは無いだろうか。また、退部をしたとしても別のチームへの移籍という方法を提示することで野球離れが食い止められるのではないだろうか。

と、野球人口減少について考える今日この頃。

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