【映画レビュー】「(r)adius ラディウス」(2018年 カナダ)~半径15メートルに『死』を撒き散らす男の運命~
【タイトル】
「(r)adius ラディウス」(2018年 カナダ 93分)
監督、脚本 キャロライン・ラブレシュ、スティーヴ・レナード
出演 ディエゴ・クラテンホフ、シャーロット・サリヴァン
※本作には、ショッキングな描写が含まれております。一部不適切な表現がありますので、作品の表現上、ご了承お願いします。
【あらすじ】
ある日。車の事故で記憶喪失になった男が目を覚ます。男の名はリアム。
助けを求めてリアムは歩き出すと、街では多くの人々が死んでいた……。
人々が次々と変死していく状況について、ニュースでは毒ガスか、殺人ウィルスが空気中に漂っているのが原因ではないかと言っており、それを聞いたリアムは家に籠る。
窓を見ると農夫が外に居たので「外は危険だ!中に入れ!」と叫ぶ。
農夫がリアムに気づき、近づくと……。
いきなり農夫は、その場で急死した……。
更には空を飛んでいた鳥までもが突然、死んで地面に落ちる。
何故、さっきまで生きていた人や動物などが次々と突然、死んでいくのか……。
何度も目の当たりにする死を見て、リアムはある事実に気づく。
さっきの農夫や鳥は『リアムに近づいたから死んだ』のだ……。
どういうことなのか、自分の存在そのものが死をばら撒いていることに気づいたリアム。
すると、そこに一人の女性がリアムに近づいてくる。
彼女も突然死するかと思われたが、彼女は死ななかった。
近くに居た犬もリアムに近づくが死なない。
彼女の名はジェーン。彼女もリアム同様、記憶喪失だった。
自分に近づいてきたジェーンが死ななかったことから、リアムは『人を死なせる力』が無くなったと思い、ジェーンと一緒に失われた記憶を取り戻そうと行動を開始する。
……だが、あるトラブルで、リアムは自分に近づいてきた人間をまた死なせてしまう……。
こうして、『リアムには15m近づくだけで人や動物を死なせる力』があり、『ジェーンはリアムに近づいても死なない人間』で、さらには『リアムの近く(15m以内)にジェーンが居れば、他の人や動物が死なない』ことが判明する。
つまり、『ジェーンにはリアムの力を抑える力』があった。
生物を死なせる力を持ってしまった男と、その力を封じる能力を持った女。
二人の失われた記憶を巡るスリラーサスペンス。
【感想】
もはや、この設定だけでも十分に面白く、やや中だるみはあるものの最後まで楽しめる作品。
リアムの15m近づくと生物を死なせてしまう能力を抑えるため、リアムとジェーンはお互いに離れないように協力し合うも、思わぬ横やりで15m以上離れてしまいそうになる展開は観ていてスリルがあった。
また、意外な真相(二人の記憶)と、衝撃のラストにも驚愕。
斬新な設定と意外な真相だけでも、十分に楽しめた良質なスリラーサスペンス映画だった。
【以下、若干ネタバレあり】
ラスト。
すべてを思い出したリアムが下した決断が切ない……。
だが、あの決断は彼に出来る唯一の力の止め方と、奪った命への償いであった。
人の命を奪ってきた人間が、記憶を失ってからも更に多くの命を奪ってしまい、苦悩する姿はあまりにも皮肉すぎる
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