【映画レビュー】「Z Bull ゼット・ブル」(2018年 アメリカ)〜エナドリ系は飲みすぎると、内臓やられるんで程々に〜

【タイトル】
「Z Bull ゼット・ブル」(2018年 アメリカ 89分)
監督 リン・オーディング
出演 ブレントン・スウェイツ

※本作には暴力、グロテスクな描写が含まれております。
一部、不適切な表現がありますが、作品の意図を尊重してレビューさせて頂きます。


【あらすじ】
 とある兵器開発企業。
 新商品のエナジードリンク『ゾルト』を試験的に会社内で配るのだが、それを飲んだ社員達は凶暴化。理性を失い、殺し合いを始めてしまう。
 実はこのゾルト。戦場で使うのが目的で作られたエナジードリンクでこれを兵士たちに飲ませ、戦場で暴走させるために作られたものだった。

 そんなドリンクを飲んでしまった社員たちが、会社内で暴徒と化すスプラッターコメディ。


【感想】
 この『ゾルト』を飲んだ社員達はゾンビのように完全に理性や人格を失って狂暴化しているわけではなく、中途半端に理性と人格が残った状態で狂暴化している。
 なので、会社や上司、同僚たちへの不満を吐きつつ、部署ごとでチームに分かれて殺し合っているのだ。
 なかなかにブラックな笑いである。

 また、社員の中にはドリンクを飲んでない者も居るのだが、誤解されて、主人公の仲間がその社員を殺してしまうという、ブラックがすぎる笑いも……。


 そんなブラックな笑い溢れる映画だが、兵器を開発している企業が舞台なだけあり、社会と戦争への皮肉も込められている。
 この『ゾルト』を作った責任者は「兵器を作ったあとのことなんか知るか!」と無責任でゲスなセリフを吐く。
 まるで、遠回しになにかを皮肉るようなセリフだ。

 エナジードリンクを飲んだ社員たちが凶暴化するというスプラッターコメディでありながら、軍事兵器を製造している企業ということと、会社内という閉鎖空間の中で崩壊する人間関係など、この映画はどこか現在社会に対して皮肉が込められている。
 仕事をする人間がよく飲むイメージのエナジードリンクがトラブル源というのも、これまた随分な皮肉だ。

 スプラッターコメディなんだけど、どこか考えさせられるスプラッター映画だった

この記事が参加している募集

映画感想文

よろしければ、サポートお願い致します。頂いたサポートは有効に活用させて頂きます。